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心はあなたのもとに 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2013/08/06 |
JAN | 9784167190088 |
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心はあなたのもとに
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商品レビュー
3.4
42件のお客様レビュー
シリアスな病気であっても、確かに人は慣れてしまうものだ。慣れてしまうからこそ、その病気と共存ができるようにもなる。それを誰が責められよう。ただ残念ながら、どうにも身勝手さが鼻について回る。
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前半は心に刺さる言葉がいくつもあったのだが、黒川が出てくるあたりから恋バナをしているキモいメンヘラのおじさんという目でしか見られなくなってきて、だんだん冷めてきてしまった。 香奈子からのメールの最後に毎回入るタイトルの言葉も、毎回だとそれはただの署名ではと思ってしまい、その言葉は...
前半は心に刺さる言葉がいくつもあったのだが、黒川が出てくるあたりから恋バナをしているキモいメンヘラのおじさんという目でしか見られなくなってきて、だんだん冷めてきてしまった。 香奈子からのメールの最後に毎回入るタイトルの言葉も、毎回だとそれはただの署名ではと思ってしまい、その言葉はあまり心には響かなかったが、それにまつわるラストはよかった。 長い物語ではあったが、数年感という歳月を丁寧に繊細に描き、大事なことは繰り返し提示され、過去を思い出すシーンでは主人公の時間軸に寄り添う事ができたので、このボリュームは最適だと思った。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なんとなく重なるところが多く、ドッグイヤーだらけになってしまった。最後は泣けた。西崎が全ての女に好かれるのはちょっと腹立つけれど笑 西崎の中にも、香奈子の中にも、ミサキの中にも自分がいるような気がした。大きい病気を持っている人間がうらやましいとやっぱり思ってしまうな。生きた証を残してもらえた香奈子がうらやましい。愛されていたんだなと。 既婚者で余裕のある男と、独身の風俗嬢と。重なるよなどうしても。「…恋人が金銭と引き替えに他の男に性的なサービスをしても平気だという男はいないだろう。だが、耐えることができる男はいるような気がする。」すきな女が風俗、水商売をしている事に対する男の気持ち、とても考えてしまった。わたしに対して、今までのひとたちはいったいどう捉えてきたのだろう。辞めさせようとしたけれど、助けられないからと諦めたひと。まったく気にしていない(ように見えた)ひと。助ける力があって反対しながらも、わたしの意地を認めてくれるひと。前のひとは耐えているような感じさえしなかったけれど。結局わたしのほうが耐えられなくて辞めてしまったしな。わたしが耐えられるか耐えられないかの違いもなんなんだろう。付き合っていたひとたちはともかく、単純にわたしの事をすきだという男たちはどういう気持ちだったのだろう。でも付き合っていないのならば逆にまた違うのか?不思議だ。 水商売に向いている女風俗に向いている女は別物でどちらが上下でもない的な話があってほんとそうだよなと。同じくくりにされがちだけれど。そしてわたしはどちらかというと水商売より風俗でウケるタイプだよなあと自己分析している。 大切な人だから関与したい。大切な人だからこそうまく関与できない。大切だからこそ、たくさんのエネルギーがいるから、疲れたり、本能的に放棄しようとしたりするんだって、やたら納得した。いっしょにいたいし、いっしょにいるのがつらいんだって。大切な証拠なんだよね。 ひとつひとつ、心の動きと状況をこうだからこうなんだなと考える西崎が、わたしもいちいち考えがちなので、興味深く面白かったな。西崎ほど冷静ではいられないのだけれど。 わたしは優しい人間ではない。ただ、相手がわたしのせいでがっかりしたり悲しんだりするのがいやなだけだ。 ミサキは、男たちが性的に興奮し勃起してセックスし射精するとき以外、他人から自分が必要とされていると思うことができない。 大切だと思える人に関与できていないし、関与しようともしなかった。だから、罰として大切な人から遠く隔てられている、そういう感情だった。 恋人が風俗で働くことが苦痛で、そのことに耐えていたのなら、どうしてこれまで生活を援助しようとしなかったのだろうか。また風俗嬢からホステスになるのだと唐突に言われて気分を害するのだったら、おれが面倒を見るから水商売なんか止めろ、となぜ言わないのだろうか。 香奈子が風俗嬢だという現実は、耐えることができた。だが、当たり前のようにわたしに依存してくる香奈子には耐えられないだろうと、わたしは無自覚にどこかでそう思っていたのだ。他の男に性的なサービスをする香奈子より、わたしに平気で依存してくる香奈子のほうがいやだったのだろう。おれが面倒を見るから風俗なんか辞めろ、とわたしが言わなかったのと同じように、香奈子のほうも、風俗店で働かせたりしないで生活の面倒を見て欲しいとは絶対に言わなかった。 ただ、自己評価が低い女は、大切に思う人から、自分も大切に思われているという確信が持てない。自身に低い価値しか見出せない女は、自身の価値を認めている他人がいることもわからない。 金銭で幸福や信頼は買えないが、経済的困窮は不幸に直結している。 西崎さんに何もしてあげられないのが辛い、いつだったか香奈子はそんなことを言った。そんなことはないと、そのときに言えばよかった。誰かを大切に思う気持ちは、何かを変化させ、いつか必ず相手に届く。 なが笑
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