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4.5
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ワルターの音楽的遺書ともいえる一冊。 明らかに19世紀の芸術家なんだなと思わせる。 音楽が消費される(クラシックも例外ではないだろう)現代にあっては、芸術作品から心を動かす体験の代わりに、気晴らしとか知的興味の刺激しか求められないとワルターはいう。 12音技法や無調音楽を否定する...
ワルターの音楽的遺書ともいえる一冊。 明らかに19世紀の芸術家なんだなと思わせる。 音楽が消費される(クラシックも例外ではないだろう)現代にあっては、芸術作品から心を動かす体験の代わりに、気晴らしとか知的興味の刺激しか求められないとワルターはいう。 12音技法や無調音楽を否定するところなんて、ある意味老害みたいだけど(マーラーの愛弟子とも思えない発言だ)、ワルターの演奏は今聞いてもいよね。この一冊をベートーヴェンの交響曲全集を聞きながら読んだ。8番は絶品かも。
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20世紀を代表する指揮者の一人ブルーノ・ヴァルターが晩年に、長年の音楽家としての経験を踏まえて、音楽そのものについて、指揮の実践について、そしてオペラとその演出について深い思索を綴った一冊。彼の洞察を凝縮した言葉として、次のものを引いておく。「再創造音楽家としての才能の基準は、ほ...
20世紀を代表する指揮者の一人ブルーノ・ヴァルターが晩年に、長年の音楽家としての経験を踏まえて、音楽そのものについて、指揮の実践について、そしてオペラとその演出について深い思索を綴った一冊。彼の洞察を凝縮した言葉として、次のものを引いておく。「再創造音楽家としての才能の基準は、ほかでもない、他人のものをすっかりわがものとし、作品の要求するものが強制を意味しないばかりか、それを自分の要求と感じる、そういう能力である。その能力があれば、作者に由来する法則性のなかでみずからを自由に感じ、演奏は自発的に作用するだろう。なぜならその場合は、作曲者の心とひとつになって鼓動することを学んだ自分自身の心にしたがうからである」(44頁)。このことばに込められた洞察は、音楽を志すものが誰しも一度は心に刻む必要があろう。そして、ここに示される外的な技能と内的な必然性の調和、音楽と舞台表現の調和ということが、ヴァルターの音楽思想の軸をなしている。彼の無調音楽に対する敵意や人智学への傾倒を割り引いても、音楽に関わるすべての人に一読を薦めたい。とくに指揮者とオペラの演出家にとっては、一度は通過すべき洞察が含まれている。
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