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国史大辞典を予約した人々 百年の星霜を経た本をめぐる物語
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 勁草書房 |
発売年月日 | 2013/06/29 |
JAN | 9784326248421 |
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国史大辞典を予約した人々
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商品レビュー
3.3
6件のお客様レビュー
久々に胸がバクバクし、血流が駆け巡るような興奮とともに読んだ本。 タイトルだけ見るとあまり引かれない、地味なものですが、たまたま手にした幸運を噛み締めます。 これは、吉川弘文館の『国史大辞典』刊行一年前の1907年(明治40)に出版された「『国史大辞典』予約者芳名録」をもとにし...
久々に胸がバクバクし、血流が駆け巡るような興奮とともに読んだ本。 タイトルだけ見るとあまり引かれない、地味なものですが、たまたま手にした幸運を噛み締めます。 これは、吉川弘文館の『国史大辞典』刊行一年前の1907年(明治40)に出版された「『国史大辞典』予約者芳名録」をもとにしたもの。 頃は日露戦争(1904-1905)での勝利から韓国併合(1910)と向かう、日本の景気が良かった時期。 価格は20円。今の貨幣価値に換算すると、20万円程度の高級な辞書ながら、当時一万セット以上の予約があったそうです。 日本史の辞書を購入した、明治後期の知識欲に富んだ一万人近い人の名前が、そのリストには記されていました。 有名人の名前がまず紹介されます。 与謝野晶子の本名は「鳳(ほう)志(し)よう」というんだそうですね。 そちらのほうがずっとペンネームっぽい気がします。 与謝野晶子の兄は、東大教授の電気工学研究者という理系の人間でありながら、やはり注文をしていました。 その頃の有名人がどんな暮らしをしていたかの考察もされているのが興味深いところ。 高村光雲は、明治維新以降の廃仏毀釈運動の影響を受けて、当時仏師としての生活は苦しかっただろうと推察されています。 たしかに、廃仏毀釈以降、仏師の仕事は激減し、彼も時代の波に翻弄されただろうと気が付きます。 芥川龍之介は当時13歳で、牛乳販売者の実父が注文していました。 太宰治の実家もまた、注文しています。 折口信夫は10代ながら、自分で購入していました。初任給に近い金額をつぎ込んだようです。 シャトーカミヤの神谷伝兵衛や浅田飴の創業者、堀内伊太郎などの名前もあり、予約時の平均年齢は41歳と思ったよりも若いものでした。 岩崎弥之助の予約もあるものの、翌年ガンで逝去し、おそらく辞典の実物を目にすることはなかっただろうと著者は推測しています。 出版した吉川弘文館は日本最古の現役出版社。 関東大震災で建物ごと焼け、当時編纂した辞書資料がほとんど失われたため、『新版 国史大辞典』は一から作りなおしたそうです。 その大変な作業が語られます。 着手から第一巻刊行までの14年間は、一切収入がないながら、執筆者に原稿料を支払い続けてきた出版社。 長い期間お金が出て行くばかりの辞書編纂は、刊行までは会社の金食い虫だという話に、三浦しをんの『舟を編む』を思い出しました。 学校や図書館が購入しているのはわかりますが、神社が多いというのが意外でした。 神代の時代は日本の国づくりの原点であるとも言え、国史と神社は密接不可分であるからだとのこと。 また、個人で購入した辞書を、遺族が郷里の図書館に寄贈して保管しているケースも多いそうです。 増版されているながら、21世紀に入ってからもまだ第一版の購入依頼はあるそうです。 当時の社会情報を知るために研究者が求める場合があるのだとか。 著者は、かなり手間をかけて個人の消息を追っていますが、それでも芳名録の個人名の半分以上は特定できない無名の人々なのだそう。 それぞれに貧富の差はありながらも、誰もが明治期に向学の意欲を持って、安からぬ辞書を予約をしたという点では共通しています。 あとがきに、この本の編集担当者の実家にも第一版があったということが書かれていました。 購入者は担当者の曽祖父。その曾孫が出版社に勤務し、芳名録に関するこの辞書の編集を担当したということに、時代を超えた知的つながりを感じます。 職場の図書館の書庫にも、初刊の『國史大辭典』はありました。 明治期の人々が手元に置き、時折手繰った辞典がそばにあることを知って、嬉しくなりました。
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2013 11/26読了。Amazonで購入。 図書館系界隈で話題になっていたので手にとった本。 国史大辞典初版を出版当時、予約購入していた人々の芳名録をひょんなことから手に入れた著者が、芳名録中の人物について調べて行ったり、国史大辞典自体について調べたりする。 明治大正の知識人...
2013 11/26読了。Amazonで購入。 図書館系界隈で話題になっていたので手にとった本。 国史大辞典初版を出版当時、予約購入していた人々の芳名録をひょんなことから手に入れた著者が、芳名録中の人物について調べて行ったり、国史大辞典自体について調べたりする。 明治大正の知識人伝、といった体をなしていて、当時の知識人階級の雰囲気とか知るのに良い。 それにしてもワンアイディアというか一点突破で本にしていて潔いな、実に・・・。
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明治時代に国史大辞典が刊行された際、それを「予約」して買った人たちがいた。その人たちのリストを手に入れた著者が、なぜか取り付かれたようにその人たちの素性と、購入された辞典の行方を調べたものです。 今までにない試みだと思うし、作者の執念も伝わってきて「凄いなあ」と思うけど、読了後...
明治時代に国史大辞典が刊行された際、それを「予約」して買った人たちがいた。その人たちのリストを手に入れた著者が、なぜか取り付かれたようにその人たちの素性と、購入された辞典の行方を調べたものです。 今までにない試みだと思うし、作者の執念も伝わってきて「凄いなあ」と思うけど、読了後「で?」という気持ちにならなくもない、そんな一冊でした。
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