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戦場の都市伝説 幻冬舎新書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 幻冬舎 |
発売年月日 | 2012/09/28 |
JAN | 9784344982758 |
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戦場の都市伝説
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商品レビュー
3.4
9件のお客様レビュー
本書は、様々な戦場で生まれた都市伝説を紹介、その背景を解説し、最後に著者の考察を添えるという形式で書かれている。ウガンダの内戦、ベトナム戦争、湾岸戦争等から生まれた都市伝説を経て、最終章は第二次世界大戦における日本軍の行為にまつわる都市伝説が紹介されている。個人的には、イラク戦...
本書は、様々な戦場で生まれた都市伝説を紹介、その背景を解説し、最後に著者の考察を添えるという形式で書かれている。ウガンダの内戦、ベトナム戦争、湾岸戦争等から生まれた都市伝説を経て、最終章は第二次世界大戦における日本軍の行為にまつわる都市伝説が紹介されている。個人的には、イラク戦争に関係する「僕を助けてください」と、ベトナム戦争に関わる「掘り起こされた棺」が特に心に残った。 ある夜中、イラクに駐留していた軍医トムは電話の音に起こされる。頭を撃たれて危険な状態のイラク兵士を手術してほしいと言う。トムが駆けつけると、手術室には誰もおらず、ナースは運び込まれた兵士などいないと言う。 二日後の夜中、トムは同じ電話でまた起こされる。トムは、間違いのないようにと、今度は負傷兵の名を確認する。「マハト」という名の兵士だという。ところが、トムが手術室へ行くと、やはりそこは無人で、搬送されてきた兵士などいないということであった。 その更に二日後、また同じ電話によって、トムは起こされる。これは何かのいたずらかとトムが問うと、電話の相手は、トムのいる基地がイラク兵の負傷者を受け入れないので入れない、助けてくれるならAビルへ来てほしいと言う。 トムは部隊長に事情を話し、翌朝彼と一緒にAビルへ行ってみる。するとそこには、腐敗しかかった遺体が3つ、抱き合うように倒れていた。そしてその一体の軍服には「マハト」という名が記されていた。ベトナム戦争にまつわる「掘り起こされた棺」も、同様の構造を持った話である。 イラク戦争やベトナム戦争において、米軍は現地の兵士を戦闘に投入したが、彼らは通常、アメリカ兵よりも危険な地域へ派遣され、その結果戦死者の数も多かった。例えばベトナム戦争におけるアメリカ兵士の死者数が約5万8千であるのに対し、南ベトナム兵士の死者数は約31万3千人と、約6倍になっている。しかし、現地の兵士の死者数が多いのには、もう一つ別の事情もあった。 戦場で負傷した兵士の治療は、アメリカ兵が優先された。ともに戦ったイラク人、ベトナム人兵士は後回しにされ、彼らはしばしば放置され、そのまま死んでいったのだ。戦場なのだから、いろいろ行き届かないことはあるだろう。だが、結果からすれば、彼らはただの捨て駒にされていたのだ。 助けを求める幽霊兵士の都市伝説が生まれた背景にはこうした事実があると、著者は推察する。著者は言う。 「戦争における怪談は、戦争や権力に対する人々の怒りによって支えられているのかもしれない」 戦争で失われる命のほとんどすべては、巻き込まれた人々のものだ。声を挙げることも許されず、また、声を挙げても一顧だにされない人々のものだ。戦場の都市伝説とは、そうした人々の怨嗟の声を知る人々の思いから生まれたものなのだろう。そんなことを考えながら、私は本書を読んだ。この本を読んでいるとき、中島みゆきの「伝説」がいつも頭の中で流れていた。 風につづるしかなかった手紙 あなただけは読んで 雪でつくるしかなかった形見 あなただけは抱いて
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まさに都市伝説なのだけど、裏には悲しい歴史があるのです。 しかし、ノンフィクションライター石井さんらしくない気がする…
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ウガンダ・ビクトリア湖の「死体を食べて大きくなった巨大魚」、パレスチナの「白い服を着た不死身の自爆テロ男」、海外取材経験の豊富な筆者が現地の人から聞いた『噂』。しかしそれには『真実』が含まれていて…。 古今東西、人と人が相争うところには『うわさ』というものがまるで野火のように人...
ウガンダ・ビクトリア湖の「死体を食べて大きくなった巨大魚」、パレスチナの「白い服を着た不死身の自爆テロ男」、海外取材経験の豊富な筆者が現地の人から聞いた『噂』。しかしそれには『真実』が含まれていて…。 古今東西、人と人が相争うところには『うわさ』というものがまるで野火のように人々の間を通り抜けて、あっという間に広がっていくようです。 しかし、うわさというのは往々にして『真実』を含んでいるというのもこれまたよくあるお話。本書は海外取材の経験では百戦錬磨を誇り、衝撃的なレポートを数多く発表してきた筆者が、日本を含めて各地の戦場に散らばっている『うわさ』を集めて紹介したものです。その中の一部を紹介すると、 ・中東では出稼ぎ労働者に死体修復の仕事が割り当てられる? ・アフガニスタンの空き地に「小さい女」の幽霊が現れる? ・遺体にコカインを詰めて密輸する麻薬密売組織がある? ・コンゴの少年兵が幽霊になっても捜し歩く、弾除けのお守り ・ヒットラーは密かにアルゼンチンに落ち延びていた? というもので、もしも仮に何の予備知識もなく現地にいって、彼等からそういう話を聞いたとすると、僕は単純なのでコロッと信じて今うかもしれません。たとえば、『遺体にコカインを詰めて密輸する麻薬密売組織』のうわさは、メキシコの麻薬戦争にちなんだもので、現地の武装したゲリラのことを少しでも知っていると少しも驚きませんし、アルゼンチンにヒットラーが落ち延びていた?といううわさは実際にナチス・ドイツの幹部たちがアルゼンチンで名前を変え、経歴を隠して生き残っていたためであり、ホロコーストの主犯であるアドルフ・アイヒマンなどは、その典型といってもいいでしょう。 さらに、第三章の『食うもの、食われるもの』の中に描かれているフカヒレにまつわる恐ろしいエピソード(これはあえて書きません)カンボジアでは『内臓を返してほしい』という幽霊が出て来るというお話はクメール・ルージュ体制における内戦当時の現地で迷信により『殺害した人間の内臓を食べると敵の弾に当たらない』ということから実際にそういうことが行われていた事実に由来するのだそうです。僕はこの話を故鴨志田穣の『アジアパー伝』で前に同じ話をよんだことがあり、本書を読んでいるときも『あ、あの話だな』ということを思い出しました。 第四章の『戦争と処刑』で面白かったのはコロンビアの内戦で捉えられた捕虜が処刑されるときに『ありがとう、ずっと僕を見守っていてくれて』とゲリラ側の人間には見えないいう「人間」に語りかけるという話は絶望的な状況下におかれた人間がどのようにして『希望』を見出すのかがよくわかったような気がして、読みながら胸が潰れそうになりました。 第五章の『日本軍の暗部』では『南京大虐殺』や『七三一部隊』、さらには『朝鮮人強制連行』に関する『うわさ』が記され、こういった中に彼等の『心情』が織り込まれていると知り、それは感情的なものになっているので、根は深いなぁと思わずにはいられませんでした。海外に行かれたときに、もしもこういう話を聞く機会がもしもあれば『あぁ、あの話しだなぁ』と思うことが、もしかしたらあるのかもしれません…。
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