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人間の性はなぜ奇妙に進化したのか 草思社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 草思社 |
発売年月日 | 2013/06/05 |
JAN | 9784794219787 |
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人間の性はなぜ奇妙に進化したのか
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商品レビュー
3.6
61件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
頭のいい人が書いた本と素直に思える。各章の最後にまとめがかいてあるのでそこを見れば中身を振り返ることができるよく構成された本。ヒトの進化という全てが明らかになっていない分野なので最終的な答えが出ないのは仕方ないが、男女の社会的な役割など現在ポリコレやジェンダー論で取り扱われている分野にたいして、生物としてそもそもどういう違いがあってそこから社会での役割が違うという基本を教えてくれる。それを把握せずにジェンターとかフェミとか男女どちらも語ってはいけないと思わせてくれる。 ch1 人間以外が奇妙な性を持つのではなく、人間が奇妙である。カマキリや蜘蛛が性的共食いするのは、彼らの生物学的、生態学的要因による。人間はその必要はないからそうしない。類人猿ですら人間とは違う。とすると人間ならではの行為が性を奇妙にしたのではないか?人間の場合、セックスに必要だから火や言語を使い始めたのではないか? ch2 男の方が子育てに関与しづらく他の雌に目移りするのは生物学的には正しいという話。妊娠のように身体に負担がかからないしその点において養育の投資が少ないし他の雌に種をまける。また必ずしも自分の子であると実感できないのでばら蒔いて確率をあげるという戦略をとっていたからである。男性はこのように平行して雌を探すが、女性は現在のパートナーに満足しない場合、より良い雄を求める傾向があり性差がみられる。 ch3 授乳など女性にしか出来ないと思われる行為も男ができないことはない。しかし量が少ないので難しい。動物は目的にたいして進化するのでなく既存の生物からたまたま適応していくため、不利な制約が残ったままそれと折り合いつけながら進化していく必要がある。そのため理論上はできる、すればいいのにと思われることでも、必要なものだけ変えればいいわけでもないのでコストが高い。産卵のほうが雌雄間の子育ての負担などは公平だがいまさら胎内育成から卵生にするのは厳しい。 ch4 雌が排卵を隠すようになったことで、しの雌の子供が自分の子であると確信は持てないが可能性があると雄が考えるようになった。別の雄の子供を殺すという遺伝子的損失を防ぐためにそうして雌は自分の子供を守るようになった。互いの遺伝子継承を守るために相手を固定できることが性の楽しみにつながったということか? ch5 ニューギニアの部族の例から考えると、男は自分の力量がすごいと誇示して多数の女相手に子孫を残す方が良いと考えている、女は逆に自分とその子供を扶養するのがよい男と考えている。この対立はアメリカや日本でも見られ、仮に扶養してると思われる夫婦でも男は女にくらべて育児家事へ割かれる時間は少ない。この利害対立が男は役に立たないというような意見が生まれる理由だろう。 ch6 閉経というヒトの雌に特有の現象を見てみると、妊娠・出産という命がけの行為を身体にガタがくる高齢の時にするよりも、自分の子供がそれらを行い、育児にリソースを割く方が生存戦略としては効率的である。雄にこれがないのはこれまで見てきたように妊娠出産育児にさくリソースが少ないからである。閉経とはあるいみ防衛機構なのだろう。こうして若い世代を補助するというのは育児だけでなく、文字など知識伝承の手段がない時はその生き字引っぷりが高齢者の存在意義であったことを踏まえるとその高齢者が属するコミュニティ全体を守る役割もあり、直接的にも間接的にも子孫を守るという機構と考えられる。 ch7 セックスアピールの項目として、顔の美醜、女性の脂肪、男の筋肉の3つが挙げられる。そしてその理由としてランナウェイ淘汰モデル説、ハンディキャップ説、正直さの宣伝説の3つがあげられる。どれか1つの説によって全てが説明つくわけではなくもしかしたら各項目がそれぞれ別の説に該当するのかもしれない。異性を惹き付け、同性よりも上にたつという動物的な側面をヒトもやはり受け継いでいる。男性器のサイズのようにシグナルとしての意味があるのか無いのかわからないものもある。こうした身近なものですら理由がわからないのがこの分野の困難さと魅力であるとして終わる。
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第3章 ダヤクオオコウモリとあるのは 標準和名ダヤクフルーツコウモリ(Dyacopterus spadiceus) 1994年の報告は Francis, C. M., Anthony, E. L. P., Brunton, J. A. & Kunz, T. H. Lac...
第3章 ダヤクオオコウモリとあるのは 標準和名ダヤクフルーツコウモリ(Dyacopterus spadiceus) 1994年の報告は Francis, C. M., Anthony, E. L. P., Brunton, J. A. & Kunz, T. H. Lactation in male fruit bats. Nature 367, 691–692 (1994) 第3章が面白かった人は おっぱいの進化史 (生物ミステリー)浦島匡,並木美砂子, 福田健二 ISBN-13 : 978-4774186795 もどうぞ。 第5章 151ページの熱量の話は「キロ」カロリーのはず。 訳者あとがきに読書案内あり。
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性にまつわる行為を様々な視点で切り取って、ホモサピエンスとそれ以外の動物で比較するというアプローチがとても面白かった。
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