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土 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 1967/12/10 |
JAN | 9784101054018 |
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土
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商品レビュー
3.7
27件のお客様レビュー
優れた人格者が貧困から努力して世に出ていく話でもなく、主人公が大きな不幸によって破滅していく話でもない。 特別でもなんでもない、田舎の貧しい一家の話である。 貧しさだけでなく、父と娘、義父と娘婿、主人と小作人など複雑な人間関係や、それぞれの持つずるさ、利己心、嫉妬などはとてもリア...
優れた人格者が貧困から努力して世に出ていく話でもなく、主人公が大きな不幸によって破滅していく話でもない。 特別でもなんでもない、田舎の貧しい一家の話である。 貧しさだけでなく、父と娘、義父と娘婿、主人と小作人など複雑な人間関係や、それぞれの持つずるさ、利己心、嫉妬などはとてもリアルである。 心を入れ替えたように見えても、また元の卑屈で卑怯で矮小な心が見え隠れしそうになるところも人間心のリアルであり、清々しさはないが、それがまた土とともに生きる農民の姿を嘘偽りなく伝えているのかもしれない。
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- ネタバレ
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小さな旅を、終えたような気分である。 解説を含めて、450ページくらいの文庫本を、読了するのに二週間くらいかかった。 活字の密度にもよるが、僕は大体文庫本1ページ1分で読む計算だが、この作品は地の文の密度が濃い上に、方言や田舎言葉が多く出て来るので、読むのに通常の倍近くかかったようである。 この作品を知ったのは、恐らく高校の国語か歴史の文学史だろうと思う。 若い頃だったら、まず、手は出さないし、興味さえ抱かなかったかもしれない。 たまたま最近、新潮文庫のマイナーな近代作家を読んでいて、その流れで、この作品を選んだ。 僕自身は、農作業の経験はほとんど無いし、知識も無いが、両親が昔借りていた家の庭で野菜を育てたり、近くに畑を借りてじゃがいもを植えたりしていたので、まるっきり農業に無縁でも無い。 子供の頃は、近くに田んぼや畑、雑木林やいわゆる里山なども、普通にあった。 だから、現代の都会で暮らしている若者が読むよりは、作品世界に実感を持って入り込める部分もあった。 最初の方で、お品という農家の女房が、三人目の子供を自分で無理やり堕胎して、それが原因で死んでしまう。 夫の勘次は小作だけでは暮らせず、出稼ぎに出ていたが、お品が亡くなって、娘のおつぎと息子の与吉と三人で、小作だけで暮らさなければならなくなる。 年頃になったおつぎへの、束縛と干渉。 お品が生きていた頃から折り合いの悪かった義父卯平との関係。 勘次の盗癖がバレての一悶着。 勘次と疎遠である姉との関係。 そして、最後に勘次の留守に、卯平と与吉が過って火を出してしまい、勘次の家も、雇い主の家も全焼してしまう。 卯平と与吉は幸い助かるが、更に卯平は自殺しようとして失敗して、寒中倒れているのを発見され、またも命は取り留める。 最後に卯平と勘次の関係が修復され、雇い主の家にお詫び方々訪ねて、また小作を続けていくところで作品は終わる。 どのエピソードも何かの伏線で次に繋がっているのではなく、起きたことを順次並べている感じ。 勘次が再婚することもなく、おつぎは大恋愛して駆け落ちするでもなく、勘次が盗癖で捕まっても結局、逮捕されることもない。 折り合いの悪い義父のせいで、過失とはいえ、火事で家を失ったのに、最後は和解している。 そこに僕は、小作農たちの素朴さや、単純で結局は善であるのを感じた。 ストーリーに引き込まれるとか、描写が素晴らしいとかとは違う魅力を感じたのは確かである。
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夏目漱石の小説と比較して読むと面白い。漱石の小説は親の遺産で生活する恵まれた都会の人々のどちらかと言えばひ弱な生活を描いているのに対し、「土」は土にまみれてたくましく生きる百姓の暮らしが描かれている。漱石は「土」を娘に読ませたい小説だと書いているが、上から目線のようで…。漱石の小...
夏目漱石の小説と比較して読むと面白い。漱石の小説は親の遺産で生活する恵まれた都会の人々のどちらかと言えばひ弱な生活を描いているのに対し、「土」は土にまみれてたくましく生きる百姓の暮らしが描かれている。漱石は「土」を娘に読ませたい小説だと書いているが、上から目線のようで…。漱石の小説は面白いが、何故か馴染めない理由がこの辺にあるのかも。(漱石の悪口ばかりでごめんなさい) とにかく、「土」は日本人なら一度は読んでおくべき小説だと思う。(これも上から目線か…)
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