生きのびるためのデザイン

ヴィクター・パパネック(著者), 阿部公正(訳者)

• 販売会社／発売会社: 晶文社
• 発売年月日: 1974/08/15
• JAN: 9784794959010

商品レビュー

2023/11/02

図書館で借りた。
「コンピュータの名著100冊」に選ばれてるらしい本と聞いて借りてみたが、一貫してデザインの本であることに注意したい。
1974年の本なので、もはや半世紀前の古典だが、これが名著だった。デザインやコンピュータに関わらず、広くお薦めしたい1冊だ。
デザインとは言え、その定義・解釈は広い。冒頭で「デザインとは、意味あるorder(秩序状態)をつくり出すために意識的に努力すること」と定義されているし、素数の数が無限であるというユークリッドの証明もデザインであると紹介されている。「デザイン」を私たちが考えるような、美大生などが描く絵画や造形だと思ってしまうと、この本の深みには至らない。
また、非常に刺激的な語りからはじまる。デザインは殺人だ、集団殺害だと。読めば読むほど、深い。単純な話ではない。そして面白い。

デザインの深さと、そこから広がる影響責任を考えさせられた。私は製造業に携わるコンピュータエンジニアであり、デザイナーではないと考えるが、この本は必修本だ。

2021/09/02

☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN03427324

2018/03/14

要約
デザインは表面的な面白さのためだけでなく、安全や社会の問題のために用いられるべきである。
社会の問題を解決し、持続可能にして行くには、分野を乗り越えた協力が必要であるが、デザイナーは多分野を媒介するために役立つことができる。
あと、教育はやっぱり大事。

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社会の問題のためにデザインが使われるべきであることを説いている。まさに先見の明。サステナブルデザインの必要性を明らかにした本では、おそらくかなり早期のものだと思う。
当時のアメリカの状況を例にとって批判しており、その時代観は結構古いが、多くのデザイナーがこの書から学びを得ていることを考えると、読んで損はないかな、と思う。
分野の統合、教育の重要性といった点では、バックミンスター・フラーの『宇宙船地球号操縦マニュアル』とも関連している気がする。