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戦下のレシピ の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2023/06/10

太平洋戦争の日本とそこに住む我々の祖先を描いた映画、テレビドラマは数あるが、その食生活に焦点を当てて描いたものはあまり記憶がない。確かに、米がない、腹一杯食べたいが食べれない、人間の食べ物ではないものを無理矢理食べざるを得ない等、その結果のみドラマの背景の中で描かれることはあるが...

太平洋戦争の日本とそこに住む我々の祖先を描いた映画、テレビドラマは数あるが、その食生活に焦点を当てて描いたものはあまり記憶がない。確かに、米がない、腹一杯食べたいが食べれない、人間の食べ物ではないものを無理矢理食べざるを得ない等、その結果のみドラマの背景の中で描かれることはあるが、それらの料理を作るために、どれくらい苦労して食材を調達し、料理(と呼べるか?)していたのか、それを僕は知らなかった。 両親から、色々戦中の苦しい生活について聞いてきた自分でさえ、正直この本の内容は想像をはるかに越えていた。 戦争は、人が死ぬだけではない。国民の生活レベルが著しく低下するため、その間に子供から大人に成長した人達は本来身に付けるべき常識や倫理観、論理性、責任感等重要な人間としての要素を身につけずに社会に出てくる。それが、丁度僕の両親や学校の先生達の世代である。だから、彼等は不思議なくらい暴力的であり、自分勝手であり、論理性に欠けるケースが多かった。故に、我々世代もある意味戦争の被害者なのかもしれない。 日本は令和になって大きく変わった。我々の近い先祖の生活を、この機会に振り返ってみるのもよいのではないかと思う。

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2020/10/03

「飽食の国に住む私たちは、食べることが大好きだ…(中略)でもほんの50数年前までは、日本も『飢えた国』のひとつだった。」 から始まるこの本。 食から見る戦争…というと 悲惨な想像しかできないかもですが、 この本はちょっと違っていて 悲惨になっていく食生活だけど 日々が楽しくなる...

「飽食の国に住む私たちは、食べることが大好きだ…(中略)でもほんの50数年前までは、日本も『飢えた国』のひとつだった。」 から始まるこの本。 食から見る戦争…というと 悲惨な想像しかできないかもですが、 この本はちょっと違っていて 悲惨になっていく食生活だけど 日々が楽しくなるような工夫で食事だけでも、 ちょっとでも楽しいものにしよう~というような 人々の生活が見えてくる 戦争が始まる前から中間、そして後の食の変遷がすごい デコった「飛行機メンチボール、軍艦サラダ、鉄兜マッシュ」などはまだ楽しいけど、 後半になると、もう野菜も調理しないで生で食べましょう的なことを推奨されたり、 野草も食べれるから苦みも楽しみましょうだったり、 主食が全然足りないから水分でいろんなものを煮込んでかさましするとか、 魚の骨も粉にして食べきるとか… 「こりゃどうよ?」的なものも登場してくる 著者の斎藤さんのつっこみもおもしろい 読んでいくと、 やたらデコったお弁当作ったり カサましレシピやら ●●の代わりに★★を使う代用レシピやら (いや、なんならダイエット本のレシピとしてここに書いてあるお料理を推奨できるかも…ウソです) 現代も、いろんな人が工夫してレシピを考える原点ここにあり!という感じ なんだろう…この時代の食の記憶が日本人の中に埋め込まれているんじゃないだろうか?などと思ってしまう。 著者が書かれている「グルメガイドや料理本のように楽しんでもらえたら…」というのがすごくわかる。 レシピ付きなので実際に作れるのも楽しい そして、食べられる野草の写真付き! 戦争の悲惨さを食で感じる でも、工夫して食べることで生きること、楽しさを確認する 人々の生活の中にある「食」 それこそが色々な意味で戦下を生きる人々を支えるものだったに違いない。

Posted byブクログ

2018/08/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

戦争の話をするたび、「ものがなくて悲惨だった」「食べるものがなくて常に飢えていた」等の話を聞くたび、そんな話じゃなくて戦争の本質について話を聞きたいと思っていましたが、戦争時の食糧難の話は私の想像を絶していた。 この本では戦前の食事情から始まって日中戦争がはじまったころの節米食、太平洋戦争に発展してからの食、空襲が始まってからの食、敗戦後の食についてを当時の体験談や婦人雑誌のレシピなどから食事情をあぶりだした本です。 読みはじめは楽しかったです。洋食が庶民に浸透し、当時の雑誌にもおいしそうなレシピがいろいろと掲載されていたようで、興味を惹かれるものもありました。 日中戦争下の節米食もまだまだ楽勝レベルというか、節米食として食べていたのがうどんにそば、炊き込みご飯にお好み焼きって・・・このメニュー、家族が喜ぶよなんて思って読みました。 ところが戦況が悪化すると食事情が悪くなったというのはすでに知っている話ですが、敗戦前後の食事となるとドラマでよくあるすいとんや雑炊でさえごちそうに思えるほどひどく、私の想像を超えていました。 食材がなくてその辺の雑草でさえ貴重な食糧だったというのはよく聞きますが、少ない食材を増量するために粉にしたり、すりつぶしてドロドロにしたりして調理して食べていたというのはレシピを細かくみないとわからなかったこと。そして調味料も少ないのでケチって使うことになります。当時の人たちは食感も味もないものをひたすら生きるために食べ続けていたということなのですね。 本の最後のほうに「戦争はなぜ食糧難を招くのか」について書かれていました。もううなずくことばかり。当時の日本政府も日本軍も食料の調達について完全にナメていたということなんですね。とどめに書かれていたのが「食糧がなくなることが戦争だ」 そうかもしれない。 「食べ物がない」「飢え」総力戦だった戦争の本質とはこれだったのか。 ちなみに「当時の婦人雑誌なんて金持ちしか読んでないのに、そんな資料が参考になるのか」という話が出てきますが、筆者いわく、「当時の食生活をそのまま反映しているわけではない。その時々の条件で、最も気の利いたレシピを提示するのが婦人雑誌の役目。なので、ここに掲載されているレシピが悲惨さを帯びていると、当時の人々はもっと悲惨な食生活を送っていることになる。精いっぱい頑張った上限が「これ」。これで全体のレベルが推し量れる」 納得。 頭でっかちに戦争を考えていた私はこの本で考え方が変わりそうです。

Posted byブクログ

2017/12/06

戦争末期、インパールとか 場当たり的な対応が非難される帝国日本。 食糧政策は、さらにそれが際立つ。 (いろんな人が思いつきを口にしやすいから) また、家庭料理は愛情的な 主婦イデオロギーの形成史としても 興味深い。

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2016/05/21

カラー口絵、レシピ有り。 朝ドラ「ごちそうさん」にでてきた興亜パンのレシピも載ってるこの本、サバイバル非常食の勉強にもなって、ただ知識を得るぶんにはこの上なくおもしろいけれど、実践しなければならない日はきてほしくないと切実に思う。 ただ食べ物が少なくなってひもじいだけでなく、文化...

カラー口絵、レシピ有り。 朝ドラ「ごちそうさん」にでてきた興亜パンのレシピも載ってるこの本、サバイバル非常食の勉強にもなって、ただ知識を得るぶんにはこの上なくおもしろいけれど、実践しなければならない日はきてほしくないと切実に思う。 ただ食べ物が少なくなってひもじいだけでなく、文化の破壊になるから、戦争はダメだ、というのが筆者の結論。

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2016/03/19

はじめに「いつも読んでいる料理雑誌やグルメガイドのようなつもりで…」読んで欲しいと書いてあった通りの本だった。 読み終わって、「日本人の本質、戦争中でも変わらない~~~!」 食品にやたら手をかけ、盛り付けに凝る。 和食が世界遺産になったのもうなずける。 高級和食のみならず、草の根...

はじめに「いつも読んでいる料理雑誌やグルメガイドのようなつもりで…」読んで欲しいと書いてあった通りの本だった。 読み終わって、「日本人の本質、戦争中でも変わらない~~~!」 食品にやたら手をかけ、盛り付けに凝る。 和食が世界遺産になったのもうなずける。 高級和食のみならず、草の根からして、料理に対する並々ならぬこだわりを感じるのだ。 戦後の高度経済成長、バブル期の一億層セレブ気取り時代を経て、今では這い上がるきっかけも無い不景気時代… ぐるっと回って、この本の中にあるような、超節約料理を作る時代に逆戻りしているような。 この中にある「節米料理」は、米の消費を抑えるために、毎日の主食の一部を、米ではなく、(米の)代用食品に置き換えてみよう、ということが奨励されているのだが、現在の「炭水化物抜き」などのいろいろなダイエット食は、まさに同じような料理。 料理番組で、(ご飯の)海苔巻きならぬ“蕎麦巻き”が紹介されて、レポーターが「あ!なんと、ご飯ではなくお蕎麦を海苔で巻いてあるんですね!!」などと驚愕の声を上げてみせるが、実は戦時中にすでに婦人雑誌に紹介されていたという(笑) その婦人雑誌も、大正期にはすでに200誌も刊行されていたというから驚きだ。 それも、戦時中の紙の使用制限などで、たったの3誌しか生き残れなかったが… 戦局が進むと、だんだんと食料も統制されて、配給制度も進み、自由に食材が手に入らなくなる。 それでも、家族に栄養を取らせるのは主婦の務め、という、強迫観念がのしかかる。 そして、変な節約料理が、ホテルや一流レストランの、有名シェフの名前で婦人雑誌に紹介されている。 現代の女性誌や、料理番組と全然変わらないところが面白い。 作者も述べているが、何もそんなにめんどうくさく手間をかけなくても素直に食べればいいのにね…と。 料理に手をかけるのが母親の愛情、という精神を植え付けたのは、この時代の雑誌だという。 (それが今でも、忙しい働く母親の負担にもなっている) 当時は今と違って、電子レンジも無ければフードプロセッサーも無いので、かまどとすり鉢での作業である。 その手間は現代の何倍になることか。 本当に何も食べるものがなかったのは、終戦前の2年間と、戦後の2~3年らしい。 戦前は、現代と変わらない料理が食べられていたようだ。 そこから始まり、どのような段階を追って食糧統制が進み、それにつれて婦人雑誌の料理記事はどう変化したのか、家庭の食糧事情はどうなっていったのか、段階を追って分かりやすく説明されていて、とても興味深かった。 ただ、上段に本文、下の方に、古文の参考書の脚注のような形で当時の婦人雑誌の料理記事が載っていて、どのように読み進めたらいいのか途迷った。 それを差し引いても、とても価値ある本だと思った。

Posted byブクログ

2015/08/30

戦後70年、ということでこの夏はテレビの特番やら映画やらあって、一方で政府がアレコレやっているという状況で、普段よりそっち方面への関心が高まっているおり、見つけたのがこの本。食べるものがなくて、みんな腹ペコで、筍生活で、その辺の草も食べて、みたいな断片的知識はあるけど、こうやって...

戦後70年、ということでこの夏はテレビの特番やら映画やらあって、一方で政府がアレコレやっているという状況で、普段よりそっち方面への関心が高まっているおり、見つけたのがこの本。食べるものがなくて、みんな腹ペコで、筍生活で、その辺の草も食べて、みたいな断片的知識はあるけど、こうやって戦前から戦後食糧事情がなんとかまともになっていくまでをまとめた本を読むと、著者も言っているとおり戦争とは戦争で食料がなくなるのではなく、食料がなくなることが戦争なのだ、ということがはっきり理解できる。戦闘だけが戦争じゃないんだよね。銃後じゃなくてまさしく戦下なんだよね。にしても、この本で紹介されている当時のレシピはものすごい。いも、かぼちゃはまだいいよ。おからもまだまし。だんだん茶殻とかどんぐりとかじゃがいもの芽(毒でしょ)、クローバー、ゲンゴロウetc。米のかわりに配給されるのは謎の粉末とか鳥のエサみたいな雑穀。でもそんな食材?をなんとかレシピにして、当時の婦人雑誌に紹介しているんだよねえ。涙ぐましい。いつ何が起こるかわからないから、この本は大事にしておこう。

Posted byブクログ