本日は、お日柄もよく 徳間文庫

原田マハ【著】

• 販売会社／発売会社: 徳間書店
• 発売年月日: 2013/06/07
• JAN: 9784198937065

商品レビュー

2025/07/02

『影になるためには、条件がある。それは、いつも空に太陽が輝いていること。輝く太陽を享受する誰かがいること。そうして初めて、影は影として存在できるんです』
これは作中政治家のセリフだが、スピーチライターも同じだと思った。まさに影のように太陽を支える仕事である。人物を知り、現状を調査し、スピーカーと聴衆から乖離しないスピーチ原稿を作る。良い文章を作る事や言葉を知ることも大切であるが、まずはその言葉を吐き出す人と受け取る人の事を考えるというのが1番の学びであった。
また言葉は時として何の意味も為さないという現実にも触れ、それでも心に寄り添い支えてくれるものにもなるという話も印象深かった。
作中の選挙選はこの前の東京都知事選と少し被って見えておもしろかった。

2025/07/02

出てくる登場人物が総じて優秀だったり、こと葉が最初から完璧な原稿をかけたりするのは少し出来すぎな印象でしたが（ノンフィクションっぽいのにフィクション色が強くなる）、血の通った言葉の影響力を実感できたのでよい作品でした。

2025/07/01

私は主人公のこと葉と同じ歳の会社員です。
人前で喋ることが苦手な私は、『スピーチ』がテーマのこの作品を読めば、何か自分にも活かせるものが見つかるのではと思ったことがこの作品を読み始めたキッカケでした。

この作品で感銘を受けた点は2点あります。

①変わること、挑戦すること、それらを怖がらない勇気を教えてくれるところ
②政治という難しい話題を、スピーチという観点を通して分かりやすくドラマチックに描いているところ

同年代の女性としてこと葉に共感する部分は多いですが、現実では久美さんのように運命を変えてくれる灯火のような指導者も、ワダカマのような優秀でイケメンな王子様もなかなか現れません。
それでも、自分が変わる為に動かなければそういった出会いはもっと遠いものになる。
新しい世界に触れ、努力し、視野を広げていけばもっと素敵な自分にも素敵な人達にも出会えることを教えてもらいました。

また、政治にはまるで興味はなかった自分にとって、始めはこの作品を理解することが出来るのか不安もありました。
しかしそんな私でさえ、胸を熱くするスピーチや登場人物の背景を通じて政治に対する見方を変えることが出来ました。
SNSの影響で政治には嫌なイメージもあったけど、大切な人を守りたいというシンプルな気持ちのために、一国民として義務を果たすこと。それを疎かにしては絶対にいけないこと。本当はすごく大切なことなんだと、気持ちが強く残りました。
次の選挙、絶対に行きます。

元々は喋り方について何か学べるのではと思い読み始めた1冊でしたが、結果的にそれ以外のこともたくさん得られた素敵な作品でした！
私もこと葉のように、CHANCEとCHANGEの気持ちを大切にする日々を過ごしていきたいです。