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もうひとつのこの世 石牟礼道子の宇宙
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 弦書房 |
発売年月日 | 2013/06/01 |
JAN | 9784863290891 |
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もうひとつのこの世
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著者の渡辺京二は、石牟礼道子と共に水俣闘争を戦った仲間。(聞き覚えのある名前だと思ったら、「逝きし世の面影」の作者でした) 彼女の影響力が大きいのか、波長がよほど合うのか、彼女の作品や活動を分析し、その素顔を表現する。 実際に著書を読まないと、肯定も否定も出来ないとしても、分析力...
著者の渡辺京二は、石牟礼道子と共に水俣闘争を戦った仲間。(聞き覚えのある名前だと思ったら、「逝きし世の面影」の作者でした) 彼女の影響力が大きいのか、波長がよほど合うのか、彼女の作品や活動を分析し、その素顔を表現する。 実際に著書を読まないと、肯定も否定も出来ないとしても、分析力は凄い。 内容の一部。 石牟礼道子にとって世界は世間ではなくファンタジー。この点で彼女は宮沢賢治に非常に近い。彼女の作中人物は世間を超えたところ、あるいはそれからはずれた場所に生きていて、現実という膜を通してもっと永遠なものの相にふれたところがある。彼女が狐や狸、山や海辺に棲むもろもろのあやかしどもを好んで登場させるのも、この世だけが世界だとは思っていないから。この世はいつでもあの世に変換されうるので、そういう彼女の世界の多重性・多次元性はむしろ中世文学に近いのかもしれない。 彼女の共感能力は人間に対してだけではなくもろもろの生類、さらには自然現象に対しても発揮される。これは古代人的な能力だろうが、これが彼女の中に生き残っているのだ。だからよる辺ない無力な者を見ると自分で悶えてしまうということになるが、それは一歩進めると、この世では心美しいものは必ず迫害されるのだという強迫観念になりかねない。彼女自身にこの世でどうもうまくやってゆけない、自分だけでなく人間というのはそもそもこの世とうまく合わないのじゃないかという感覚があって、それが作品創造の原動力になっているのではないか。 その隠れた存在の次元は、近代化以前、工業化文明以前の、さらに言えば文字文化以前の、土を耕し、海の生きものをすなどり、牛や馬を追う、山河と密着した生活のありかたの中で常に感知されていたもので、それなしには農民としての、あるいは漁民・牧畜民としての現世の世俗生活も存続の根底を失うような、「もうひとつのこの世」だったのだ。 彼女は、「この世」と併存する「もうひとつのこの世」の様相を、ひとりの浪曼主義者的な幻視としてではなく、日本の伝統的な農民世界、漁民世界、さらにそれらの周辺部分、周辺でありながら中核でもあるような遊行民の世界の伝統に添った幻想的世界として描き出して来たのであって、こういうことができたのは、日本近代文学史上彼女が初めてであった。 とくにそれが集中的、顕示的に表われているのが、「あやとりの記』と『天湖』。 彼女の小説は私小説ともまったく異っている。物語の構造は、現在と過去が常に混淆していて、現時点で進行している出来事と、過去の回想が截然と区別しながら物語られるのではなく、混りあいながら同時進行してゆく。言い換えれば、彼女の小説には過去がなく、過去はすべて現在に現前している。
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まだ石牟礼道子さんの著書を読んでいないのだけれど、石牟礼さんに対する本書の著者の熱い想いが伝わってきた。そして、石牟礼さんに欠けている部分の指摘もあり、冷静な姿勢もある。 石牟礼さんの読書歴を明らかにしていたが、なぜ文章力を身につけられたかについて言及してほしかった。
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「老人が一人亡くなることは、図書館が一つなくなるようなものである」 を 思ってしまいました そして 石牟礼さんはまだご存命だけれども 著作がこれからも 「叡智の財産」として読まれて いくのだろうな とも 思った 本当にたいせつなものは 目に見えないのだよ 本当にたいせつなも...
「老人が一人亡くなることは、図書館が一つなくなるようなものである」 を 思ってしまいました そして 石牟礼さんはまだご存命だけれども 著作がこれからも 「叡智の財産」として読まれて いくのだろうな とも 思った 本当にたいせつなものは 目に見えないのだよ 本当にたいせつなものは 耳に聞こえないのだよ その 見えない 聞こえない そのものを 綴ってこられたのだろう とも 思いました 聴き巧者としての 渡辺京二さんもまた素敵だな と 思いました
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