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生者たちの統治 ミシェル・フーコー講義集成9
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生者たちの統治 ミシェル・フーコー講義集成9

ミシェル・フーコー(著者), 廣瀬浩司

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生者たちの統治 ミシェル・フーコー講義集成9

定価 ¥6,600

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2015/02/01
JAN 9784480790491

生者たちの統治

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2019/03/25

「性の歴史 知への意志」(1976) に始まり、コレージュ・ド・フランスの講義では、「安全・領土・人口」(1978)、「生政治の誕生」(1979)と、いわゆる「生権力」「生政治」のスリリングな探求が進展しつつもの、具体的な探求が微妙に先送りされるなかで、さあ、いよいよ本丸だ、とい...

「性の歴史 知への意志」(1976) に始まり、コレージュ・ド・フランスの講義では、「安全・領土・人口」(1978)、「生政治の誕生」(1979)と、いわゆる「生権力」「生政治」のスリリングな探求が進展しつつもの、具体的な探求が微妙に先送りされるなかで、さあ、いよいよ本丸だ、というところまできて、フーコーは、急に検討の方向を大転換する。 あっさりと、「知と権力」というアプローチは否定(?)され、「真理と主体」という問題系に変わってしまう。この講義を聞いた人は、驚きのあまり、呆然自失したであろう。そして、「死の権力」に変わる、近代における「生の権力」の話も、どこかに吹き飛んでしまう。 せめて、あと1年、「生政治」の話を探求してほしかったと思うのだが、それでも、この講義は、それまでとは、フーコーの新しい問題意識がまさに生まれ出て、薄氷のうえをあゆむように語られるスリルに満ちている。 フーコーという人は、こうして、常に動き続ける人なのだ。 さて、講義の前半は、そうした方法論の問題が、「オイディプス」の再読解やこれまでのフーコーの仕事の再解釈などを踏まえながら、議論され、後半は、キリスト教における「告白」(=自分自身の真実を語ること)、そして主体(従属するものとしての主体)の構成が、例によって、テキストの詳細な解読を通じて語られていく。 ある意味、キリスト教における「告白」というテーマは、「性の歴史」の探求テーマの主題でもあるのだが、その対象としている時期が、キリスト教の初期のテキストである。 そして、そうしたキリスト教の真理と主体の構成が、ローマやギリシア期の内省との比較で議論されていく。 つまりは、「性の歴史」の第2〜3巻のギリシア・ローマ期の研究へのつながりがここで生まれているということか。 おそらくは、ここでの講義内容は、「性の歴史」の第4巻となる予定であった「肉の告白」とも通じるものであろうと思われる。 ここまで読むと、「性の歴史」の2〜3巻は、晩年のフーコーがギリシア・ローマ期に倫理的な規範のようなものを求めていたものと解釈するのは不可能になるだろう。 フーコーは、西洋における「真理と主体」の関係を探求し、今の社会を違う角度からみる視点を提供しようとしていたのだと思う。 思想が転換し、あらたに生成される場に立ち会うスリルにみちた本。

Posted by ブクログ