
- 中古
- 書籍
- 書籍
- 1219-02-10
愛之助が案内 永楽館ものがたり

定価 ¥1,540
220円 定価より1,320円(85%)おトク
獲得ポイント2P
在庫なし
発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2015/03/01 |
JAN | 9784087807424 |
- 書籍
- 書籍
愛之助が案内 永楽館ものがたり
商品が入荷した店舗:0店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
オンラインストア上の価格と店頭価格は異なります
お電話やお問い合わせフォームでの在庫確認、お客様宅への発送やお取り置き・お取り寄せは行っておりません
愛之助が案内 永楽館ものがたり
¥220
在庫なし
商品レビュー
3
1件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
愛之助が案内 永楽館ものがたり 著者:片岡愛之助、清水まり 発行:2015年3月31日 集英社 山荘まちの図書館にあった地元にちなむ本。昨日の「奇跡」(林真理子著)に続き、2日連続で歌舞伎関連の本を読んだことになる。タイトルにある永楽館は正式には「出石永楽館」といい、兵庫県豊岡市にある近畿最古の芝居小屋で、兵庫県の重要有形文化財に指定されている。造られたのは明治時代だが、一度は閉鎖されたものの、2008(平成20)年に復原された。今は豊岡市だが、イメージとしては出石町(いずしちょう)にある小屋。温泉で有名な城崎町などとともに豊岡市と2005年に合併したが、我々関西の人間にすると、出石は出石、特別なまちでもある。 うちの山荘から1時間ほどで行けるが、山荘を建てる前から、そば好きの僕は大阪から何度も通った。出石は関西でも一番のそばどころ。信州上田から国替えとなった殿様がそばのまちにしたのである。ただ、大阪から足を延ばしていたころには、こんな芝居小屋があることは知らなかった(復活前で閉鎖されていたがその事実も知らなかった)。2008年のこけら落とし公演は、チケットを取ってくれた友人が声をかけてくれて鑑賞することができた。ラッキーだった。片岡愛之助が座頭を務める歌舞伎で、上置きに愛之助の養父である片岡秀太郎を据えていた。その後、僕が大ファンになる中村壱太郎も出演していた。 愛之助は、こけら落とし公演を務めることになってから、永楽館歌舞伎の座頭をするようになり、この本が出た時点で7回を数えていた公演を成功させている。なお、ホームページを今年11月に第14回が行われるらしい。 本書は、愛之助が永楽館や出石のまちを紹介するという内容だが、実際は永楽館での歌舞伎の話がほとんどで、小さな小屋ならではの苦労と良さを紹介している。収容人数368名の永楽館は、その2階建の建屋がそのまま、東銀座にある歌舞伎座の舞台の上に載ってしまう大きさだとのこと。すっぽんなども電動ではなく人力で上げ下げする。また、花道が舞台に向かって上り坂になっていて、下駄を履いて演技をしてその坂を上っていくと、すぐ横の2階席の客と目があってしまい、思わず笑いがでてしまうそうである。 運営はまちの人たちによるボランティアでもっている面が大きい。客席の座布団はすべてまちの人たちが作った。掃除担当は何枚も自宅でぬれ雑巾を用意して持っていき、床を拭いて汚れた雑巾をそのまま持ち帰る。永楽館で水を使わないためだ。 アナウンスを担当する保育士の女性は、休憩中に外にいたら、永楽館の窓ががらりと開いて愛之助が顔を出したという。そして声をかけてくれ、メイクのまま窓越しに写真も撮ってくれたとのこと。日頃は大舞台やテレビでスターの彼らも、小さなまちに来て、近い距離で芝居をし、人々とふれあうと気持ちも変わるようである。彼らにとっても心地いい故郷になっているそうである。 復原工事の話は短いがとても興味深い。地元の大工の棟梁がしたのだが、復原されたのは2代目の建物だそうで、復原ポイントを1922(大正11)年に置いた。建て替えではなく復原のため、極力同じ資材をそのまま使う必要がある。傷んでいる板をまるごと替えれば楽だが、そういうわけにはいかない。全てに番号を打っておき、元に戻せるようにする。調査だけで2ヶ月。例えば、床板を剥がすこと自体がひと苦労。釘抜きを使うと板が傷んでしまう。とくに廻り舞台の板が大変だったようで、根太(ねだ)の部分に薄い鉄板を入れて1ミリか2ミリくらい浮かせ、その隙間に薄い金切りのこを入れて釘を切っていったそうである。 そんな苦労やボランティアのお陰で快適に歌舞伎が鑑賞できるわけだけど、当時の市長の柔軟性も幸いしたらしい。重要有形文化財なので難しかったが、なんとか水を使う演目を実現した。また、飲食OKにしたお陰で同窓会や老人会の利用も多いという。本舞台のセリや廻り舞台を使った演出もできるという。 最近、ご無沙汰している出石。この本を読んで行ってみたくなった。
Posted by