椿山課長の七日間 集英社文庫

浅田次郎(著者)

• 販売会社／発売会社: 集英社
• 発売年月日: 2015/02/20
• JAN: 9784087452815

商品レビュー

2024/10/28

浅田次郎の長篇小説『椿山課長の七日間』を読みました。
『赤猫異聞』、『わが心のジェニファー』に続き、浅田次郎の作品です。

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大手デパート勤務の椿山和昭は、ふと気付けばあの世の入り口にいたー。
そこは死者が講習を受けるＳＡＣと呼ばれる現世と来世の中間。
身に覚えのない“邪淫”の嫌疑を掛けられた椿山は再審査を希望し、美女に姿を変えて現世に舞い戻ることに。
条件は三つ、七日間で戻る、復讐をしない、正体を明かさない。無事に疑いを晴らし、遺り残した想いを遂げられるのか！？
ハートフルコメディー小説。
(解説/カルーセル麻紀)
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2001年（平成13年）7月から2002年（平成14年）4月にかけて『朝日新聞』に連載された後、同年9月に刊行された作品……2003年（平成15年）に舞台化、2006年（平成18年）に映画化され、その後、国内と韓国でテレビドラマ化されているようです。

46歳で脳溢血のため過労死した百貨店の課長・椿山和昭は、現世に強い未練を残していた……あの世の中陰役所でそれを訴え、現世への「逆送」を願い出た椿山は、同じように逆送を希望した72人の中から、実の両親を探し出すことを希望していた少年の雄一（蓮）と、人違いで殺されたために子分が抗争を起こそうとしているのを防ぎたいと希望したヤクザの親分の武田と共に選ばれ、正体を明かさないことを条件に初七日が終わるまでの間だけ美女の姿で現世に逆送される、、、

だが、事前に「まだ知らない重大な事実がある」と伝えられていた椿山を待っていたのは、想像以上の過酷な現実であった……老人ボケになってしまったと思っていた父が実は矍鑠とし、パソコンを使い孫とeメールの交換すらしていた事実だけでも十分ショックだったところに、知人のふりをして自分に線香をあげに行った自宅で、妻の由紀が葬儀が終わったばかりにもかかわらず、生前から愛人関係にあった部下の嶋田を家に招きいれ、夫婦同然の生活を送っており、息子の陽介も母の不倫に傷ついていた事実を知り打ちのめされる。

一方で、椿山が事態の把握のため自宅に職場にと奔走している間に、蓮と武田も自らの目的を果たすため、それぞれ行動する……親子の絆、捧げ尽くす無償の愛、そして「死後の世界」を絡めて描く、涙と笑いの感動的なファンタジー。

過労により急死した中年男性の椿山和昭は、家族に別れを告げるため、そして、生前の邪淫の嫌疑を晴らすため、あの世の入口で特別審査を受け7日間の猶予を授かり、39歳の独身キャリアウーマン和山椿として現世に舞い戻り、やり残したことに決着をつけようとする展開……同じように相応の事情を持ち、現世に舞い戻ったヤクザの親分・武田や少年の根岸雄太とともに、残された実質3日間で自分探しをする物語でしたね、、、

父や妻、息子、それぞれが抱える秘密を知ったときは、かなりショックだったと思いますねー　知らなかった方が良かったのでは、と思う事実もありましたが、辛い現実を受け留めて、残された人々の幸せを祈り、3人はそれぞれ限られた時間を駆けずり回る……性善説な小説でしたけど、好みの作風でしたねー　読者の心を揺さぶった後で、ギャグを散りばめて緊張の緩和を施す構成の巧さが印象に残る作品でした。

2024/07/31

確か1度読んだことはあったが、もう一回読んでも面白い。

死んだ人間が現世に戻って、知らなくても良いことまで知る。

しかし、そういった中にも心温まる話があった。

2024/06/16

椿山課長が突然死するところから物語は始まるが全体が軽妙な展開でスイスイ読むことができた。
登場人物も個性的で面白い。
死後の世界というとわからないだけに陰気な気持になりがちだがこのような世界観なら死後もまんざら悪くないなぁと浅田ワールドに引き込まれてしまう。

物語は最後まで楽しく読めたので問題ないが、題名に違和感を感じるのは私だけか。