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かたちだけの愛 中公文庫
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かたちだけの愛 中公文庫

平野啓一郎(著者)

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かたちだけの愛 中公文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2013/09/21
JAN 9784122058415

かたちだけの愛

¥550

商品レビュー

3.9

34件のお客様レビュー

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2024/07/30

美しさに翻弄され、いつのまにか誰もが愛してしまう久美。でも彼女にとっては相手の配慮より、相手の無我夢中の自己満足を通してでないと、信用できない。だからやたらと試してみたりする。 このひとたちは、なんなの?と眉ひそめながら読み進める。幻痛、分人、そして愛。理解することは難しいです。...

美しさに翻弄され、いつのまにか誰もが愛してしまう久美。でも彼女にとっては相手の配慮より、相手の無我夢中の自己満足を通してでないと、信用できない。だからやたらと試してみたりする。 このひとたちは、なんなの?と眉ひそめながら読み進める。幻痛、分人、そして愛。理解することは難しいです。でもこの文章はなんか沁みた! 「彼はその金瘡のように眩しい光を放つ痛みに眩暈を感じた。そして全身に戦慄の波紋が幾重にも広がって交わり合うたびに鈴のような恍惚が響いた」  すべての登場人物が甘美な悪夢を見ているようなそんな印象を残しました。

Posted by ブクログ

2024/07/25

交通事故により片足切断という悲劇に見舞われ、悲しみと不安に沈む女優・叶世久美子(本名中村久美)と、たまたま事故から救助し、何の因果か彼女の義足のデザインを任される事になった主人公・相良郁也が、徐々に彼女と心を通わせていくラブストーリー。 「焦らず少しずつ、未来のことを考えていき...

交通事故により片足切断という悲劇に見舞われ、悲しみと不安に沈む女優・叶世久美子(本名中村久美)と、たまたま事故から救助し、何の因果か彼女の義足のデザインを任される事になった主人公・相良郁也が、徐々に彼女と心を通わせていくラブストーリー。 「焦らず少しずつ、未来のことを考えていきましょう。不安を感じる時には、どんなことでも相談してください。解決のための具体策を、一つ一つ考えていきましょう」 「思ってること、感じていることを一つ一つ話していけば、一緒に考えられるんだから。少しずつでも前進するよ」 「人のすべてなんて、見えるはずがない。だったら、自分の一番良いところが見えるようにすべきだよ。誰にだって光の当たっている部分と、そうじゃない部分がある。中村久美の一番素敵なところに、光があたるようにしよう。陰の部分は、そっとしておけばいい。どうしても、その陰翳の中で何かを語りたくなったら、その時は、俺に話せばいいよ。こうして、いつでも側にいるから」 これは、ただの愛を育むラブストーリーではない。 タイトル通り、『かたちだけの愛』である。 相良郁也は、確かに久美に恋をして、深く愛情を深めていく。 しかし、叶世久美子はどうだろうか。 客観的に女性目線で見れば容易に分かるけれど、男性目線(特に当事者)では盲目になってしまう、『愛が無くても誰にでも媚びを売る魔性の女性』がいて、叶世久美子はまさにそれ。 要所要所で叶世久美子の魔性行動が現れている。 自分にとって都合のいい男に媚びを売って、自分に夢中にさせる。これは愛ではない。 自分の身に起こった不幸ですら、利用する。 自分を裏切った最低男の三笠竜司ですら利用するし、相良の部下まで水面下で手を出し利用する。 気を引くためなら、愛情を確認するためなら、悲劇のヒロインになってなんだって利用する。 本当にこの手の女性は存在して、数多の女性から嫌われる存在となるが、男性から見ると「なんで嫌われてるんだろう?知れば知るほど、とってもいい子なのに」となる。 すごく厄介なこの魔性の駆け引きや遣り取りを、女性作家ではなく、男性作家が描き上げたことに、とても評価したい。 「好きという感情に前後があるならば、前半は〈恋〉で、後半は〈愛〉なのだろう。恋が、刹那的に激しく昂って、相手を求める感情だとするならば、愛は、受け入れられた相手との関係を、永く維持するための感情に違いない」 「彼は今、久美といる時の自分が好きだった。他の誰といるときの自分よりも好きで、この自分なら愛せるのかもしれないという気が初めてした。愛とは、相手の存在が、自らを愛させてくれることではあるまいか?」(分人主義的考察) 「技能とは、何であれ、その人の時間の使い方の果実である。そのために費やされた努力の時間を想像させて、人を敬意へと導く」 「先に愛し始めた人間にとって、恋愛は常に、神秘的な人事問題である。それは、たった一つしかないポストを前にして、ライバルに出し抜かれ、理不尽な評価に愕然とする勤め人の懊悩と、恐らくは相通じるものである」 最後にふたりは強固に結ばれるが、『かたちだけの愛』なので、きっかけさえあれば、こうやって培ってきたものも、呆気なくとても脆く崩壊してしまうのだろう。 この著書を読んで、なんで『かたちだけの愛』と疑問に思った男性は、こういう魔性の女に要注意。

Posted by ブクログ

2024/04/08

平野作品は「分人」という概念でよく言われますが、この概念を特に持ち出さなくても、愛することに揺れ動く主人公の気持ちや考えが丁寧に描き出されています 無理のない、時にハラハラさせるストーリー展開で、ページがどんどん進みます 悲惨な事故に遭った女性が、愛されることでそれを乗り越えてい...

平野作品は「分人」という概念でよく言われますが、この概念を特に持ち出さなくても、愛することに揺れ動く主人公の気持ちや考えが丁寧に描き出されています 無理のない、時にハラハラさせるストーリー展開で、ページがどんどん進みます 悲惨な事故に遭った女性が、愛されることでそれを乗り越えていく・・・純粋な気持ちでラストでは涙が溢れました

Posted by ブクログ

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