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舟を編む 光文社文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 光文社 |
| 発売年月日 | 2015/03/01 |
| JAN | 9784334768805 |

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商品レビュー
4.3
1738件のお客様レビュー
辞書の題材で読みづらいのかな〜って思ってたけど読みやすかった! 言葉の有難みを実感させられたし今まで言葉に意識を向けたこと無かったから新鮮だった。 P283の松本先生の言葉が特に好き! あと、新しい装丁がお気に入り笑
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
好き。このくらいのスピードの本が好きかもしれない。筆者の言葉遣い、話の流れ、テンポ、挿し込むフレーズが好きだった。 残念ながら私は、辞書の編集がどうなっているか考えたことがなかったので新鮮で初めて知ることが多かった。 登場人物のそれぞれの視点が描かれるところが特に好き。それぞれの人格が確立されていて同じ事象にそれぞれの感じ方、考えがあった(当たり前だが)。その人の裏や闇、心のうちが見れることが、私が小説が好きな理由の一つだから、そこが十分に楽しめて興奮した。 知らない言葉が多かったから、2週目は言葉を調べながら読みたい。 今までの私は、言葉では私の気持ちや内側を伝えきれないことがわかっているから、と言葉を軽視していたかもしれない。言葉で表現したところで100%を伝えられないことに無力感というか言葉の頼りなさを感じでいた。文中の『記憶は言葉による』(みたいなニュアンス)などの言葉が印象に残り、言葉の大切さや役割、意義を考えさせられた。 言葉が流動的であることは実感していたが、それを導くのが辞書だということ、言葉を海にみなせることが私にとって新しく、納得した。 読む前後で私が変わったことの一つだと思う。
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p10 「荒木君と辞書を作れて、本当によかった。きみがどんなにがんばって探してくれても、きみのような編集者とは、きっともう二度と出会えないでしょう」 p64 その瞬間、馬締のなかで「あがる」と「のぼる」のちがいが明瞭になった。混沌と漂うばかりだった言葉が、急速に集まり、固まり、...
p10 「荒木君と辞書を作れて、本当によかった。きみがどんなにがんばって探してくれても、きみのような編集者とは、きっともう二度と出会えないでしょう」 p64 その瞬間、馬締のなかで「あがる」と「のぼる」のちがいが明瞭になった。混沌と漂うばかりだった言葉が、急速に集まり、固まり、ぱたぱたぱたと組みあわさりだした。馬締の脳内で、「あがる」のタワーと「のぼる」のタワーが、うつくしく完璧なバランスで空へ向かってのびていく。 「あがる」は上方へ移動して到達した場所自体に重点が置かれているのに対し、「のぼる」は上方へ移動する過程に重点が置かれている。 たとえば、「あがってお茶でものんでいって」とは言うが、「のぼってお茶でも」とは言わない。 重要なのは、「お茶を飲むにふさわしい場所(すなわち、室内という到達点)」であって、「庭先から家のなかへ移動する過程」にあるのではないからだ。 また、「山にのぼる」とは言うが「山にあがる」とはまず言わない。登山とは、両の足で頂上を目指す行為全体を指すのであり、頂上に立った瞬間のみを重視するものではかいからだ。 それでは、「天にものぼる気持ち」は?馬締は最前に感じた心の動きを反芻する。やはり、あの感情を「天にもあがる気持ち」と称するのはおかしい。俺の気持ちは、未だ上昇の途中にあるのであって、本格的に天界へ到達してしまったわけではないのだから。 p132 「実際の流れものが、図書館かなんかで、なんとなく辞書を眺めてるところを想像してみろよ。『さいぎょう 西行』の項目に、『西行が諸国を遍歴したことかは、遍歴するひとら流れものの意』って書いてあるのを発見したら?そいつはきっと、心強く感じるはずだり『西行さんも、俺と同じだったんだな。大昔から、旅をせずにはいられないやつはいたんだ』って」 p140 だれかの情熱に、情熱で応えること。 西岡がこれまで気恥ずかしくて避けてきたことは、「そうしよう」と決めてしまえば、案外気楽で胸躍る思いをもたらした。 p142 ちょっと力を抜けやらまじめ。じゃないと、おまえのまわりのひとはみんな、いつか息を詰まらせる。大きすぎる期待や要求は毒だ。おまえ自身だって、求めただけの反応を得られず、やがて疲れてしまうだろう。疲れて、諦めて、だれにも頼れず一人になってしまう。 p145 「辞書の仕事、楽しいか? 〜 そうだな、俺もだ。西岡は声には出さず、同意した。 有限の時間しか持たない人間が、広く深い言葉の海に力を合わせて漕ぎだしていく。こわいけれど、楽しい。やめたくないと思う。真理に迫るために、いつまでだってこの船に乗りつづけていたい。 p185 言葉ではなかなか伝わらない、通じ合えないことに焦れて、だけど結局は、心を映した不器用な言葉を、勇気を持って差しだすほかない。相手が受け止めてくれるよう願って。 言葉にまつわる不安と希望を実感するからこそ、言葉がいっぱい詰まった辞書を、まじめさんは熱心につくろうとしているんじゃないだろうか。 だとしたら、私も辞書編集部でやっていけそうな気がする。私も、不安をなるべく晴らす方法を知りたい。できることなら、まじめさんと言葉で通じあい、居心地よく会社生活を送りたい。 たくさんの言葉を、可能なかぎり正確に集めることは、歪みの少ない鏡を手に入れることだ。歪みが少ければ少ないほど、そこに心を映して相手に差し出したとき、気持ちや考えが深くはっきりと伝わる。一緒に鏡を覗きこんで、笑ったり泣いたり怒ったりできる。 p226 「言葉は、言葉を生み出す心は、権威や権力とはまったく無縁な、自由なものなのです。また、そうであらねばならない。自由な航海をするすべてのひとのために編まれた舟。大渡海がそういう辞書になるよう、ひきつづき気を引き締めてやっていきましょう」 p257 「荒木君、ひとつだけ訂正します。わたしは以前、きみのような編集者とは、もう二度と出会えないと言いました。あれはまちがいだった。きみが連れてきてくれたまじめさんのおかげで、わたしは再び、辞書の道に邁進することができたのです。 きみとまじめさんのような編集者に出会えて、本当に良かった。あなたたちのおかげで、わたしの生はこのうえなく充実したものとなりました。感謝という言葉以上の言葉がないか、あの世があるならあの世で用例採集するつもりです。 大渡海編纂の日々は、なんと楽しいものだったでしょう。みなさんの、大渡海の、末長く幸せな航海を祈ります。」 p258 俺たちは舟を編んだ。太古から未来へと綿々とつながるひとの魂を乗せ、豊穣なる言葉の大地をゆく舟を。
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