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アジアにこぼれた涙 文春文庫

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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2015/04/01 |
JAN | 9784167903459 |
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アジアにこぼれた涙
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商品レビュー
4.3
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アフガントラックに絵を描く父子、ジャカルタのゲイ娼婦、インド、フィリピンのストリートチルドレン、テロリストに息子をさらわれたイラク人。筆者の真骨頂であるアジアの片隅に生きる人々を追った10の物語です。 この本は2000年から2008年までに筆者が体験したものをまとめて『旅...
アフガントラックに絵を描く父子、ジャカルタのゲイ娼婦、インド、フィリピンのストリートチルドレン、テロリストに息子をさらわれたイラク人。筆者の真骨頂であるアジアの片隅に生きる人々を追った10の物語です。 この本は2000年から2008年までに筆者が体験したものをまとめて『旅行人』という雑誌に連載されたものをまとめたものなんだそうです。 筆者自身が『第二の処女作』と位置付け、当時の感覚などを思い出し、あとがきのほうで回想されているのが印象に残っております。ここに描かれるのは筆者独自の海外取材で得た『目線』やいく先々で出会った人々への視点でまとめられております。 アフガントラックに絵を描く父子、ジャカルタのゲイ娼婦、インド、フィリピンのストリートチルドレン、テロリストに息子をさらわれたイラク人…。ここに描かれている人たちは家族を亡くしたり、絶望的な貧困にあえいでいたり、さびしさから身を任せた男に捨てられたりと、それぞれがそれぞれの『運命』を生きております。 そういったところに分け入って、時には現地の人たちの問題に『介入』して後で取り返しのつかないことになって、荷物をまとめてその地から去っていくという『情けない』部分も赤裸々に描かれているところに、筆者のノンフィクション作家としての力量を感じてしまいます。 さらに、自分を打ちのめしたものは章の合間合間に挟まれている写真の数々で、そこに映し出されているものはけばけばしいまでの夜の世界だったり、荒果てた廣野に写る親子の写真だったり、普通の人ならまず立ち入ることがないであろうどぶ川にバラックを立てて身を寄せ合って暮らす人たちのいる『スラム街』その一枚一枚が僕の心を打ちのめしていきました。 昨今では『貧困女子』という方々いるそうですが、本当の貧困とはこういうものであると、この本を彼女たちに突きつけてやりたい衝動に駆られてしまいました。そんな中でも人は生きて食べて、寝て、愛し合い、そして夢を見る。 ストリートチルドレンたちがなけなしのお金をためて楽器を買い、路上で演奏しているくだりがあって、彼らはそこからスターになった人がいるという『伝説』をかたくなに信じている、という箇所を読んだときは、自分の中にも似たような部分を感じ、胸が熱くなってしまいました。 石井光太さんの描く世界のファンはもちろん、この本は比較的筆者のもつ『破壊力』が薄いので入門編として最適であると僕は考えます。 ※追記 本書は2015年4月10日、文藝春秋より『アジアにこぼれた涙 (文春文庫 い 73-2)』として文庫化されました。
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改めて、如何に日本が恵まれた国で、その国で何事もなく育った私は、明らかに恵まれた人間なんだなと思わせてくれます。 何が人間として当たり前のことで、当たり前のことではないのか。こういう現実があることは分かっているけれど、分かりたくない。こういうエピソードは、ドキュメンタリーやニュ...
改めて、如何に日本が恵まれた国で、その国で何事もなく育った私は、明らかに恵まれた人間なんだなと思わせてくれます。 何が人間として当たり前のことで、当たり前のことではないのか。こういう現実があることは分かっているけれど、分かりたくない。こういうエピソードは、ドキュメンタリーやニュースなど映像で知ることが多い世の中だと思いますが、活字を通して知るのは映像とはまた違った重さというか、現実を見れます。
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パキスタン、マレーシア、フィリピン、タイ、イラン、スリランカ……、それぞれの地でアフガン難民の父子の確執に触れたり、エイズ禍に沸いた頃の都市伝説を検証したり、イラク難民の夫婦とともによくない筋に感化されイラクに戻ったと思われる息子の足跡を探したり、孤児たちの明るいもてなしを受けた...
パキスタン、マレーシア、フィリピン、タイ、イラン、スリランカ……、それぞれの地でアフガン難民の父子の確執に触れたり、エイズ禍に沸いた頃の都市伝説を検証したり、イラク難民の夫婦とともによくない筋に感化されイラクに戻ったと思われる息子の足跡を探したり、孤児たちの明るいもてなしを受けたりといった具合に、貧しさや戦争の惨禍などなどに取り巻かれ混沌としたアジアの街でアジアの人と出会ったエピソードが綴られる。 読みながら思ったのは、「この人(著者)、自分と似ている」ということ。どこが似てるって、体験が身にならないタイプだという点が。なかなか得難い体験をしているはずなのに、どこかさらっとしていてありがちな話になっている。話題自体は重たいものもあるのに、ガツンとくるものがない。残念……というか、エピソードの主たちがお気の毒。
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