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古典外交の成熟と崩壊(1) 中公クラシックス
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古典外交の成熟と崩壊(1) 中公クラシックス

高坂正堯【著】

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古典外交の成熟と崩壊(1) 中公クラシックス

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2012/12/08
JAN 9784121601377

古典外交の成熟と崩壊(1)

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商品レビュー

4.4

6件のお客様レビュー

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2025/04/27

高坂氏の分析は切れ味が鋭く、文体は流麗かつ平易であり、独特の輝きを放っています 本書は高坂氏の国際政治学の真髄とでも言うべき内容が込められている 高坂古典外交論の特色が最も鮮やかに示されている 十八世紀のヨーロッパ国際政治における勢力均衡が持った中心的な意味が探究される 「会議は...

高坂氏の分析は切れ味が鋭く、文体は流麗かつ平易であり、独特の輝きを放っています 本書は高坂氏の国際政治学の真髄とでも言うべき内容が込められている 高坂古典外交論の特色が最も鮮やかに示されている 十八世紀のヨーロッパ国際政治における勢力均衡が持った中心的な意味が探究される 「会議は踊る、されど進まず」 社交が政治の妨げにならず、むしろ政治や社会の営みを決定する側面があった 政治家たちが社交を楽しみ外交にゲーム的な色彩を帯びさせていた 古典外交がそもそも崩壊の種子を孕んでおり ウィーン体制はフランス革命とそれに続く混乱への応答であり 恐怖、特にジャコビニズムと戦争の恐怖がその強力な原動力となった ウィーン体制は条約の体系ではなく、理念と意図の体系であった 正統性の原則とヨーロッパ統一の理念 正統性の原則は本来国内的な原理ですが、ジャコビニズムの波及の恐れから国際関係にも適用されました フランスに寛大な平和が与えられました ブルボン王家の威信を高め、フランス国民に王のおかげだと信じさせる 領土的現状維持を第一の目的とし スイスの永世中立化や河川の国際化といった制度が確立されました 多様な人々や集団が代表を送り込み、確固たる平和への期待を抱いていました 勢力均衡論は秩序維持への楽観主義を伴っていました 多様性の中に活力と法の支配の保証があるという見方と結びついていました ウィーン会議における最大の議題はポーランド問題でした ロシアはナポレオン戦争の勝利によってヨーロッパ国家体系の完全な一員としての地位を要求し これは他のヨーロッパ諸国に恐怖感を与えました ポーランドを「現に所有している」として妥協は不可能であるかのような態度を示しました ロシアのポーランド復興計画がヨーロッパの平衡を破壊する プロイセンはザクセン併合を要求しました ドイツ連邦内のバランスを維持したいオーストリア ポーランド問題とザクセン問題は複雑に絡み合いました 会議の組織は必要性から生まれ、実態に合わせて形成されました 政治指導者が国内的制約に対して創造的な外交を展開し メッテルニヒはオーストリアの利益を最優先に考え、ヨーロッパの全体的・部分的均衡に配慮しました タレイランはフランスの国益のため、巧みに正統性の原則を利用しました 当時の政治家たちは幅広い教養と関心を持っていました 十八世紀後半の外交は、社交(サロン)と切り離せないものでした 政治をゲーム的な色彩を帯びさせ、目的達成のために急がず、待ちながら仕事をする方法 妥協を重視し、理念や情熱に流されずに事態を処理するという保守主義的な考え 敵対者であるナポレオンに対して、単なる敵意だけでなく、愛憎の念や好敵手としての感情も抱いていた

Posted by ブクログ

2023/12/29

故高坂正堯氏の数少ない学術論文集であり、氏の京都大学における博士論文である。学生時代に図書館で読んだが、博士論文がこんなに面白くていいのか!というのが第一の感想である。数式や抽象的なモデルを駆使して「科学」的な装いを凝らした近年の国際関係論にありがちな小難しい議論は一切なく、外交...

故高坂正堯氏の数少ない学術論文集であり、氏の京都大学における博士論文である。学生時代に図書館で読んだが、博士論文がこんなに面白くていいのか!というのが第一の感想である。数式や抽象的なモデルを駆使して「科学」的な装いを凝らした近年の国際関係論にありがちな小難しい議論は一切なく、外交史研究の王道を行きながら上質の文明論たりえている稀有な書物である。 高坂は我が国で初めて現実主義の国際政治学を打ち立てたと評されることが多いが、これは誤りではないにしても若干注釈が必要だ。多くのリアリストが言うように、外交は究極的には国益と国益がぶつかり合う闘争の場である。しかしそれが剥き出しのリアルポリティークと化すのを防ぎ、潜在的な対立を孕みながらも、互いの自制と協調によってともかくも安定を保つ上で重要な役割を果たしてきたのは、時に「正統性」あるいは「ヨーロッパ」と表現された共通の理念であり、また「文化」や「スタイル」とでも言う他ない緩やかな行動規範である。そうした共通基盤の上に、闘争と協調が絶妙のバランスを維持し、「古典外交」の頂点として結実したのが世に言う「ウィーン体制」であり、それが本書の主たる分析対象である。したがって高坂の外交論は極めて冷徹なリアリズムに根ざすものでありながら、近視眼的な国益優先とも偏狭なナショナリズムとも一線を画する。 だが時代の移り変わりとともに「古典外交」を支えた共通基盤は変質していく。交通・通信手段の発達により外交に求められるスピードが格段に速くなり、ナショナリズムの台頭により世論の動向も無視できなくなる。外交は性急に結論を求める粗野なリアルポリティークに傾斜し、「会議は踊る」と言われたウィーン会議が持っていた優雅なゲーム性は失われる。リアリズムの支柱であった勢力均衡も、かつてそれを生んだ「多様性への愛」ではなく、単なる自国の勢力拡大の手段と化してしまう。こうして古典外交は崩壊へと向う。 生粋の京都人であった高坂さんは、貴族が外交を担ったウィーン体制に最も愛着を持っていたように思う。本書の中でもウィーン体制と18世紀文化との関わりを論じた第3章は、まさに失われた貴族文化へのオマージュとも言うべき逸品で、高坂さんらしい薫り高い文章である。学術誌ではなく中央公論という一般誌に発表されたということもあるだろうが、専門分化された無粋な講壇知識人には到底真似のできない、英国貴族風の気品あるアマチュアリズムに満ちている。

Posted by ブクログ

2017/07/08

ナポレオン戦争後のウィーン会議における各国の動きを分析した本。ロシアとフランスに囲まれたオーストラリアとドイツが、同盟で結束する必要があったことや、ウィーン会議が実質強国の間で決められたことをなぞることになっていたものの、体面上はそうも出来ず、社交に明け暮れていたことなど。面白か...

ナポレオン戦争後のウィーン会議における各国の動きを分析した本。ロシアとフランスに囲まれたオーストラリアとドイツが、同盟で結束する必要があったことや、ウィーン会議が実質強国の間で決められたことをなぞることになっていたものの、体面上はそうも出来ず、社交に明け暮れていたことなど。面白かった!

Posted by ブクログ

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