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一九三四年冬 乱歩 創元推理文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2013/01/21 |
JAN | 9784488427115 |
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一九三四年冬
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江戸川乱歩が実際に失踪した4日間のホテル暮らしを下地にした本作。ホテルでの生活中に書かれる作品の幻想性と内省する中年作家の現実性のギャップがすごく良かった。 乱歩の夢見た奇々怪々な夢想世界はこんな感じだったのかもしれないと思え、またスランプや中堅作家としての今後に自信喪失している...
江戸川乱歩が実際に失踪した4日間のホテル暮らしを下地にした本作。ホテルでの生活中に書かれる作品の幻想性と内省する中年作家の現実性のギャップがすごく良かった。 乱歩の夢見た奇々怪々な夢想世界はこんな感じだったのかもしれないと思え、またスランプや中堅作家としての今後に自信喪失している姿はいかにも乱歩らしいなと思いながら読めました。
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★そのとき、誰かがドアを三度ノックした。(p.20) ■5つのポイント ・スランプにより乱歩が逃避してきたのはアール・デコとかアール・ヌヴォーの洋館ふうホテル。 ・耽美的な作中小説「梔子姫」は多くの人が言ってそうですが、乱歩より乱歩らしい。すごいです。口がきけず軟体動物のような梔...
★そのとき、誰かがドアを三度ノックした。(p.20) ■5つのポイント ・スランプにより乱歩が逃避してきたのはアール・デコとかアール・ヌヴォーの洋館ふうホテル。 ・耽美的な作中小説「梔子姫」は多くの人が言ってそうですが、乱歩より乱歩らしい。すごいです。口がきけず軟体動物のような梔子姫の肉体と無垢な心に溺れる主人公。梔子姫のいる娼館の謎。 ・ホテルのボーイで美青年の翁華栄(おう・ふぁーろん)と若き人妻でマンドリンを演奏し探偵小説マニアのメイベル・リー。謎のままだった灰色の猫。 ・誰もいないはずの隣室から覗かれている? 乱歩は覗くのは好きだが覗かれるのは怖い。その隣室でかって起こった事件。 ・宇野浩二、ポオ「アナベル・リィ」、アーサー・マッケン『夢の丘』、ビアズリー、ハリー・クラーク、渡辺温、谷崎潤一郎、ラブクラフト「エーリッヒ・ツァンの音楽」、ブラックウッド「いにしえの魔術」、海野十三の深夜の散歩、萩原朔太郎『猫町』誕生秘話などいろんな作品や著者についての話題。 ■江戸川乱歩についての簡単なメモ(リアルの乱歩ではなく、あくまでもこの作品中の乱歩のこと) 【一行目】微かに身じろぎすると、洋風のバスタブいっぱいに張ったお湯の表に、赤や黄の小波が立つ。 【宇野浩二】乱歩が文章のお手本にしていたとか。 【翁華栄/オウ・ファーロン】張ホテルのボーイ。美青年。いろいろタイミングよく(わるく?)顔を出す。甘いヘリオトロープの匂いがする。若いがものがわかっており気が利き知識も豊富なようだ。 【押絵と旅する男】乱歩の傑作のひとつ。《『押絵と旅する男』を書いて、死ねばよかったのだ。》p.150。正直個人的にはこの辺の作品以降はあまり好みではなかったりします。 【女好き】《女が好きだから女に好かれるのである。》p.94 【恐怖】地震恐怖症。蝋燭恐怖症。《乱歩には、恐怖というものは、命が惜しいという気持ちと、必ずしも結びついているとは思えないのである。乱歩は地震の底の、そのまた底に、神の意志のようなものを感じるのである。つまり、乱歩にとっては、この世に自分が生まれてきたことと同じ意味で、地震が怖くてならないのである。》p.119 【健康】《仁丹は理性の友である。ついでに言うなら、胃には鍵胃散、鼻づまりにはミナト式、江戸川乱歩はこの三つでなんとか保っている。》p.102 【空也】もなかの老舗。一度食べてみたいです。 【死】《他人にとって、自分は、もう死んでいるのかもしれない。》p.128。《ポオにあって乱歩にないもの――それは背中合わせに貼りついている〈死〉の予感なのだった。》p.150。《死の予感がないことへの〈ぼんやりした不安〉である。》p.154 【出版年】執筆は1991年から1993年で出版は1993年らしいので30年前だが古さは感じない。 【損なわれている】損なわれていることによる美があると乱歩は思う。 【題名】《題名は短篇の命である。》p.103 【谷崎潤一郎】乱歩がけっこう意識していた? 【男色好み】乱歩は自分のそういう傾向を意識はしている。 【探偵小説】《だいたい、土蔵と寺と蝋燭を登場させてはいけないということになったら、大概の探偵小説や怪奇小説は成り立たなくなる。》p.125 【張ホテル】舞台となるホテル。アール・デコかアール・ヌヴォーふうの洋館。そういう名前のホテル自体は実際にあったらしい。 【猫】ポオを奉っている乱歩は作中で猫を使うことに気後れする。が、ホテルに灰色の猫が登場したことで。 【禿】乱歩のコンプレックスのひとつ。 【馬生】落語家。後の志ん生と思われる。《去年の暮れ『悪霊』が書けなくなったのは、馬生のせいである。》p.120。馬生を聞くと自分の文章がざーとらしいと感じられるようだ。 【描写】乱歩は意外に描写をしていないのだとか。 【闇】《蝋燭一本の世界は真の闇よりもっと怖い。》p.123 【渡辺温】乱歩が目をかけていた作家だが早世した。創元推理文庫の全集持ってます。けっこう好きです。半分くらいは。
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TBSのプロデューサーとして、向田邦子とのタッグによるTVドラマなどを手掛けた久世光彦の作家としての代表作。スランプに陥った江戸川乱歩が麻布のホテルに泊まり込んだ、という史実を元にした幻想小説なのだが、幻惑的な世界観に頭をやられてしまう傑作。 本作では、久世光彦自身の創作による...
TBSのプロデューサーとして、向田邦子とのタッグによるTVドラマなどを手掛けた久世光彦の作家としての代表作。スランプに陥った江戸川乱歩が麻布のホテルに泊まり込んだ、という史実を元にした幻想小説なのだが、幻惑的な世界観に頭をやられてしまう傑作。 本作では、久世光彦自身の創作による「梔子姫」という乱歩の架空の作品が小説内小説として描かれるが、これがまた大変に素晴らしい。この作品を執筆しながら、乱歩はホテル内で不可思議な体験にでくわしていくのだが、「梔子姫」のストーリーの盛り上がりと、乱歩自身が出くわす体験のミステリアスさがシンクロし、読み手を幻想の世界へ誘う。
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