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一四一七年、その一冊がすべてを変えた
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一四一七年、その一冊がすべてを変えた

スティーヴングリーンブラット【著】, 河野純治【訳】

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一四一七年、その一冊がすべてを変えた

定価 ¥2,420

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 柏書房
発売年月日 2012/11/26
JAN 9784760141760

一四一七年、その一冊がすべてを変えた

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商品レビュー

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2024/08/04

歴史・世界史好きには最高の1冊になりうる、ピューリッツァー賞作品(ノンフィクション)。題名の「その1冊」とは紀元前1世紀頃のルクレティウスによる哲学叙事詩「物の本質について」、そして1417年にそれを再発見したのはイタリアの公証人だった教皇庁の秘書、ポッジョ。この発見がルネサンス...

歴史・世界史好きには最高の1冊になりうる、ピューリッツァー賞作品(ノンフィクション)。題名の「その1冊」とは紀元前1世紀頃のルクレティウスによる哲学叙事詩「物の本質について」、そして1417年にそれを再発見したのはイタリアの公証人だった教皇庁の秘書、ポッジョ。この発見がルネサンスや啓蒙思想家、多数の科学者に多大な影響を与えて現代を形作っていったという壮大な物語。それなりの世界史知識があってもこの2人の名前を聞いたことがある人はいまい。ルクレティウスの本についてはエピクロス哲学の教義に基づいており、原子論を唱え(デモクリトスの考えの基になった)、死後の世界はないとし、宗教(当時は多神教)による禁欲や苦行を否定し、幸福を追求すべし、とする古代ギリシア時代ですでにこのような考えがあったことを驚かせる内容である。 古代ギリシア・ローマ哲学のルネサンス期による再発見はイベリア半島を中心とするイスラム世界を通じてだと思っていたが、本書によるとペトラルカを始めとした人文主義者が修道院の図書館から発掘してきた大昔の筆写本がきっかけと読み取れる。そしてポッジョはブックハンターとして、イタリア以外、とくにドイツやスイスの辺境地に新たな発見を求めて修道院の蔵書を目指す。これは古代遺跡の発掘に匹敵するようなロマンを感じさせる冒険だ。ストバイオス(4世紀)という文芸編集者が古代世界の作品を集めた1430の引用文のうち、1115文の引用元は消失しているという。今となっては知ることのできない作品がまだまだたくさんあることを示唆していて惜しまれる。 時代はルターの宗教改革のちょうど100年前の時代で、すでに教皇の権力は世俗の王に取って代わりつつあったが、聖職者の堕落や腐敗は公然の事実となっており、恐ろしい異端審問が横行する中世のイメージとは裏腹に、身内が内情を暴露することについては寛大だったとは驚きだ。3人の対立教皇による分裂を終息させるためのコンスタンツ公会議はフス火刑の図付きで世界史でも習うが、ポッジョがドイツに行くきっかけにもなっていて詳細が紹介されている。 「物の本質について」はその後ラテン語を読める知識人の間で広まっていくが、影響を受けた人物としては、芸術部門ではボッティチェリやダ・ヴィンチが挙げられている。それ以外にはマキャベリ、トマス・モア、ジョルダーノ・ブルーノ、アメリゴ・ヴェスプッチ、モンテーニュ、チャールズ・ダーウィンの祖父、アインシュタイン…といった具合。(フランシス・ベーコン、トマス・ホッブズも)そしてニュートンも原子論とキリスト教の両立を試みた1人。アメリカ独立宣言に、政府の使命が「幸福の追求」を支援することでもあると記載させたトマス・ジェファーソンの例も紹介されている。ブルーノと同時代人でトマス・ハリオットなる人物が、望遠鏡を建設して太陽黒点を観測し、惑星の衛星を観察し、惑星の楕円軌道を仮説した人物だったと未発表論文から発見されたとのことだが、この興味深い人物については別の機会に…

Posted by ブクログ

2023/02/27

ルクレティウス『物の本質』の再発見者ポッジョの生涯は、それを見つけるだけの潜在力はあったが、それを擁護し、広めるほどの信を抱いていたわけではないことが、当時の歴史的背景も含めて、詳しく述べられている。がっかりはしたが、パラダイムに抗するということがいかに困難かを思い知る。

Posted by ブクログ

2022/03/05

千数百年すっかり忘却されていたエピクロス主義の紹介者ルクレティウスと、ブックハンターとしてのポッジョ(1380〜1459)との遭遇がテーマ(解説より) トマス•ジェファーソンの独立宣言の中で、政府の使命として、「幸福の追求」を支援すること、を挙げているのは、ルクレティウスの影響...

千数百年すっかり忘却されていたエピクロス主義の紹介者ルクレティウスと、ブックハンターとしてのポッジョ(1380〜1459)との遭遇がテーマ(解説より) トマス•ジェファーソンの独立宣言の中で、政府の使命として、「幸福の追求」を支援すること、を挙げているのは、ルクレティウスの影響らしい。 数多ある予言のなかには、たまたま当たるものもあるのと同様に、数多ある学説のなかには、後世のものからすると、『こんな現代的な学説が当時からあったなんて』と思えることもあるだろう。難解な詩を読み解く時点でどうしても現代的な解釈をしているのではないか?と思わないでもない。 という点を割り引いても、以下の内容はルネッサンス的を飛び超えて現代的だなあ、と思った。原子論、無神論、進化論、量子力学、これで紀元前一世紀か。。 P231 ルクレティウスが投げかけた難題を構成する簡単なリスト 万物は目に見えない粒子でできている。 物質の基本となる粒子は永遠である。 基本となる粒子の数は無限であるが、形や大きさには制限がある。 全ての粒子は無限の真空の中で動いている。 宇宙には創造者も設計者もいない。 万物は逸脱の結果として生まれる。 逸脱は自由意志の源である。 自然は絶えず実験をくりかえしている。 宇宙は人間のために、あるいは人間を中心に創造されたのではない。 人間は唯一無二の特別な存在ではない。 人間社会は平和で豊かな黄金時代に始まったのではなく、生き残りをかけた原始の戦いの中で始まった。 霊魂は滅びる。 死後の世界は存在しない。 われわれにとって死は何ものでもない。 組織化された宗教はすべて迷信的な妄想である。 宗教はつねに残酷である。 天使も、あくまも、幽霊も存在しない。 人生の最高の目標は、喜びを高め、苦しみを現ずることである。 喜びにとって最大の障害は苦しみではなく、妄想である。 物の本質を理解することは、深い驚きを生み出す。

Posted by ブクログ

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