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オレがマリオ
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2013/11/29 |
JAN | 9784163828107 |
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オレがマリオ
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商品レビュー
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『サラダ記念日』が一世を風靡した年、私は二十歳の大学生だった。世の中はバブルに浮かれ、前年に雇用機会均等法は施行されていたものの、女のコは学校を卒業したら2~3年の腰かけ入社、いいオトコを捕まえて寿退社、という生き方が望ましいとされていた時代。そんな中私は、女性が能力を評価されて脚光を浴びる姿に力づけられ憧れつつも、我が身を顧みれば何らかの才能を持ち合わせているかどうかも見当つかず夢に向かって努力を続ける甲斐性もなく、思い通りにならない事にただ地団太を踏んでいた。 カレシがサラダ旨いっつったのが嬉しい、ってか? こちとら彼氏イナイ歴=年齢だよ、悪かったな。 羨望と嫉妬がないまぜになり、あえてこの歌人の話題は(当時の情報源は新聞・テレビ・雑誌くらいしかなかったけれど)摂取を避けていたものだった。 日々の暮らしの中で、特に和歌等に興味を持つこともないまま時が移って2011年。久しぶりに聞いた彼女の話題は、原発事故を怖がるあまり、東京から沖縄まで逃げた(詳細は不正確なのだが)、というハナシであった。 なんだそりゃ、いいご身分だな。逃げたくても逃げられないひとは大勢いるだろうに。20年以上前に感じた彼女への違和感は、はっきりした反感に変わった。関西に住む私にとっては、地震も事故も対岸の火事で、他人事として遠くから気の毒がるに過ぎなかったというのに。 彼女の歌集を手に取る気になるにのは、それから更に13年の時を要した。我が子(彼女の息子さんと同い年)が成人し、社会の中で棹もささず逆らいもせず流れてきた人生も後半に差し掛かり、際立った才能の持ち合わせがないことも漸く受け入れて、フラットな気分で自分よりずっと輝いている女性を見上げることが出来るようになった訳だ。 書いていてちょっと恥ずかしい。 新聞の、短歌・俳句の読者投稿欄を読むことが面白くなり、選者(穂村弘)の歌集を探そうと図書館に行ったら、俵万智の歌集も同じ書棚に並んでいて、何気なく手に取った、という経緯。 恋も子育ても家族の死も経験した今だから、歌が沁み込んできたのだった。 息子さんの台詞「今日は有線でお願いします」とか「コミックをめくるとき、顔に感じる風が好きなんだよなぁ」とか、流石歌人の子どもは文学的な表現をするなあと感心する。これを、この台詞が発せられた当時ーー我が子も小学生だったころに読んだら、ウチの子はこんなこと言えない、って嫉妬していたかもしれない。(2024-02-01L)(2024-02-21L)
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俵万智「オレがマリオ」、2013.11発行。 ①空腹を訴える子と手をつなぐ百円あれどおにぎりあらず ②ゆきずりの人に貰いしゆでたまご子よ忘れるなそのゆでたまご ③チェルノブイリ、スリーマイルに挟まれてフクシマを見る七時のニュース ④寅年の話になりてママ友は一まわり下と気づく園庭 ⑤訃報欄に父より若き人の死を見ること多し冬の朝刊
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・「愛よりもいくぶん確かなものとしてカモメに投げるかっぱえびせん」 カモメにかっぱえびせんをあげながら、愛の不確かさを思う。 はじまりの「愛」という大きくて重たい言葉と、最後の「かっぱえびせん」のカラッとした軽さのコントラストが好き。 ---------------- ・「お土産にされて売られてほんとうは誰のものでもない星の砂」 「されて売られてほんとうは」のながれるような響きが好き。 誰もが一度は目にしたことのある、星の砂。 お土産に「されて」いる、きっと誰かがお金を払って自分のものにするであろう、星の砂。 自然の一部であったはずの、自由な星の砂が瓶詰めにされている悲しみがある一方で、瓶詰めになりながらも「誰のものでもない」希望があるようにも聞こえる。 ---------------- ・「お母さんの顔をしてる」と言われおり観覧車もう沈みはじめて 好きな人に、「女」ではなく一人の「母」として見られることの切なさ。 きっと観覧車には二人きりだけど、心は観覧車とともに沈みはじめている。 若さを失いつつある自分と、沈みゆく観覧車が重なる。 ---------------- ・「昆虫記 子は読み終えてこの人は少し悲しい人かと問えり」 ファーブルの昆虫記を読み終えた息子さんの一言。「寂しい人」でも「可哀想な人」でもなく、「悲しい人」。美しい感性が遺伝している。
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