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悪意の手記 新潮文庫
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悪意の手記 新潮文庫

中村文則【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2013/01/29
JAN 9784101289540

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悪意の手記

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商品レビュー

3.8

101件のお客様レビュー

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2024/10/13

電車の中だと気が散り、仕事終わりだと疲れて眠くなり、また小刻みに読むと内容を忘れてしまうため、読み進めることに非常に気を使う小説だった。 結果的に、自宅で一気読み。 頭の中を この物語のことでいっぱいにする必要があったし、読後はとても疲れてしまったが、読む価値のある話だった。 ...

電車の中だと気が散り、仕事終わりだと疲れて眠くなり、また小刻みに読むと内容を忘れてしまうため、読み進めることに非常に気を使う小説だった。 結果的に、自宅で一気読み。 頭の中を この物語のことでいっぱいにする必要があったし、読後はとても疲れてしまったが、読む価値のある話だった。 人を殺した人間には、自らの罪に罪悪感を持つタイプと持たないタイプがいる。 主人公は後者だ。 しかも親友を殺害する前から何度も自殺を試みているがいずれも失敗している。 この世界に生きている魅力を感じず、かといって死ぬことへの恐怖にも耐えきれない。 死ぬかもしれないという病気がまさかのまさか、完治してしまい、自然に死ねなくなってしまったところから、主人公の苦悩と暴走は始まる。 自分自身、殺人者は刑務所に服役し出所したあと、自分の人生をどのように捉えているのか、とても気になっていた。 例えばこの物語にも出てくる、暖かい陽の光に感動したり、目に涙を溜めるような瞬間は、果たして訪れるのだろうかと。 そして、責任をとるということはどういう風に捉えて居るのかと。 もちろん、殺害した人間は蘇らない。殺害への対処刑として死刑はあるが、執行には長い裁判からの判決、それに忍耐が必要だ。 この話は前半、加害者側の一人称で語られ、後半は被害者の視線を交えながら再び加害者の主人公の目線に戻って結末を迎える。 病気になり、周りは生きていく日常が約束されているのに、自分だけが死ぬという日常が、主人公を狂わせてしまった。 人を殺すことで逮捕され、地に落ちた自分を救ってくれる誰かが現れるのを期待している、という描写。 それに絡めて、多くの人間から容認されれば、時と場合によって人殺しは日常になる。 という箇所もハッとさせられた。 多人数の支持を得られれば、常識は変化するのだと。 それを自分勝手に解釈し、ルールを我がもの扱いした主人公が怖かった。 正当化するのに自白したくなかった主人公が、最後には自らの犯行を告白する場面では、涙が出てきた。 それはきっと、彼の中に少しだけでも良心があることがわかったからかもしれない。

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2024/04/02

大学に通っていた頃、当時俺が悩まされていた家庭の問題だったか、或いは精神状態の話だったか、何かは忘れたが、唐突でくだらない、しかし自分だけが刺されているのではないかというようなテーマで講義が進むことが度々あった。自分の研究成果を嬉々として語る教授には強烈な憤りを覚え、それに喰らい...

大学に通っていた頃、当時俺が悩まされていた家庭の問題だったか、或いは精神状態の話だったか、何かは忘れたが、唐突でくだらない、しかし自分だけが刺されているのではないかというようなテーマで講義が進むことが度々あった。自分の研究成果を嬉々として語る教授には強烈な憤りを覚え、それに喰らいついて意見を述べる熱心な学生には虫唾が走った。一応の健康を取り戻した今、あそこでうまくやれていればというやりきれない思いが毎日波のように押し寄せる。何はともあれ進んでいくしかないのだけれど。この春から大学生になる弟には、悔いのない学生生活を送ってほしい。

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2024/02/23

ミステリーに近い純文学という印象を受けた。 主人公の序盤での殺人からの心理的な様子、そして終盤でのそれを抱えてなおも生きて償うという姿勢がなぜだか人間らしく感じた。 少なくとも殺人者という現実は変わっていない。善良である訳が無い。 ただ、暗いだけではなく、少年犯罪というテーマに即...

ミステリーに近い純文学という印象を受けた。 主人公の序盤での殺人からの心理的な様子、そして終盤でのそれを抱えてなおも生きて償うという姿勢がなぜだか人間らしく感じた。 少なくとも殺人者という現実は変わっていない。善良である訳が無い。 ただ、暗いだけではなく、少年犯罪というテーマに即した物語だったと思う。 起きてしまった事件に対して本当に償うこと・責任を取ることなど誰にもできないと感じた。 だからこそ、日頃人間が生活する中で小さな殺意が生まれたときにこの話を思い出したい。 手記という形式だからこそ心に刺さるものがあり、リアルに感じた。

Posted by ブクログ

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