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聖書考古学 遺跡が語る史実 中公新書
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聖書考古学 遺跡が語る史実 中公新書

長谷川修一【著】

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聖書考古学 遺跡が語る史実 中公新書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2013/02/23
JAN 9784121022059

聖書考古学

¥220

商品レビュー

3.9

42件のお客様レビュー

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2025/12/04
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※このレビューにはネタバレを含みます

"アッシリアの碑文には「ビート何某」という単語で王国を指す言い回しがよく使われている。「ビート」というのはアッシリアの言葉で「家」を指す言葉の変化形であるから、言い換えれば「何某家」という意味になる。この「何某」の部分にはその家を興したと考えられている人物の名前が入るのである。「何某王朝」と同義であると言ってもよいだろう。" p.153 さて。まずは、この手の書物に物申したい。文章で説明したがりすぎ。年表なり一覧なり、理解しやすい形式の視覚表現はできんものかと。 閑話休題。 明き盲とはよく言ったもので、たしか『B.C.1177 古代グローバル文明の崩壊』を読んだ時に、聖書というものがある程度現実の歴史を語るものらしいいうことに気付かされた。カトリックの幼稚園に通っていたので物心付く前から親しんではいたが、聖書に書かれていることは、伝説、説話の類という認識だったので、言われてみればそうかもしれないと思ったのが、本書を読むきっかけともなった。 逆説的にいえば、学校の授業で"歴史"として教えられてきたことが聖書由来であったかもしれないとか、考えたこともなかった。なにか事実であるという裏付けによって学問として成立していると考えていた。 本書に見た二大トピック。 ひとつは、ダビデとソロモン。本書は聖書に対して舞台となった地域の周辺地域の史料と対照する方法を採っている。聖書に書かれている人物、出来事に対して、周辺地域の文明が残した記録と照らし合わせる。その方法でダビデとソロモンという名前を調べたとき、ダビデについてはダビデ家あるいはダビデ王朝といえる記述が見受けられたが、個人の名前としては見つかっていないこと。ソロモンについてはなにひとつ見つかっていないことが挙げられている。 もうひとつは一神教の形成。ユダヤ教の神はなにかというと民に罰を与える。こんな神をよくもまあ信仰するものだというのが常なる感想だが、これがキモだという。当時はヤハウェも多神教の一柱であったという。民族的苦難に出会ったとき、その原因が対立する神に敗北したということになっていたならば、宗派は廃れたであろうという見方があるらしい。アンモンの神ミルコムや、モアブの神ケモシュのように、他の神に敗北したのではなく、神は健在で、民に罰を下しているのだという解釈が信仰を生きながらえさせ、ひいては一神教を形成したという。 本書の立場は、聖書記述に重きを置きすぎた過去の反省に立脚しているので、聖書記述をあてにしないよう配慮している。考古学は発見した証拠を解釈するものなので、解釈した人物の恣意が入りすぎることがあり、そのために学問として信頼を失う危険性がある。慎重に解釈したとしても確かな証拠たりえるとは言えないため、文字資料の場合は特に文学的研究になりがちであるともいう。研究に成果が求められる以上、仕方のないことではあるが、これもまた危険である。人文は権威化すると覆すのに多大なコストがかかる。科学的手法は助けにならないか? 放射性炭素年代測定法はわりと幅のある結果が出るので、これもまた当てにしすぎることはできない。なんとも難しい。 聖書考古学というものを知ってみたら、どちらかというと否定的なものであったというのはスパイスが効きすぎてる。それも含めて面白い。

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2025/07/08

聖書、特に旧約について、「聖書に書かれていることは本当に起こったことだろうか?」を考古学、または史料批判の立場から見ていくという本。これは面白そう。著者ひとりの考えではなくて、現在の学会で主流となっている見方を紹介してくれるので説得力がある。ただ旧約を読んだのは随分前のことになる...

聖書、特に旧約について、「聖書に書かれていることは本当に起こったことだろうか?」を考古学、または史料批判の立場から見ていくという本。これは面白そう。著者ひとりの考えではなくて、現在の学会で主流となっている見方を紹介してくれるので説得力がある。ただ旧約を読んだのは随分前のことになるし、十戒や海が割れる奇跡といった派手で有名な場面は学問的にはスルーされるので、アブラハムって誰だっけ、モーセって何したんだっけ、と記憶をたどりながら楽しむことになる。日頃から聖書に親しんでいる人たちが読んだほうが面白いだろう。信仰そのものには深入りせず、史書として旧約を読み解くという姿勢なので、異教徒?のぼくも楽しんで読めた。

Posted by ブクログ

2025/06/23

 宗教を批判的に検討することは難しい。なぜなら、信教徒でなくとも情報が溢れる今日では多かれ少なかれ、バイアスがどうしてもかかってしまうからである。本書も、そのような断りをいれつつ展開していく。  自分は、歴史についても、聖書についても詳しい知識を持ち合わせていないが、そんな人間で...

 宗教を批判的に検討することは難しい。なぜなら、信教徒でなくとも情報が溢れる今日では多かれ少なかれ、バイアスがどうしてもかかってしまうからである。本書も、そのような断りをいれつつ展開していく。  自分は、歴史についても、聖書についても詳しい知識を持ち合わせていないが、そんな人間でも読み解けるほど解説が丁寧であり、歴史的な考証も論理的で読みやすい。現時点において解釈するに足る資料が不足している場合はその旨をはっきりと記載している部分がさらに信頼性を高めている。  さらに、豊富な写真資料が掲載されており、こちらも当時のイメージを想像し、時代的背景を整理することに一役買っている。  教養として語られる機会も多い聖書について、裏打ちされた知識を身に付けたい方におすすめする。

Posted by ブクログ