ブルー・ジャスミン ハーレクインSP文庫

ヴァイオレット・ウィンズピア(著者), 細郷妙子(著者)

• 販売会社／発売会社: ハーレクイン
• 発売年月日: 2012/10/13
• JAN: 9784596929259

商品レビュー

2020/08/02

面白かったです。
途中からどんどん面白くなり、夢中で読みました。
流れるような文章と物語の展開で、すらすらと読めます。でも、ちゃんと読み応えもあります。

内容としては、イギリスから砂漠に来た若い女性がアラブの王子にさらわれ、囚われ人となっている中に彼の逞しさ、勇敢さ、何より優しさに気づき愛してしまうー、砂漠のシークものの王道です。
ヒロインは最初は嫌がって、何度も逃げだそうとするのですが、決まって連れ戻されます。
二人で砂漠が見せてくれる様々な美しい風景を見る度に、ヒロインは砂漠を好きになり、その想いはやがて王子への恋心と同じように深まってゆくのです。

この物語を読む前、アマゾンの読者レビューで
ーヒーローはヒロインを攫ったけど、ヒロインが嫌がると無理強いはけしてしない。ここがポイントです。
というようなことを書かれている方がいました。
ある意味ではネタバレを読んでいたので、読んでいる最中も、ヒーローがヒロインに無理強いをしたり強引に迫ることはないと、安心して読めました。
そして、読了した今、この意見に、私もまったく同感です。
ヒーローはとても紳士ですね。
最近、流行りのTL小説、ライトノベルにも、これと似たようなシークものはたくさんあります。しかし、どれもが過激で、ある意味、残酷ともいえるほどシークが略奪したヒロインに迫る官能描写シーンが溢れています。何を売りにしたいのか正直、よく判らない作品があまりにも多いです。
ですが、この小説はとても情熱的でありながら、最初から最後まで、残虐的な官能シーンはまったくありません。潔いほど、プラトニックな二人です。
なのに、美しく烈しく、儚い砂漠の刻々とうつろう風景、幻想的でロマンティックな宮殿の情景ー様々な描写が熱く濃厚な異国独特の雰囲気を醸し出しています。その濃厚な雰囲気は、そのまま主役二人の間に漂う熱さと緊迫感も象徴しているようにも感じられます。
過激なシーンが一切なくても、情熱を伝えられることができるというのは、やはり作家さんの素晴らしい才能ゆえだと思いますし、とても勉強になりました。
とにかく、風景・情景描写が綺麗で、まるで自分もヒロインと一緒に悠久の砂漠や幻想的な砂漠の町を眺めているよう気持ちになれます。

これも先に読まれた方のレビューに「元祖シークもの」であると紹介されていましたが、まさに「元祖」だけあり、作品を一貫して流れる「静かな烈しさ」の迫力に最後まで圧倒されました。
ただ、敢えて言えば、攫われたヒロインが逃走に失敗、最後はヒーローを好きになり、ハッピーエンド。
言うなれば、それだけの話ともいえます。もう少し展開にメリハリというか、何らかの事件（試練？）やエピソードが織り込まれていた方が良かったのかな、勢いと魅力がある作品なので読者は引っ張られて最後まで読んでしまいますが、物語としては内容がやや平坦すぎるかなという印象はありました。

2013/02/23

宝塚の演目にも選ばれたことのある作品ということで、結構期待していましたが、個人的にはイマイチでした。

ヒロインの気性の荒さが好きになれなかったです。気の強いヒロイン、本当は好きなんですけどねー。この作品に出てくるローナは、ただ気性が荒いだけで、言葉選びとかがギスギスしていて、イヤだなーと感じました。

それにしても、ヒーロー（砂漠の王子様）の口説き文句の数々は凄かった！
こんな歯の浮くような台詞良く言えるなぁ…と、しょーもないところで感心しつつ読んでました。