空が割れる 中公文庫

藤田宜永(著者)

• 販売会社／発売会社: 中央公論新社
• 発売年月日: 2014/02/22
• JAN: 9784122059092

商品レビュー

2020/04/25

若めの未婚の女性が主人公で空にちなんだタイトルの短編6編。著者の藤井宜永さんが他界されたのを機に初めて読んだ藤田作品。口当たりのよくまったくもって落ち着いていて小さな盛り上がりを含んだ物語たち。どこかドラマチックで（日本の）テレビドラマでも見ているよう。
藤田さん、カッコいい人だったらしいけど、その人が書く小説はカッコつけてるだけのよう。商品名とかワインやCDとか小道具が妙に細かかったりするのもテレビドラマみたいだった。
6編のヒロイン6人とも恋愛のことで悩んでいる。それだって気持ちのもちようしだいでどうにでもなりそうな感じ。けっこう女の人が書く若めの未婚の女性が主人公の小説も読んできたけど、それに比べると現実離れしているというか、上澄み的というか、空虚感ありリアル感なしというか……。男の視点から見た理想的な女性像なのかな。

2014/07/27

久しぶりの恋愛小説。激しくなく、どれも穏やかで平和な幸せを感じる短編集。ここに出てくる男性にはみな素朴で清潔感を感じる。著者がパリに住んでた経験から得たのであろう海外で住む悲喜こもごもな感情の描写がとても共感できる。30歳前後の設定というのもあるのかも。恋愛体温が少しだけ上がるような感じ。