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絶望 光文社古典新訳文庫
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絶望 光文社古典新訳文庫

ウラジーミル・ナボコフ(著者), 貝澤哉(訳者)

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絶望 光文社古典新訳文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 光文社
発売年月日 2013/10/08
JAN 9784334752798

絶望

¥770

商品レビュー

3.6

13件のお客様レビュー

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2020/07/08

ある日、自分と瓜二つの浮浪者を偶然発見したゲルマン。彼はこの男を身代わりにした保険金殺人を企てるが……。読み始めは助長に感じる文章も読み進めていくうちに気にならなくなり、あっという間に物語に惹き込まれました。解説を読むと助長に感じていた部分も実は全て書き手の緻密な仕掛けであること...

ある日、自分と瓜二つの浮浪者を偶然発見したゲルマン。彼はこの男を身代わりにした保険金殺人を企てるが……。読み始めは助長に感じる文章も読み進めていくうちに気にならなくなり、あっという間に物語に惹き込まれました。解説を読むと助長に感じていた部分も実は全て書き手の緻密な仕掛けであることに気付かされます。そして不自然な描写についても作品の重要なテーマであり、映像作品に比べて制約が多い小説という芸術分野ならではの特徴を逆手に取ったこの作品を読むとナボコフの凄さを改めて感じます。この作品は映像化不可能。とても面白かったです。

Posted by ブクログ

2019/10/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

解説を読むとめちゃめちゃ面白かった。 翻訳の文体が分かりにくいのかと思ったけど、完全犯罪が破れて追い詰められたゲルマンが、芸術作品として創造した手記という額縁小説のような形になっているから分かりにくい。一回通読してから読み返すと、あああの話ね、とつながる。 読み返してみれば、たしかにフェリックスと似ていると言っているのは語り手のゲルマンだけで、フェリックスだって2人が似ていると自分から言ってはいない。一人称小説だからゲルマンの主観で書かれており、アルダリオンもかなりヘボな人物に描かれているけど、ゲルマンに描かれたアルダリオン像と、引用されたアルダリオンの手紙=ゲルマンの主観ではなく、本人の言葉を通して見るアルダリオン像には隔たりがある。小説に描かれたことは小説の中では真実のはずなのに、その前提を揺さぶってくる。小説は真実ではない。小説は想像の産物、虚構でしかなく、言葉による表現は受け手によって再創造されることによって受け取られるが、客観的に目に見せることも音を聞かせることもできない以上、すべては思い込みとも言える。そもそもの語り手の言葉も本当かは分からないし、読者である自分の受け取りはミスリードされたものかもしれない。面白い。 分身なんて嘘だ。鏡だって本当の姿を映しているのではなく、「無数の鏡像からできているこの信用ならない世界」。正しく見えていると信じていたものが、本当は見えていなかったのかもしれない。

Posted by ブクログ

2019/10/01

まだアメリカに行く前の作品。ナボコフの授業を取る前に実に勤勉なわたしはこんな作品を読んだわけだが、小品に見えるこちらもめちゃくちゃにナボコフ要素が詰まっていて面白かった。ソ連的というか暗く救いがないのもまたいい。

Posted by ブクログ

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