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失われた時を求めて(5) ゲルマントのほう Ⅰ 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2013/05/18 |
JAN | 9784003751145 |
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失われた時を求めて(5)
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失われた時を求めて(5)
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ゲルマント家の館の一角に引っ越してきた主人公は、ゲルマント公爵夫人に強い憧れを抱くようになる。 そして、彼女のおい、サン=ルーと友達になり、兵舎まで会いに行って、彼を通じてなんとか彼女に近づこうと画策する。 また、サン=ルーとその愛人との仲違いも描かれる。 正直言って、これらの...
ゲルマント家の館の一角に引っ越してきた主人公は、ゲルマント公爵夫人に強い憧れを抱くようになる。 そして、彼女のおい、サン=ルーと友達になり、兵舎まで会いに行って、彼を通じてなんとか彼女に近づこうと画策する。 また、サン=ルーとその愛人との仲違いも描かれる。 正直言って、これらの部分にはあまり入り込めなかった。 僕の心に響いたのは、主人公がしばらく離れていた祖母に電話をかけたことをきっかけに祖母の孤独に思いを致すところだ。 また、そこかしこに散見されるプルーストの芸術論や人間観も興味深かった。 『その声は優しかったが、また、なんと悲しい声だったことか。その悲しさは、なによりもまずその優しさ自体に起因する。 ―中 略― 悲しさのもうひとつの要因は、その声だけを身近に聞き、顔という面相を介さずにその声に直面した私が、生涯にわたりその声にひび割れを生じさせてきた深い悲しみにはじめて気づいたことにある。 ―中 略― むしろこの声の孤立は、もうひとつの孤立、はじめて私とひき離された祖母の孤立の、象徴であり、想起であり、直接の結果だったからであろう。』(「第3篇ゲルマントのほうⅠ」以下同じ。) 『われわれがなにかを感じる世界と、考えたり名づけたりする世界はべつであり、この両者を対応させることはできるが、両者の隔たりを埋めることはできない。 ―中 略― ところがそのとき私の考えていたのはラ・ベルマの演技を深く知ろうとすることだけで、私の頭にはそのことしかなく、その演技に含まれているものをそっくり受けとるべく私の思考をできるだけ広く開いておこうとしていた。ほかでもない、それこそ賞讃するということなのだと、いまや私も納得したのである。』 『まったく耳が聞こえない者にとって、ひとつの感覚の喪失はひとつの感覚を獲得したときと同じほどに多くの美を世界にもたらすもので、 そんな人はこの「地上」をいまだ音が創造されていなかったころの楽園のようにうっとりとして散策する。』 見えない者には、見えないことで見えてくる世界があるのだろうか。 であるなら、見えないこともそれほど悲観するまでもないのだが。
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ラ・ベルマの2度目の観賞を通して、一回目とは全く異なる芸術観が示される。 サン・ルーの部屋での音の描き方。 軍事談義の奥深さ。 電話の描き方。深め方。 どれも舌を巻く。 毎度のことながら、訳者後書きが理解を深めてくれる。
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これは小説なんだけど、小説だと思わないで、20世紀初頭のフランスにいた1人の青年のエッセイだと思うと気楽に楽しめる。初めて祖母に電話した時の描写などは素晴らしい感性だと感心する。 主人公の家族に関してこれまでおばあちゃんとレオニ叔母さん、それに女中のフランソワーズは存在感があっ...
これは小説なんだけど、小説だと思わないで、20世紀初頭のフランスにいた1人の青年のエッセイだと思うと気楽に楽しめる。初めて祖母に電話した時の描写などは素晴らしい感性だと感心する。 主人公の家族に関してこれまでおばあちゃんとレオニ叔母さん、それに女中のフランソワーズは存在感があったが、両親や祖父はあまり印象に残らなかった。一緒にいる時間が少ない事もあるだろうが。この巻ではそれぞれの人となりが此までよりもくっきりしてきた。
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