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歌舞伎座誕生 團十郎と菊五郎と稀代の大興行師たち 朝日文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 朝日新聞出版 |
| 発売年月日 | 2013/03/07 |
| JAN | 9784022617552 |
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歌舞伎座誕生
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商品レビュー
3.5
6件のお客様レビュー
1889年落成の「歌舞伎座」を軸に、幕末・明治期の歌舞伎の歴史をテーマとしているが、本書がユニークなのは、役者の演技論や作家の文学論には深入りせずに、もっぱら興行システムの変遷を、金主・座元・役者間の「カネ」と「コネ」の入り組んだ生々しい人間関係に重きを置いて明らかにしているこ...
1889年落成の「歌舞伎座」を軸に、幕末・明治期の歌舞伎の歴史をテーマとしているが、本書がユニークなのは、役者の演技論や作家の文学論には深入りせずに、もっぱら興行システムの変遷を、金主・座元・役者間の「カネ」と「コネ」の入り組んだ生々しい人間関係に重きを置いて明らかにしていることだろう。いわゆる「団菊左」時代だが、本書の最大のキーパーソンは団十郎でも菊五郎でもなく、江戸三座の1つ「守田座」(維新後は「新富座」)の座元で、後に歌舞伎座にも関係する12世守田勘彌である。江戸の芝居小屋から近代の劇場へ変化する過程を、この稀代の興行師の盛衰に焦点を合わせることで、その「近代化」の意義と近世人ならではの限界が見えるようになっている。江戸の興行体制と無縁の世界から現れる松竹の「最終制覇」という「結末」(本書ではエピローグで簡単に言及される)を知っている現代人からすると、まさに「過渡期」であったことが痛感させられた。
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- ネタバレ
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明治維新と、それにともなって歌舞伎役者と歌舞伎そのもののステータスが上がっていく様子が、とても興味深く読めた。芝居の歴史を興行の面から描いた名著だと思う。
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サブタイトルにある”稀代の興行師たち”とは幕府官許の江戸三座森田座の座元守田勘彌、歌舞伎座建設の中心人物となる福地櫻痴、金貸しで興行の金主となる千葉勝五郎、田村成義らを指すが、本書の主要人物と言えばもっぱら守田勘彌である。 本来は福地櫻痴こそが本書の主人公となる筈だが、そのあまり...
サブタイトルにある”稀代の興行師たち”とは幕府官許の江戸三座森田座の座元守田勘彌、歌舞伎座建設の中心人物となる福地櫻痴、金貸しで興行の金主となる千葉勝五郎、田村成義らを指すが、本書の主要人物と言えばもっぱら守田勘彌である。 本来は福地櫻痴こそが本書の主人公となる筈だが、そのあまりに波瀾万丈な生涯を前にすると他の奇人たちが霞んで見えてしまう。 書名から歌舞伎座誕生の経緯を描いたノンフィクションを想像するが、安政七年(1860)悲劇の立女形澤村田之助のデビューから明治36年九代目市川團十郎の死までの長いスパンを描く渾身のノンフィクション。 金と欲、プライドの激突、義理と人情が渦巻く当時の劇界。 そしてあまりに多い火事による劇場の焼失。 歌舞伎座建設の立役者となる福地櫻痴について描くために前半部分は当時の政界の抗争がまた丁寧に描かれ、政治部分だけとっても読み物として十分手応えがある。 本書タイトルが損をしているようにも思えるが、やはりこれしかないようにも思える。
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