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生態学者が書いたDNAの本 メンデルの法則から遺伝情報の読み方まで
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文一総合出版 |
発売年月日 | 2013/10/04 |
JAN | 9784829965221 |
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生態学者が書いたDNAの本
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遺伝子解析に関する技術が急速に進歩してきた。これにより、分子生物学だけでなく、生態学などの生物学の別の分野でも遺伝子解析を取り入れた研究が行われるようになってきている。生物集団のつながりを、形態だけでなく、DNAからも調べることが出来るようになってきたのである。 個体識別、親子鑑...
遺伝子解析に関する技術が急速に進歩してきた。これにより、分子生物学だけでなく、生態学などの生物学の別の分野でも遺伝子解析を取り入れた研究が行われるようになってきている。生物集団のつながりを、形態だけでなく、DNAからも調べることが出来るようになってきたのである。 個体識別、親子鑑定、種の同定、系統解析、生物保全など、DNAを利用して出来る研究は多岐に渡る。 可能性は大きいが、かなり高度な統計解析を要することもあるため、生物畑の人には敷居はそう低くない。 本書は生態学研究に興味を持つ人が、DNAを取り入れた研究のイメージを掴み、可能性を理解することを目的としたもので、一般読者というよりは学部学生・院生・研究者向けというところだろう。後半は確率の数式もかなりあり、専門書の括りに入ると思う。 同じ出版社の『系統地理学―DNAで解き明かす生きものの自然史 (種生物学研究)』 と似たテーマの本である。 章立ては 第1章 生態学でなぜDNAを調べるのか 第2章 DNAと遺伝現象の基礎 第3章 DNAの変異をどのように検出するか 第4章 遺伝情報をどのように解釈するか-種内の解析 第5章 遺伝情報をどのように解釈するか-系統の解析 第6章 ゲノム情報の活用 となっている。 第2章・第3章は背景となる遺伝子に関する知識や遺伝子解析技術の簡単なまとめであり、主題は第1章、第4章~第6章である。 個人的にちょっと興味がある分野なので読んでみた。研究者でないので野次馬的な読み方で恐縮だが、いくつかの点で研究手法のやり方がイメージできて大変参考になった。 系統樹がどのように作られるのかに関しては、最尤法や最大節約法、ベイズ法を例にして、簡単なモデルに関する具体的な説明がある。 また、遺伝情報の「何」を使うかもポイントとなる。全配列なのか、一部の特徴的な配列なのか、SNP(一塩基多型)などの変異に注目するのか。植物の場合には、葉緑体DNAやミトコンドリアDNAに注目すると、父系、母系のDNAを辿ることが可能であり、種子散布や花粉飛散について考察することも可能になってくる。 実際の計算なり解析なりはコンピュータで大規模に行われるとしても、原理をきちんと押さえておくのは、別の場面で応用するために、あるいは不適切な使い方をしないために重要なことだろう。 *近年特に問題となっているのが生物保全。絶滅が危惧される種は、集団のサイズが小さくなっている。サイズがある程度より小さくなると、有害遺伝子と正常遺伝子間の淘汰圧に差がなくなり、有害遺伝子がたまって、突然変異メルトダウン(繁殖度低下や絶滅)といった事象が起こるという。 みんな違ってみんなよい、というが、集団的にはみんな違っていることがよい、というところか。 *生物集団に関する確率は、ごくごく大まかに言って、数学的に提示される数式があり、そこに実際の事象(例えば対立遺伝子の出現頻度のようなもの)の条件を加えていくとどうなるかを試行錯誤して取捨選択している印象を受ける。 ちょっと数学と実験物理の関係に似ている気もするが、飛躍しすぎか・・・。 *こぼれ話としては、個体としての巨大な真菌の話が非常におもしろかった。アメリカで、森林土壌に菌糸を伸ばしているナラタケのDNAを解析したところ、16 haに渡って遺伝的に同一だったというのである。密度を考慮して計算すると全部で100トン! 本当につながっているのかな?と多少疑問には思うのだが、これを個体と呼んでよいのであれば、すごいサイズの個体である。 *個人的にはこの分野、興味がありつつなかなか取っ掛かりが掴めなかったのだが、この本は少し「わかった」感があった。めげずに(^^;)、いずれは他の本にも挑戦して「わかった」を増やしていきたいところである。
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