梅原猛の仏教の授業 法然・親鸞・一遍

梅原猛【著】

• 販売会社／発売会社: PHPエディターズグループ/PHP研究所
• 発売年月日: 2012/08/22
• JAN: 9784569805764

商品レビュー

2012/09/22

　浄土門の始祖法然から始めて、親鸞、一遍と３人についての講義である。
　哲学者であり思想研究家の著者らしく、埋もれていた資料を掘り起こし、大胆な推理も加わって、宗教を論じた著書なのに、まるでミステリーを読み進むようにスリリングである。特に、親鸞についての考察が圧巻だ。
　「親鸞は源頼朝の甥」であるとする説を踏まえ、源義朝（頼朝の父）の孫にあたる親鸞とその兄弟は、生き延びる道として権力者の後ろ盾のある慈円（九条兼実の弟）のもとへ出家させられたのではないかという推理から始まる。親鸞が比叡山を下り法然に入門するようになったきっかけも、慈円を間近に見て、時の政治権力に左右される叡山仏教のあり方に愛想を尽かしたのが一因としている。

　さらに、親鸞の結婚についても、当時の僧は公表していなかっただけで結婚していた者もあり、親鸞は九条兼実の娘「玉日」と結婚していた。親鸞が流罪を命じられた時、病弱であった「玉日」は同行できず、代わりに同行させた侍女が親鸞の妻「恵信尼」だという。結婚の公表は、女性も往生できるという新しい仏教を世に知らしめるために必要だったというわけだ。

　また、有名な「悪人正機説」はすでに法然が生前に口にしており（「醍醐本」）、それを親鸞が明確に弟子に伝えたのだという。むしろ、親鸞の自らを厳しく問いつめていく悪の自覚はどこからきているのかが問題とされている。親鸞の父源義朝は戦で多くの人を殺し、保元の乱では自分の父源為義も殺していることから、我が身の罪深さを片時も忘れることができなかったことは想像に難くない。

　このように、親鸞の行動や思想形成の過程が生い立ちと関連づけて展開されている。　
　資料の読みがどこまで歴史の真実に迫っているのかは、今後の検証を待つしかないだろうし、余りにも生い立ちに主眼を置いて論が組み立てられているという嫌いがないでもないが、親鸞の思想形成についての重要な仮説が提出されていることには間違いない。

2012/09/08

有名な哲学者の著者の書いた仏教の本。最近梅原さんって仏教に
傾倒しているのかなあ。親鸞の本は最近よく見ますが法然・一遍って
めずらしいかと思いました。
私の家は浄土宗・妻の実家は浄土真宗のお寺。最近、年をとったのか
宗教に興味が出てきて最近よく宗教関連の本を読みます。
法然：浄土宗（口述念仏・2種廻向・悪党を救う）
親鸞：浄土真宗（女人救済・源氏の縁者・玉日姫・親殺しの悪の自覚）
一遍：時宗（漂泊・捨聖・踊り・軽さ・）
天台密教・天台本覚（草木国土悉皆成仏）。鎌倉仏教（六山）