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名もなき人たちのテーブル
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 作品社 |
発売年月日 | 2013/08/30 |
JAN | 9784861824494 |
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名もなき人たちのテーブル
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商品レビュー
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素敵なシンプルな装丁に惹かれて手に取った。潔く青い。全然知らない著者の本。スリランカがまだセイロンと呼ばれていた時代、1950年代に、スリランカから英国へ渡る船に乗っていた移民の子供たちの、数週間の船旅を描いた作品。回顧録のような書き方。 一人称ではないのに、子供たちの日記を覗...
素敵なシンプルな装丁に惹かれて手に取った。潔く青い。全然知らない著者の本。スリランカがまだセイロンと呼ばれていた時代、1950年代に、スリランカから英国へ渡る船に乗っていた移民の子供たちの、数週間の船旅を描いた作品。回顧録のような書き方。 一人称ではないのに、子供たちの日記を覗き見ているような気分になるのは、子供たちの目を通して認識された現実しか描写されていないせい。つまり、我々大人の読者からしたら実はとんでもないことが起きているとわかるようなことも、子供の目はその重大さや意味合いを理解しないままサラッと通り過ぎてゆく、その感じがそのまま小説になっている。 合間合間に、それを描写している大人の著者のコメントも入るのがまたユニークで癖になる。渋い含蓄が子どもの日記にちょいちょい挟まれているような面白さがある。 そして本の中盤くらいに、主人公が渡英し船から降りたあとの移民としての生活の一端が描かれ、この作品は実は移民の人生の難しさを描いたものでもあるんだ、とわかる構造も興味深い。船旅中に仲良くなっていた子どもたちのその後は、船の上での様子とは違う。新しい環境に溶け込んだ者、溶け込めなかった者。切ない。 時折挟まれていた、スリランカのお茶や食べ物を主人公たちが懐かしむ描写は、じつは英国に入る前の船の上での間しか登場しない。のどかで感傷的だった子供時代の最後=船の上と、英国上陸後の少し寒々とした時代=子供時代の終焉、そしてそれらを振り返っているビターテイストな現在=大人、という対比が浮かび上がる。
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1954年、セイロン(スリランカ)からイギリスに渡る大型客船に乗った11歳の少年マイケル。 3週間の船旅の間に出会う個性的な人、様々な出来事が少年の目を通して解釈され、そしてそれを数十年後の自身の回顧録という形式で語られる。 物語はとても短い60もの断章にわかれて語られ、前半は...
1954年、セイロン(スリランカ)からイギリスに渡る大型客船に乗った11歳の少年マイケル。 3週間の船旅の間に出会う個性的な人、様々な出来事が少年の目を通して解釈され、そしてそれを数十年後の自身の回顧録という形式で語られる。 物語はとても短い60もの断章にわかれて語られ、前半はマイケルと船で出会った同年代の悪友たちのいたずらの数々、船で出会う人々とのささいなやりとりが中心となる。 11歳の少年たちが好き勝手走り回るなかで色々なものにぶつかり、その結果生じた反応を成長の糧として学んでいく。 前半はそんな感じで、印象としてはただの「少年達の3週間の夏休み」。 オンダーチェの詩的な視点で語られるものの、それほど面白いという印象は受けない。 ただ、この若干退屈な印象が、中盤以降「語り手の現在」が織り込まれながら語られるようになると大きく変わる。 この3週間の体験が語り手のマイケルを含め、多くの人たちにとって「原体験」となっていることが明らかになっていくにつれ、物語に厚みが出てくる。 船旅の後半では、些細とは言えないような事件がいくつか起こる。 ただ、11歳の少年にはそれがどれくらい大変なことなのか、理解できない。事象は事象として記憶にとどめられる。 子供の頃にはただの体験、ただの思い出だったものが、時を経て想起するとそこには不思議なことに意味が加わっている。 これは時限爆弾みたいなもので、大人になって意味が理解できるようになったときに初めて心に大きく作用したりする。 オンダーチェはこの心の機序を、物語の後半で実に効果的に持ち込んでくる。 下船したあとの人生に、この船旅の経験が織り込まれた人々。 もう二度と会わないかもしれないけれども、人生の一部に同じ経験が織り込まれた人々。 全体で見れば全く異なる人生なのに、その細部をよく見ると同じ色の糸が混ざっている。 それはとても暖かいことであり、そして切ないことでもある。 最初退屈だなと思った60のバラバラの断章が一つの人生につながる。 最後にオンダーチェの詩的な文章で装飾された美しい人生が現れてくる。 素晴らしい物語でした。
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ざっくりと言うと、ちびっ子が船で長旅して、それを大人になって回想しているだけなんだけども!しかもなんか地味に遊び回ってるだけな気もすると思いきや意外やイベントも盛りだくさんで涙あり笑いあり殺人もありとしっとりと語ると見せかけて波乱万丈なんである。いや語り口に騙されたということが今...
ざっくりと言うと、ちびっ子が船で長旅して、それを大人になって回想しているだけなんだけども!しかもなんか地味に遊び回ってるだけな気もすると思いきや意外やイベントも盛りだくさんで涙あり笑いあり殺人もありとしっとりと語ると見せかけて波乱万丈なんである。いや語り口に騙されたということが今になってみると分かるこれはまさかのどんでん返しと言うかギャップ萌えかもしれぬよ。 というわけでなんか不思議な面白さが不思議ちゃん好きなオッサンどもにもモテモテ。
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