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一四一七年、その一冊がすべてを変えた
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 柏書房 |
| 発売年月日 | 2012/11/26 |
| JAN | 9784760141760 |

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商品レビュー
4
37件のお客様レビュー
ルクレティウスの評価が高すぎる気がするが、ルネサンス期の紹介・翻訳・出版がいかに大切だったかが読みやすい文章で語られるのは心地よい。
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歴史・世界史好きには最高の1冊になりうる、ピューリッツァー賞作品(ノンフィクション)。題名の「その1冊」とは紀元前1世紀頃のルクレティウスによる哲学叙事詩「物の本質について」、そして1417年にそれを再発見したのはイタリアの公証人だった教皇庁の秘書、ポッジョ。この発見がルネサンス...
歴史・世界史好きには最高の1冊になりうる、ピューリッツァー賞作品(ノンフィクション)。題名の「その1冊」とは紀元前1世紀頃のルクレティウスによる哲学叙事詩「物の本質について」、そして1417年にそれを再発見したのはイタリアの公証人だった教皇庁の秘書、ポッジョ。この発見がルネサンスや啓蒙思想家、多数の科学者に多大な影響を与えて現代を形作っていったという壮大な物語。それなりの世界史知識があってもこの2人の名前を聞いたことがある人はいまい。ルクレティウスの本についてはエピクロス哲学の教義に基づいており、原子論を唱え(デモクリトスの考えの基になった)、死後の世界はないとし、宗教(当時は多神教)による禁欲や苦行を否定し、幸福を追求すべし、とする古代ギリシア時代ですでにこのような考えがあったことを驚かせる内容である。 古代ギリシア・ローマ哲学のルネサンス期による再発見はイベリア半島を中心とするイスラム世界を通じてだと思っていたが、本書によるとペトラルカを始めとした人文主義者が修道院の図書館から発掘してきた大昔の筆写本がきっかけと読み取れる。そしてポッジョはブックハンターとして、イタリア以外、とくにドイツやスイスの辺境地に新たな発見を求めて修道院の蔵書を目指す。これは古代遺跡の発掘に匹敵するようなロマンを感じさせる冒険だ。ストバイオス(4世紀)という文芸編集者が古代世界の作品を集めた1430の引用文のうち、1115文の引用元は消失しているという。今となっては知ることのできない作品がまだまだたくさんあることを示唆していて惜しまれる。 時代はルターの宗教改革のちょうど100年前の時代で、すでに教皇の権力は世俗の王に取って代わりつつあったが、聖職者の堕落や腐敗は公然の事実となっており、恐ろしい異端審問が横行する中世のイメージとは裏腹に、身内が内情を暴露することについては寛大だったとは驚きだ。3人の対立教皇による分裂を終息させるためのコンスタンツ公会議はフス火刑の図付きで世界史でも習うが、ポッジョがドイツに行くきっかけにもなっていて詳細が紹介されている。 「物の本質について」はその後ラテン語を読める知識人の間で広まっていくが、影響を受けた人物としては、芸術部門ではボッティチェリやダ・ヴィンチが挙げられている。それ以外にはマキャベリ、トマス・モア、ジョルダーノ・ブルーノ、アメリゴ・ヴェスプッチ、モンテーニュ、チャールズ・ダーウィンの祖父、アインシュタイン…といった具合。(フランシス・ベーコン、トマス・ホッブズも)そしてニュートンも原子論とキリスト教の両立を試みた1人。アメリカ独立宣言に、政府の使命が「幸福の追求」を支援することでもあると記載させたトマス・ジェファーソンの例も紹介されている。ブルーノと同時代人でトマス・ハリオットなる人物が、望遠鏡を建設して太陽黒点を観測し、惑星の衛星を観察し、惑星の楕円軌道を仮説した人物だったと未発表論文から発見されたとのことだが、この興味深い人物については別の機会に…
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ルクレティウス『物の本質』の再発見者ポッジョの生涯は、それを見つけるだけの潜在力はあったが、それを擁護し、広めるほどの信を抱いていたわけではないことが、当時の歴史的背景も含めて、詳しく述べられている。がっかりはしたが、パラダイムに抗するということがいかに困難かを思い知る。
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