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月に降り立つ 現代詩の新鋭23
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月に降り立つ 現代詩の新鋭23

太田葉子【著】

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月に降り立つ 現代詩の新鋭23

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 土曜美術社出版販売
発売年月日 2013/05/01
JAN 9784812020326

月に降り立つ

¥110

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2023/06/03

編集中 詩集から。もと、縦書き、スマホで表示できる限度で引用。 イスタンブールの 朝の椅子 待つ湯は 待つほど 沸いてはくれず むこう側を見ている   茹でている卵の中の   茹でてない音 風向きは希望の朝 とラジオにつぶやいたみたいに また音にヒビが入った ...

編集中 詩集から。もと、縦書き、スマホで表示できる限度で引用。 イスタンブールの 朝の椅子 待つ湯は 待つほど 沸いてはくれず むこう側を見ている   茹でている卵の中の   茹でてない音 風向きは希望の朝 とラジオにつぶやいたみたいに また音にヒビが入った ありすぎる ぬくもりが逃げるように 花に水をやる仕草で コーヒーを入れ その広がるための広がりの中で わたしも無抵抗になんとも言えず 色めきたつむもののように生まれ 世界の中心にそびえたつ 痛みさえ悦びに変えて そ知らぬフリで夕べも歌をうたいたがった   (愛と卵とコーヒーは   嗅覚を知らない   立ち上がる筋肉だ   夕べのうちに部屋中にバターを塗ってしまって   毅然と部屋にまたがり   風の吹かない風見鶏が   神がかり的な静寂で   発生法を試みている) テーブルの上の手  ルーブルの絵   イスタンブールの椅子    クワラルンプールのサフランの海 世界は寄せ合う 割れたままの肩 かたくなな愛だ 向日葵 こころざし なくした 水平線のようだ なまあたたかい 手のひらの 魚棲む 湖面を見ている 太陽は照りすぎる日も まばたきまばたきして 深く釣り糸を垂れている 遠くはかない群れの中で ひときわ輝くものが 自分でなくてどうしよう   花という字を見ている   うつむいてはいない   高さをほんの少し持ち上げようと   世界中旅したかのように この夏も なんと多くの 浮きと重りを放流してしまったことだろ ひとみを洗う わたしたちは 一瞬ずつ生まれては まばたきとまばたきにふりそそぐ 死の行き先をひた走り たましいと呼ばれる 形容できぬ闇の色さえ 洗おうとして涙腺を光らす 流れ星なのだよ  風にもたれたカーテン越しの    淵もなく名付けられたものたちよ ( わたしたちははずれかけたネジのない ねじれだからはじらいもなくこうして 衣をぬききっているのだよ行方知れず に触れる両の袖でうつむき加減に鼓膜 をそばだてはずかしげな世界の子午線 がここであることに無数の壺でおのの きおそれ今すぐのわずかな 秘密を天と 海とにうらがえしては菱形の唇ごとひ た走っているのだよ) 精神のない 立てぬ場にこそ立つものを 感じる目覚める前の足の裏は それを見ているのかもしれないし 汗ばんだテーブル いっぱいに広げられた今朝の半熟の太陽は それを握ったからなのかもしれないし 一筋の風船のようにすでに 手放しているのかもしれないし 窓越しのレモンに触れている ガラス越しの 水が空気にあふれる 朝ごと 世界はやさしく屈折し わたしたちは 冷たく火傷している   トランペット吹きながら   まっすぐ突きぬけてゆかぬ   音はどうして音に魅せられるのか 上唇でシャープを出し 下唇でフラットを起こす 舌はあくまで饒舌に世界を濡らそうとして とても硬い表情をしている 夕暮れを待ち望む水平線のように…… それゆえ ぬくもった油 ぬくもった油そのものに湯気立ち 船底に沈まぬ冷えた 微笑みさえ差し出そうとして 内側からはみ出た アンモナイトの叫びにぶら下がる なおぶら下げるもののように 耳をすます 内へ内へ 沸きあがる 水の層さながらのわたしたちに 泡のわの いつものことだわというように 夜の缶をあけるとわの いくつものいくつものわが。 きをくのをくのきのをのをふりかざして あいつもああいつもというように あわのわあの黄金率にしくじって。       何遍そこに    わたしをわたしたろう    そうっとうそをのしたろう 器からはみ出たあわわわの 余韻にゆがんだ層の雲間から 北斗に輝く迷いの虹がにじみ出てくる。 磁場を傾かせて 深くうなだれ ちょうどよい角度がこののだと   科学者でも幾何学者でも   見学者でもある私が   紡ぐもの   空に白さはないが   空を見上げる深さがある   ので   老人でも要人でも   不用心でもある私が用心して   放つもの    空 にうそはないが   そうかと疑う 一片のきらめきがある   ので ぽっかり空いたのの穴の底にあるからの

Posted by ブクログ

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