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よろこびの歌 実業之日本社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 実業之日本社 |
発売年月日 | 2012/10/05 |
JAN | 9784408550992 |
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よろこびの歌
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商品レビュー
3.9
110件のお客様レビュー
女子高の2年、バラバラだったクラスの彼女たちが、合唱をきっかけに前に進んでいく物語です。 この話は、オムニバス形式で一篇ずつ視点の主人公が変わっていく形で描かれていきます。メインの主人公は音楽家の母を持ち、自分も音大附属高校に受かることを疑いもしなかった玲。高校受験で失敗し...
女子高の2年、バラバラだったクラスの彼女たちが、合唱をきっかけに前に進んでいく物語です。 この話は、オムニバス形式で一篇ずつ視点の主人公が変わっていく形で描かれていきます。メインの主人公は音楽家の母を持ち、自分も音大附属高校に受かることを疑いもしなかった玲。高校受験で失敗し、仕方なく進んだ先の高校では何もやる気にならず、けれど母に対するコンプレックスは深まるばかり。今までやってきたことすべてに裏切られたと思い、硬く凍って頑なになってしまった玲の心を揺さぶったのは、やはり音楽だった。クラスの合唱祭の指揮者に推薦されたところから、段々と何かが変わっていく。そして、一人の変化はクラスの他の女子生徒たちにも少しずつ影響を与え、やがてひとつの『合唱』になる。 舞台は合唱部でも、音楽に真剣に向き合う人たちの成長物語でもなく、とある私立高校の2年生のクラス。大抵は2年生にもなれば、そこそこ仲のいい友達ができたりして空気が緩むものを、友達もいない、ほとんど話もしない、自分から輪に入ろうともせず孤独を貫く一人の生徒。そんな彼女がメインの主人公として話が進んでいきます。 けれど、主視点が一人ではなくクラスの他の女生徒にどんどん移り変わっていくため、彼女たちが一様とは言えない悩みをそれぞれ抱えていることが見えてきます。さまざまな事情があり、いろいろなことで思い悩み、誰かのささいな言動で傷つくかと思えば、同じ人だったり他の人だったりのこれまたささいな一言で視界が開けたりして。 人間らしい彼女たちのそれら全てが、読んでいるうちになんだか愛しく思えて、ああ、生きてるなあと感じました。 生きていくって、きっとこういうことなんだよなあ、と思ったりしました。 私も、好きでずっと音楽に触れていた人間です。社会人になって、あまり触れる機会がなくなったと言えばそれまでですが、あの音楽に包まれている時の感覚は忘れられません。 舞台に上がって、眩しいライトを浴びて、緊張で高鳴る鼓動を押さえながら、入ってきた指揮者の腕が、指が、タクトが上がる瞬間を見る時の、張り詰めた空気。自分たちの出す音が、声が、指揮者の指やタクトに絡め取られて、自分の出したものだけでは到底届かないところに広がって響いていく楽しさと感動と泣きたくなるような心揺さぶられる何か。 それらは、多分適当にただなぞるだけでは味わえないものだと思います。それをみんなに知って欲しい、味わってほしい、そう願う主人公の玲は本人が思う以上に純粋で、音楽に対して真っすぐで。ああ、そうだったなあ、私もそうだった、と懐かしい何かを久しぶりに見せてもらったような心地になりました。 最後、素晴らしい唱を披露しただろう彼女たちが得たものはすべて、一片の無駄もなく彼女たちの糧になっていくのだろうなと思うと、眩しい気持ちです。 読後、また歌をやりたくなるような、あたたかで爽やかなお話でした。
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本以外でこんなに心情に触れることはない。 胸に秘めた想いの多さに驚き、表面的に見た世界はあくまでも表面なんだなと思った。 だからそっくりな経験をすることはできないけど、私自身も周りも大体「割り切れない何か」を持って生活してるなと思う。 この物語は高校だから結構想いや境遇を胸に秘めてる。 でも私は大学に行ってからこの手の話をいくらでも聞いてるなぁと思う。 胸のうちに秘めるけど分かち合いたい気持ちもどっかにあるのは思春期独特の価値観なのかも。 特に玲と千夏の話が好き。 音楽家の娘とうどん屋の娘ってとこだけ切り取ると階級?の違いみたいになっちゃうけどそういうのは特に書いてない。 玲は高貴なわけでもないし、千夏を馬鹿にするわけでもない。 千夏もれいのことを素敵だなと思ったり、であいを「僥倖」だと言っているけど、玲になれないとか、玲の境遇を妬んだりはしてないのが良い。 ただ何度読んでもカコだけは全く共感できないんだよなぁ。
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印象に残る表現があったり、優しい感じの文体が好きな感じはありましたが、割と現実的にある風景なのにうまく話が繋がっていないような印象を持ってしまいました。 最後は合唱が上手くいったり、玲が向かうべき道を見つける結末を期待してしまった自分がいけないのかもしれない。
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