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日活昭和青春記 日本でもっとも長い歴史をもつ映画会社の興亡史
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | WAVE出版 |
発売年月日 | 2012/08/25 |
JAN | 9784872905823 |
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日活昭和青春記
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思えば日活は不幸な会社である。日本最古の映画会社でありながら経営が安定したことはほどんどなく、戦前は松竹と東宝の二大資本の間に板挟みとなって木葉のように翻弄された。戦時統制下には、一度は東宝グループへ編入されることが本決まりになっていたのに、永田雅一の姑息な策動で新興キネマ、大都...
思えば日活は不幸な会社である。日本最古の映画会社でありながら経営が安定したことはほどんどなく、戦前は松竹と東宝の二大資本の間に板挟みとなって木葉のように翻弄された。戦時統制下には、一度は東宝グループへ編入されることが本決まりになっていたのに、永田雅一の姑息な策動で新興キネマ、大都と合体して新会社・大映の一部となることになる(後に少し触れるように、このときに優秀なスタッフの大半は満映に逃れ戦後はかれらが母体となって東映を形成する。そのため会社名は同じ日活でも戦前と戦後では断絶が大きい)。戦後大映から分離して終戦10年足らずでようやく映画制作を再開するものの、幾度も経営危機に見舞われ、1993年倒産、その人的資本は部分的に角川映画に引き継がれることとなる。 ところがこの松本平による日活戦後史を一読しても、経営が大変だったことは分かるが、一向に映画の話は出てこない。日活だって裕次郎や小林旭、それに吉永小百合を抱えていたわけだからそれなりにヒット作も出してるし、ロマンポルノ路線に転じてからも(助監で修行した連中に好き勝手にさせたお陰で)映像学的に高く評価されている映画も作っている。この本ではそんな話題にはさらりと触れてるだけで、話はすぐ組合活動と会社経営に話になってしまう。 考えてみると日活は70年代前半から組合が経営参入し、その後は組合出身の根本悌二が社長に就任するなど、末期はほぼ資本家による運営はなされていなかった。ほとんどアナルコサンディカリズムである。これはある意味、戦前のプロキノが理想の映画として提唱し、戦後は東宝争議で一瞬実現しかかった「労働者による労働者のための映画」がシステム面では可能となっていた時期と言ってよい。 しかし現実の日活がそうした理想から程遠かったことはこの本を読めばよく分かる。著者は何度も何度も耳にタコができるくらいに「皆は頑張っていた」と言い日活倒産の原因をシリアスに分析することを忌避するけれども、倒産したという事実が資本に依存しない無政府組合主義的な運営体制が間違っていたことを証明しているのではないか。 もうひとつ書き留める必要があるのは、著者が映画制作のことについてほとんど専門的知識を持ってないのが、この本で日活映画に関して具体的に触れてない理由なのではないかと疑われることである。松本平は美術部装飾係として入社したらしいが、たぶんすぐに組合専従になり、倒産時は関連会社の社長を兼任していたという典型的な「ダラ幹」である。映画会社にいながら映画を作ることの苦しみ(と楽しみ)は骨身に染みるほど実感しなかったはずである。その点根本悌二は『キューポラのある街』(1962)で浦山桐郎の助監督を務めたとき、映画の中で組合礼讃しながら日活に御用組合しかないのかどうしたことかと浦山に詰め寄ったというから、まだ映画人としてマシな方だと言える。 ここから考えてみなければならないのは、もしかして(日本の)映画会社というのは、歴史的に映画制作の専門性とは縁のない単なる左翼思想家を大量に抱える傾向にあったのではないかという仮説である。争議が真っ盛りであった頃の東宝ではそんな「社員」が多かったのではあるまいか。まず間違いなくこれに該当する事例は満洲映画である。満映社長の甘粕正彦の意図は奈辺にあったかは謎だが、この会社は北川鉄夫とか佐藤有章とか、実際の商業映画制作とは何の関係もなくただアカだというだけの人材を何人も擁していた。考えてみれば戦前戦後とクソのような映画評論を繰り返して害毒を流すだけだった岩崎昶も満映の社員だったが、実際の映画制作にはほとんど関わらなかった。 映画会社というのは元からそうした懐が深いというよりは脇が甘い体制の場所だったに違いない。だから近代的経営システムがほとんど稼働せず、残らず時代の波に呑まれて消滅したのである。
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ほぼ同じ時期に呼んだ東映のあかんやつらと読み比べるとそのカラーの違いが出て面白い。あくまでも松竹は都会的なんだね。そしてそれが最終的に時代に生き残れなかった理由でもあるのだが。 60年代は映画界は平等に衰退期を迎えながら 東映や東宝などは必死に食らいついて言った結果なんとか乗り...
ほぼ同じ時期に呼んだ東映のあかんやつらと読み比べるとそのカラーの違いが出て面白い。あくまでも松竹は都会的なんだね。そしてそれが最終的に時代に生き残れなかった理由でもあるのだが。 60年代は映画界は平等に衰退期を迎えながら 東映や東宝などは必死に食らいついて言った結果なんとか乗り切っていったわけだが、日活は意識の違いなのか、全く変化ができなずに破滅に向かっていく。 本書は当時の日活の労働組合にいた人間が書いたものなので、一方的な視点になりがちで、当時の経営者に対する恨みつらみにも読めるのだが、それでもいかに日活の経営方針が時代に対応できなかったのかはよく伝わってくる。 東映の大川博などもそうなのかもしれないが、堀久作という人はあくまで経営者にすぎない。決してい映画人ではなかったのである。 いくら映画で一時代を作った会社とはいえ、ドツボにはまるともうだめで、例えばダイニチ映画などもう何をやってもダメなものはダメであとは静かに息を引き取るのを待つばかりである。
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タイトルだけ見ると、日活黄金時代の男優・女優が登場する撮影所物語のように思えるかもしれませんが、そういうお話ではありません。株式会社日活の興隆と衰退、一時的な復活と会社更生法申請に至る、経営の物語です。 僕のように、コアというよりマニアックに、小林旭の映画が好きだったり、ロマン...
タイトルだけ見ると、日活黄金時代の男優・女優が登場する撮影所物語のように思えるかもしれませんが、そういうお話ではありません。株式会社日活の興隆と衰退、一時的な復活と会社更生法申請に至る、経営の物語です。 僕のように、コアというよりマニアックに、小林旭の映画が好きだったり、ロマンポルノに胸躍ららせたり、ロマンポルノから世に出た監督たち(根岸吉太郎・滝田洋二郎・金子修介・崔洋一・周防正行・相米慎二・中原俊・那須博之・・森田芳光などなど)にのちのち影響を受けた人間は映画の裏側を見る、という意味でも楽しめます。 ただ、本来的にこの本は、企業の勃興史。 日本でも稀な、労働組合が経営に参画し、組合の委員長がいきなり本社に取締役になり、のちに社長になります。その他の組合の役員も本社の取締役になり、子会社の社長になったりしていきます。そして一時的とはいえ再建を果たす。だが、バブル崩壊とともに資金繰りができなくなり、会社更生法申請するところまでが、当事者の筆で描かれます。 ケーススタディをしているような方には、ひとつの示唆に富んだ題材になり得ると思います。特に、本業が不振なときに、多角化を進めることのメリットとデメリットが如実に表れていると思います。
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