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おわりの雪 白水Uブックス182海外小説の誘惑
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 白水社 |
発売年月日 | 2013/05/13 |
JAN | 9784560071823 |
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おわりの雪
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商品レビュー
3.8
6件のお客様レビュー
日常のなかに何かの象徴があるのかと思いきや、ただただ親子のお話。 鳥籠のトビを心を奪われた理由は〈ぼく〉にしか分からない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なんと言ったらいいのだろう。 静謐であるがゆえに主人公の生活の中に垣間見える”死”の圧倒的確かさと、生きることの困難さ。 作品の最初から”ぼく”の父親は病床にある。 暮らしを支えているのは父親の年金(年齢的に傷病年金的なやつ?)と、ぼくが老人ホームのお年寄りの散歩につき添うお駄賃の半分のみ。 さすがにそれでは生活は苦しかろう、と思う。 ぼくは古道具屋の店先に置かれた鳥籠の中のトビに心を奪われ、買いたいと思う。 しかしそれは、ぼくのお小遣いをどれだけ貯めても届かないくらいの高値を付けられていた。 老人たちにつき添って散歩に行くとき、自力で元気に歩いているお年寄りとすれ違う。 しかし彼らとて、いつかはぼくのお世話になるのだということを、互いにわかっている。 ぼくは家に帰ると父親の部屋へ行き、彼が眠りにつくまで枕元でおしゃべりをする。 そのとき、母が出かける音を聞くと、父の様子が少し変わることに僕は気づいているが、理由はよくわからない。 成り行きで僕は、老人ホームの管理人であるボルグマンの代わりに仔猫を殺すことになる。 二人は二度とこの件について話をしたことはなかったのに、うわさは広がっており…。 鳥籠の中のトビとぼくが重なるとともに、動物たちの死が父の病状にある予感を運んでくる。 母の、夜の外出の意味すら分からないぼくの年齢は、まだまだ少年のはずだけど、この冬の雪の日の出来事を最後に、少年は子ども時代に別れを告げるのだと思われる。 息をするのもためらわれるほど密やかな空気をまとった作品だが、ぼくの心の中はいつも、血の通ったあたたかいものが流れていた。 たとえそれが動物を殺さなくてはならない時でも。
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雪のようにしんしんと文章が降ってくる小説だった。 劇的ともいえる展開もただ淡々と書かれているので、ドキドキハラハラといった感情を揺さぶられることは少なく、静かに現実がありありと描かれている。 小説のなかの景色が思い浮かびやすい文章だった。 全体的に冬のような薄暗い話のなかで、父...
雪のようにしんしんと文章が降ってくる小説だった。 劇的ともいえる展開もただ淡々と書かれているので、ドキドキハラハラといった感情を揺さぶられることは少なく、静かに現実がありありと描かれている。 小説のなかの景色が思い浮かびやすい文章だった。 全体的に冬のような薄暗い話のなかで、父子の語らいは優しく爛々としている。 『おわりの雪』のタイトルのとおり、冬に主人公のなかである一区切りがつくお話。
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