死刑でいいです 孤立が生んだ二つの殺人 新潮文庫

池谷孝司【編著】

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2013/04/30
• JAN: 9784101387116

商品レビュー

2025/03/02

連続殺人犯の山地悠紀夫の生い立ちと事件の概要を紹介した本。

母親の殺害と女性2人（姉妹）を殺害した事件内容なので、概要としてはシンプルで、また、本人があまり語る事が少なかったという事で事実にまつわる部分は情報量が少なく感じました。

本書はどちらかというと、アスペルガー症候群や発達障害など、精神疾患が事件を起こさせる可能性と、後天的な生い立ちの要素が特異な事件を引き起こす可能性があるのか、といった犯罪者を生み出す原因を考える事が主体になっています。

また再犯の可能性や出所後のケアの必要性が重点的に語られていて、誠実で、問題提起が明確な内容なので非常に分かりやすかったです。

ただ憶測や想像に頼るしかない部分が必然的に多くなってしまう事柄なので、独善的な解釈で展開されていく感じが少し残念でした。

結論はとても良いと思いますが、著者の想像力の低さと偏った評価が、中立な判断を邪魔をしてる感がある。

2024/09/28

人それぞれが抱える問題。
昔は落ち着きがない、ちょっと変わっているという程度だった性格的なものが、最近では適応障害等といった病名が付けられるようになった。
ただ、その診断はまだまだ明確な共通のものがあるわけだはないため、医師によっても違う。
この話の中心となる犯人も何かしらの症状があったと思われている。
彼は母親を殺した後に少年院に入り、その5年後に面識のない姉妹2人も殺してしまう。
第2の殺人は防げなかったのか…とこのルポルタージュは問いかける。
彼の持っていた症状に適した処遇が必要だったのではないか。
それが出来なければ、また同じような犯罪が続いてしまうのではないか…
見た目や少しの診断ではわからないことが多いため、非常に難しい問題。
障害への理解と認識も世間に必要になる。

2024.9.28

2022/12/03

犯人の生育環境に色々問題があって気の毒だった。
カッコ悪いところを意地でも見せたくないって思いが強すぎて周りに虚勢張ったり心を開かない様子がしんどそうだと思った。
山地を支えてくれた人はいたけれど結果的には楽観的だと思う判断が多く爪が甘いと感じた。