ザ・清輝 花田清輝全一冊

花田清輝(著者)

• 販売会社／発売会社: 第三書館
• 発売年月日: 1986/06/01
• JAN: 9784807486076

商品レビュー

2025/02/20

今、花田清輝を読む者はあるまい。時代と共に読まれる作家や作品はその殆どが幾ばくかの変遷を辿りやがては忘れ去られていく。例えば私が小学生だった頃、日本文学の私小説の嚆矢、田山花袋「布団」を読んだ人、挙手してください。家元、読んでいません。
本著は彼の全て作品を網羅した第三書館の「ザ・作家シリーズ」第10。1986年６月１日初版発行、価格¥2,200。
随筆三国志『蜀犬、日に吠ゆ』三国志をめぐって(一)。『怪力乱神を語る』三国志をめぐって(二)。『二桃、三士を殺す』三国志をめぐって(三)。『処士横議』三国志をめぐって(四)。『良禽は木を選ぶ』三国志をめぐって(五)。『燕人張飛』三国志をめぐって(六)。『儒生、時務を知らず』三国志をめぐって(七)。『説三分』三国志をめぐって(八)。『矢は弦上にあり』三国志をめぐって(九)。『豆は釜中に在って泣く
』三国志をめぐって(十)。『烏に反哺の孝あり』三国志をめぐって(十一)。『撃壌歌』三国志をめぐって(十二)。以上は1968年９月号から1969年８月号まで１年にわたって『展望』に連載された。中華三国志外伝。中華文学好きの家元にとって面白く読ませて頂いた。
戯曲『爆裂彈記』は、明治中期の自由民権運動を女壮士、新聞記者、講釈師、演歌師の目を通してドタバタにストリーが展開する風刺戯曲。当時、自由民権運動は反体制運動。女は政治に関与せず、新聞記者は粗探しをして袖の下をせしめる羽織ゴロ、講釈師は「見てきたような嘘を言い」、演歌師は今の演歌(艶歌)を歌う歌手ではなく、政治演説を歌にのせて披露する、今で言うラッパーのようなもの。
1949年には日本共産党に入党。1957年に安部公房、岡本太郎、大西巨人、竹内実、長谷川四郎らと「記録芸術の会」結成し、アバンギャルドの旗手として名を馳せる。
他にシリーズとして、宮沢賢治、樋口一葉、森鴎外、夏目漱石、いし、芥川龍之介などかある。