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タントラ 東洋の知恵 新潮選書
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タントラ 東洋の知恵 新潮選書

アジット・ムケルジー(著者), 松長有慶(訳者)

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タントラ 東洋の知恵 新潮選書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 1985/11/25
JAN 9784106002229

タントラ 東洋の知恵

¥550

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2015/03/04

近代文明の根底には自我の確立という共通の目標がどっしり横たわっている。 近代文明は自然とか生物あるいは無生物、これら一切を含めたおのれ以外のものと、おのれとを分離し、両者を区別することから出発したといってよい。 我々は世界を、主体と客体という二つに区分し、おのれと他のものとのあい...

近代文明の根底には自我の確立という共通の目標がどっしり横たわっている。 近代文明は自然とか生物あるいは無生物、これら一切を含めたおのれ以外のものと、おのれとを分離し、両者を区別することから出発したといってよい。 我々は世界を、主体と客体という二つに区分し、おのれと他のものとのあいだに、厳重な高い垣根をかまえて、互いに干渉しあわないことを原則としたのである。 タントラはこれとは逆に、おのれと他のものとがもともと本質の上では同じもので、それがまた絶対者とも異なっていないと説く。 自己を中心に世界を見る習慣が身に付いてしまっている、我々の固定的な視点を放棄するところに、タントラの目的があるといってよい。 古代インド人は、世界の根本的な原理であるブラフマン(梵=至高)と、自己の原理であるアートマン(我)が本来同じだということを、梵我一如と言い表した。 そこには、東洋思想の根底にほぼ共通して見られる、相対的な存在である自己と他人。そして絶対的な存在である真理とが、本源的に同じだとみる考え方が現れている。 自己を中心とした視点から、宇宙中心の視点への180度の回転である。 見るものから見られるものへと座標軸を逆転するというのは、自己を中心として展開した西洋の近代文明を根底から否認することを意味している。 己を中心として世界は展開していると考えるのはちっぽけな自我であるが、このちっぽけな自我にたいする執着を倒錯とみなし、それを徹底的に打ち破る。 これが実はタントラが繰り返し説いているところなのである。 おのれの執着を否定することによって、宇宙的な視座がからおのれを眺める目が開かれる。それは大宇宙と同質のものとしておのれを発見することであり、自我の内部にひそむ普遍的宇宙の意識を開発することにもなる。 タントラの起源は古く、インダス文明として知られるハラッパにはシャクティ崇拝、シヴァ信仰のなかにタントラの行法がさまざまな形で行われていたのがわかる。 タントラによれば、宇宙はオームという単音節のマントラのような基本音から展開してきたという。 我々がこの宇宙で見たり感じたりする物体はすべて、振動それぞれ凝縮した音なのである。 例えば、タントラは、人間のセクシャルな衝動もまた無限と有限が一つであることを示す宇宙の真理を開けるための道具であるとする。 男女は交合の間、行者として周囲に気をとられることははない。 その心は解脱を願って燃え上がる。 性的エネルギーを持続させることで、内面圧が高められ、性的活力が強力な潜在力に変えられる結果、霊魂が解脱に至るのである。 男女の交合もヨーガの一種であり、精神を啓発するひとつの方法であるとしている。 このヨーガによってのみ人は無意識の中に眠っているすべてを展開させることができるのだ。 それは、ひとりの人間と、宇宙的な自我(純粋意識又はシヴァシャクティ)とを結びつけるための方法である。 このタントラの行法と神秘主義とがひそかに接近して、紀元前1500年頃のアーリア民族の後期ヴェーダ文化の思想と信仰に大きな影響をおよぼしていくことになった。 近代文明は極端な自己主張の上に立って発展してきたが、その影で眠りつづけてきた宇宙的な規模の自我を、意識の深層より目覚めさせ、本源的な姿にたちもどらせることを、タントラは目指している。 太古の記憶を蘇らせる、タントラの秘技は、現代に於いて怪しげな魅力を放ちつつ、近代社会が失った、魂の解放を約束するものなのかもしれない。

Posted by ブクログ

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