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マッカーサー大戦回顧録 中公文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2014/07/25 |
JAN | 9784122059771 |
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マッカーサー大戦回顧録
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商品レビュー
3.3
4件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本書は第二次世界大戦後、GHQトップとなったマッカーサーの回顧録。 95%以上は気持ちよく、へーなるほど、とか、敵ながらあっぱれとか、つらつらと読んでいました。しかし最後の解説を読んで、本書の出色の出来は寧ろ解説にある気がしました。同時に本の怖さを想いました。 <概要> 基本的にはマッカーサーの回顧録。それだけ。第二次世界大戦で日本軍に攻撃され、フィリピンを退却、オーストラリアに移り、オーストラリア防衛、反撃はパプアニューギニアから始まり、再度フィリピンで日本軍を叩き、そして降伏した日本に降り立つという彼の第二次世界大戦とその後についての10年の歴史の抄訳です。正確に言うと、大部にわたる日本語訳の内、太平洋戦争の部分と日本占領の部分だけを切り取って文庫化となったようです。 <特徴> その特徴と言えば臨場感・生々しさだと思います。 日本軍の攻め入るフィリピンから逃れるのに、ギリギリまで戦い、時間を稼ぎ、本土や後方で支援が整うために尽くす。軍人としての自分の進言とワシントンとの意見の違い、政治家との確執。巧みな戦略により日本軍の補給線を遮断し、米軍側の無駄な落命と消費を防ぐ様子。降伏後の日本での困難(単なる軍人から全権を預かる政治家・指導者へ)。 作戦の成功を他人からの電報や日本軍の将校の手記で敢えて補足する自画自賛のきらいはありますが、筆者の歩んだ道がありありと伝わってきます。 <増田弘氏の解説が出色> ところが増田弘氏の解説を見ると見方が全く変わります。 マッカーサーは非常にプライドの高い男で、フィリピン陥落は相当彼のプライドを傷つけた事。マニラを落とされる前に台湾を叩くべきとの進言について、本文では『新聞でしった』として自分のところへ上がってこなかったとしているが、周辺状況から見ると彼はその意見を握りつぶした(つまり嘘つき。そしてそのせいでマニラは落ちた可能性が高い)。マニラからの脱出も中央の進める潜水艦ではなくてPTボートで敢えて危険を冒したのは閉所恐怖症だったから、等々。まあとにかく史実ではなさそうなことが(或いは裏事情がこれでもかと出てくる)。 <おわりに> つまり、これは単なる回想。回想とは歴史書でもなく記録でもなく、言わば思い出です。つまりそこには思い違いもあり得る。むしろ積極的に思い違いをしている可能性も否定できない。 解説付きで読まなければ読んだものはすべて正しいものと思い込むに違いありません。地位ある人の作品であれば、猶の事ハロー効果もあり信頼してしまいがちです。 しかし、そうした著作は決して史実を表しているわけではないし、寧ろ自己正当化のために使われている事さえあるという事を本作で学びました。 真実はその場にしかありません。しかし記録されたとたんに文字は事実とみなされる。でも記録された文字が虚偽であったらどうするか?周辺情報を調べ確認するしかありませんね。 今回の読書でバカみたいに本を読んでもただのバカであるということを深く実感しました。本の読み方についても考えねばならないと思った次第です。
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マ元帥の回顧録。あわよくば大統領を狙っていたわけで、ガリア戦記のような自己喧伝を兼ねた書ではあるが、著者がカエサルでないので明晰性に欠ける。「史上例を見ない」というフレーズを連発し、やたらに自分の評判を気にして新聞記事を引用している。特にフィリピンで煮え湯を飲まされた山下奉文と本...
マ元帥の回顧録。あわよくば大統領を狙っていたわけで、ガリア戦記のような自己喧伝を兼ねた書ではあるが、著者がカエサルでないので明晰性に欠ける。「史上例を見ない」というフレーズを連発し、やたらに自分の評判を気にして新聞記事を引用している。特にフィリピンで煮え湯を飲まされた山下奉文と本間雅晴の裁判記録は、本人もデリケートな問題だと感じたのか「勝者によってこれほど公正な裁判がなされたことはかつてなかった」などと連呼してはいるが、畢竟私怨で抹殺したに過ぎない。そうは言っても激動の時代の当事者の記録なので、それなり以上に興味深い。文民統制すら失った日本人よりよほど有能。 「日本で起こったことは、憲法上の変革や経済的復興だけでなく、同時に精神的復興でもあった」という下りがなかなか荒唐無稽な考察で面白い。現人神が君臨する大日本帝國の集団無責任体制などアメリカ人に理解出来る筈もなく、「古代スパルタに近い」などとも評されている(12歳のこどもとは言ってない)。当の日本人がよくわからないのだから仕方ない。 「第一次大戦でレインボー師団を率いてドイツのライン川の西岸で軍事占領に従事した際、私は軍事占領の基本的な弱点とみられるものを現場で目撃した。その弱点とは、(中略)権力という病気が次第に占領軍部隊に染み込み、占領することはある種の人種的優越を示すものであるかのような有害な錯覚が兵士たちの間に生まれるにつれ、占領軍自体も次第に堕落してしまうことなどであった。」とか言ってて、その反省を踏まえてたから自分たちは同じ轍を踏まなかったと言ってんだけど、なら例えば大森区中村病院の集団強姦殺人はなぜ起きたんですかねぇ、不思議ですねぇ。
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この本は幾つかの点で非常に興味深い。 1、アメリカ側から見た戦争の推移 大本営発表は日本人にとってトラウマみたいなものだが、それに信憑性を持たせる程度にはアメリカも脅威に感じていたろうことが特に前半で分かる。 幾らかの真実があれば、うかつな推論を人間はするものだ。 2、世界...
この本は幾つかの点で非常に興味深い。 1、アメリカ側から見た戦争の推移 大本営発表は日本人にとってトラウマみたいなものだが、それに信憑性を持たせる程度にはアメリカも脅威に感じていたろうことが特に前半で分かる。 幾らかの真実があれば、うかつな推論を人間はするものだ。 2、世界規模の戦争を統率する将軍のメンタリティ 意外なほどにセンチメンタルなところがあったり、他者の評価を気にしているところなど、デリケートな感じを受ける。 それはマッカーサー個人が繊細、というよりも戦争という過大な負荷がマッカーサーにそうさせていると考えるほうがしっくりくる。多数の人命を扱うことが、個人の資格においてできるのは異常なことなのだ。 おそらくこの回顧録を書かなくてはいけなかったのもそのような事情だろう。 3、日本占領の流れ 多種多様な勢力が占領政策に関わった。マッカーサー個人も当惑しながらも精一杯職務を全うしようとした。もはや今ある日本は誰かの責任へと帰されるものでもない。
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