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足利義満 公武に君臨した室町将軍 中公新書
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
| 発売年月日 | 2012/08/25 |
| JAN | 9784121021793 |
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足利義満
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商品レビュー
4.2
6件のお客様レビュー
中世和歌史が専門の国文学者による足利義満の評伝。当時の公家たちの日記をふんだんに引用して、足利義満と公家社会の関わりから義満の人物像を描き出している。義満といえば、「皇位簒奪」を企てようとした人物として、一般では思われているが(古くは、田中義成の研究やそのリバイバルとしての今谷明...
中世和歌史が専門の国文学者による足利義満の評伝。当時の公家たちの日記をふんだんに引用して、足利義満と公家社会の関わりから義満の人物像を描き出している。義満といえば、「皇位簒奪」を企てようとした人物として、一般では思われているが(古くは、田中義成の研究やそのリバイバルとしての今谷明の研究など)、後半の3章では「皇位簒奪者」としての足利義満像が徹底的に否定されており、とてもスリリングな読み物となっている。 ① 足利義満と公家社会 足利義満は、16歳で参議・左近衛中将、21歳で権大納言・右近衛大将、25歳で左大臣、37歳で太上大臣、それに加えて准三后の待遇を与えられている。祖父の尊氏、父の義詮が共に権大納言で終わったのに対して、その官位待遇は比較にならないほど高い。義満の公家社会への接近は「義満の公家化」として古くから知られているが、単に公家社会に憧憬を抱いただけでなく、自らも学問・藝能に広く通じて、時に主催し監督したのが特徴である。義満は朝廷にて内弁を多く勤めており、左大臣として多くの朝議・政務を実際に指揮監督した。義満の指南役は、関白の二条良基であり、二人の関係は師弟関係として良好だったとされる。義満は朝廷において、良基に伝授された振る舞いの流儀内で行動しており、それは「摂関家の支配する文化圏に留まることを意味する」(P.95) と述べられている。 ② 日明(勘合)貿易について 義満といえば、歴史の教科書では勘合貿易を始めた人物として知られているが、その際に「日本国王」と称したことから、天皇・将軍を超越しようとした捉え方がある。しかし、これは誤謬であるとしている。義満が、まず求めたのは貿易の許可であり見返りとしての巨額の貿易利益である。そもそも義満は国内向けに「日本国王」を称したことはなく、廷臣も大臣も「日本国王」として意識していない。幕閣はこの号に否定的であり、義満の国内の政治的地位になんらかの影響を与えた痕跡もないようだ。(P.227) ただの貿易交渉における方便だったといえよう。 また、勘合貿易によって、明の冊封体制に入ったことで、これを「屈辱・土下座外交」と見る向きもあるが、当時の「宋朝僧棒返牒記」による記述内容を見ると、1. 「当日は、明使・詔書よりも義満が北側に位置している。これは自身が上位に立つことであり、外交儀礼の核心である宗藩関係を全く理解していなかったか無視していたかである。」2. 「拝礼は一回のみあり、法服に平袈裟姿も平常の装束だった事実は、冕服を着て四、五拝すべしという明の規定から全く逸脱する。」(P.229) といったものだった。このことから外交交渉は、平身抵頭したものではなく、全くもって礼に欠いた、いい加減な外交交渉だったようである。 ③「太上天皇」宣下について 生前の義満に対しては「御幸に准ふ」、「仙洞御願に准ふ」、「上皇に准へ奉る」、「法皇の御跡を模る」という表現が散見されるだけであり、飽くまで「准へる」のであって、同格ではあっても、そのものではない。(P.236) また二条経嗣が表した「荒暦」によると、義満が太上天皇の尊号宣下を執拗に望んだが、朝廷の延臣たちはこれを真に受けずに、尊号宣下は先送りにされたと読み取れるようだ。衰頽していた朝廷といえども、義満の要求をのらりくらりと躱すだけの力はあったようである。 本書では、多くの一次史料が引用されており、読み進めるのには少し苦労した。この時代について全く知識のない人には厳しい本かもしれない。しかしながら、手堅い論証によって従来の義満像が再検討されており、おもしろかったのは確かだ。いずれまた再読したいところである。昨今の歴史学による足利義満の再転換を知りたい人には大変オススメです。 評点 8.5点 / 10点
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豊富な史料をもとに、「皇位簒奪」や「屈辱外交」といった従来のレッテルを排し、「公武に君臨した室町将軍」としての足利義満の等身大の全体像を丹念に描出している。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2015.7.19 武家は公家の世界からつまはじきにされているものだと思っていました。朝廷を蹂躙したのではなく、行事・しきたりを通じて合一へ向けた動きの中で双方を支配していく巨人だったのですね 簒奪説のほうが面白そうですが、その根拠になった事例が他愛もない話でした(残念) 2020.8.8(再読45ページ) 荒廃した朝廷を立て直したイメージを再確認したくて再読
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