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愛知県のことば 日本のことばシリーズ23
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 明治書院 |
発売年月日 | 2013/03/22 |
JAN | 9784625624230 |
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愛知県のことば
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愛知県のことば
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・江端義夫編「愛知県のことば」(明治書院)は 県別の日本のことばシリーズ23である。編者江端氏の「総論」「県内各地の方言」と、資料的な「方言基礎語彙」「俚言」「生活の中のことば」の5つの部分 からなる。愛知県方言に関する記述はすべて江端氏が、資料を他の3人が受け持つといふ形になつ...
・江端義夫編「愛知県のことば」(明治書院)は 県別の日本のことばシリーズ23である。編者江端氏の「総論」「県内各地の方言」と、資料的な「方言基礎語彙」「俚言」「生活の中のことば」の5つの部分 からなる。愛知県方言に関する記述はすべて江端氏が、資料を他の3人が受け持つといふ形になつてゐる。基礎語彙には「調査地点:名古屋市」とある。愛知県 全域ではなく、名古屋市の基礎語彙表といふことである。従つて、これは私にはいささか他人行儀である。例へば最初のあたり、愛嬌、挨拶、愛想……と並び、 これらの「アイ」にはエァーと当ててある。この発音は三河にはない。尾張では馴染み深くとも三河には縁遠い。私にはそんな語彙表に思へる。ところが、次の 俚言はさうではない。量的には基礎語彙の半分以下であるが、こちらには馴染み深い語が多く出てくる。〈凡例〉にかうある。「本章は前章の『方言基礎語彙』 以外で、本地域特有のことばをまとめたものである。」(177頁)ごく大雑把な言ひ方をすれば、これが愛知県方言語彙集である。方言書や地誌類によるだけでなく、何人かのお年寄りの情報提供者が関はつてできてゐる。その方達による具体的な用例が、アクセント、標準語訳付きで示される。東三河、といふより、 ここでの豊橋のお年寄りの用例は、実際に自分で使ふことがない語であつても、アクセントも含めて私にはほとんどそのままで理解できる。もちろん知らない語 もある。それらでも、私自身の知識と比べてみると、何となく腑に落ちていく。このあたりは尾張方言との違ひである。尾張の人達は私と逆のことを感じるに違ひないが、考へるまでもなく、さういふものが方言、あるいは方言語彙なのである。 ・江畑氏の総論中にこんな一文がある。「方言とは、音韻法則どおりとか比較言語学の原則に従うものではないのである。誰と出合ひどの道を通って交流し食料を得たか、どこと婚姻を結び、どんな信仰生活を保ったか、そういった人間の歴史が反映されているものである。」(28頁)これは当然のことである。田舎へ行くと、どのあたりまで買ひ物に行つたかとか通婚圏はどこまでかとか尋ねることがある。これである程度の交流範囲が知れる。それぞれの中でお互ひに影響関 係がある。ここからここまではかうでここからあそこまではああだといふやうに、人間の営みといふもの、截然と分けて考へることはできないのであると私は思 ふ。江畑氏の方言の境界に関する考へもかういふところからくるのであらう。様々な観点の「それらの結果を総合するモノサシをどこに求めたらいいか、誰にも 分からない。」(12頁)だから、そんなに簡単に方言の境界など決められないといふのである。愛知県に関しては「多くの先学はアクセントのちがいを重視し て、尾張対知多・西三河対東三河に三分類しがちである。しかし、これは安易ではなかろうか。」(同前)といふ。私のアクセントは尾張のとは違ふが、それが 三河と尾張の決定的な差だとは思へない。では何か。もちろん私にはそれをきちんと指摘できない。しかし、境界に関して、「地理言語学的方法を駆使して、最 も勝れた方法を発見することが要請される。」といふ点には同感する。総論の基本はこのやうな通説への懐疑にある。それがあちこちにある。「『方言区画』は まちがっている。『方言集合』と言うべきだ。」(6頁)これは註にある一文である。他にも注目すべき見解の多くが註で示されてゐる。これを読んでいくだけ でもおもしろい。これと先の俚言を合はせれば最強の愛知県方言書になりさうな気がする、とはいささか大袈裟だが、実際、さうかもしれない書ではある。
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