美術愛好 ヨーロッパの美術館と観衆

ピエール・ブルデュー(著者), アラン・ダルベル(著者), ドミニク・シュナッペー(著者), 山下雅之(訳者)

• 販売会社／発売会社: 木鐸社
• 発売年月日: 1994/05/20
• JAN: 9784833221924

商品レビュー

2019/10/25

去年の学芸員関連授業の中で取り上げられていた本。授業の中ではこの本の話がいちばん面白かったので読んでみた。内容を全て理解出来たとは到底言い難いが、それでも大変面白かった。
訳者あとがき
｢絵が好きだから見るんじゃなくて、絵をしょっちゅう見ていたから好きになった（ならざるをえなかった）のである｣
｢欲求を満たせる人の中にしか欲求は生じない｣

2010/08/27

美術作品から「畏怖の念」というやつが漂ってくることなんてない、断じて！

作者のブルデュは、よく「教育は個々人の能力格差を広げる」と言っている社会学者。

美術作品の価値は、その作品の制作背景とか、技法だとかが読み取れて初めて読み取れてくる。
けれどそういう知識は、小さいときから家族に美術館につれていかれたりしながら徐々に身についていくことが多い。すり込まれた知識で、無意識に作品を読み解いているから、自分が作品を理解していくプロセスを説明するのは難しい。
また、ちょっとやそっと学校で美術作品に触れさせても、知識ある生徒にとっては、習得している内容の補足だから、初めて美術に触れる生徒よりもとっつきやすい知識だし理解を深めやすい。
そんなわけで、「美術作品は分かる人には分かるし、分からない人には分からない」という格差が出来てきてしまう。