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建築と伝統
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建築と伝統

川添登【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 彰国社
発売年月日 2012/06/18
JAN 9784395029839

建築と伝統

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2025/08/31

 川添登は、おもしろそうな人である。彼は『代謝建築論』の菊竹清訓に対して武谷三男の三段階論を紹介し、それにより縄文と弥生の論争を巻き起こした。さらに、黒川紀章のメタボリズム派に属している。  川添は茅葺きの屋根について、「20年ももたない。草屋根にはカビが生え、そのカビを食料と...

 川添登は、おもしろそうな人である。彼は『代謝建築論』の菊竹清訓に対して武谷三男の三段階論を紹介し、それにより縄文と弥生の論争を巻き起こした。さらに、黒川紀章のメタボリズム派に属している。  川添は茅葺きの屋根について、「20年ももたない。草屋根にはカビが生え、そのカビを食料とする虫、虫を狙うネズミ、そのネズミを捕らえようとするイタチなどの小動物、さらには空から鷹やトビが屋根を突き破る」と述べている。これは、食物連鎖による茅葺き屋根の破壊を示している。  「生活の場においては、囲炉裏の煙が虫やネズミを燻し出し、乾燥を促進し、草の下の層を燻製にする。そのために天井はない。建築は生きているのである」とも記している。  川添は、「人間が作った形はすべて生きてきたし、今も形を変えながら生き続けている」といい、建築もまた変化し続けるものであることをしめしている。すべての形あるものは必ず滅びるため、伊勢神宮の式年遷宮のように、それを永遠に保存しようとしない態度も示されている。  「新陳代謝するデザイン」として、西方寺の庭園を例に挙げている。一方、その対極にあるのが龍安寺の石庭である。  日本人は状況やシチュエーションに対して優れているが、プラン自体の才能には乏しい、と川添は指摘している。桂離宮の回遊式庭園は、「右に曲がり、左に折れ、橋を渡って一巡する」構成になっている。  ル・コルビュジエの黄金比(モデュロール)には、人体尺度、空間尺度、そして生きた尺度が存在する。  風、それは予感の美とも呼ばれる。柿本人麿は、「伊勢の神風、はやふきたまえ」と詠んでいる。風や雨を祈る、風の神である。西洋文化は永遠や絶対の概念を育み、輪廻の生命流転や諸行無常を扱った。  竹について、「雪の重みにしなることなく、その瞬間に突如、跳ね飛ばす竹。岩を打ち砕き、旺盛に生い茂る松。そして、春に先駆けて雪の中に花を咲かせる梅」といった自然の象徴的なモチーフを通じて、「柔よく剛を制す」ことを示す。  日本の建築は、鉄器の発達とそれに伴う大工道具の進歩により、花開いた。竹の文化もまた重要であり、多くの場面で感じ取れる。高温多湿のモンスーン気候に適応した日本の美学は、徹底した線の美しさにある。なぜヒノキか、なぜマツタケやしいたけ、なぜ竹といった選択がなされたのか、その背景には暮らしの中に根ざす日本の美意識がある。  機能は形態を決定するという観点も重要である。  中井正一は『美的空間』において、「言葉は創造されたものではなく、つくる力である」と述べている。彼はデザインを視覚言語として捉え、生活のための用具として位置付けている。形態は物の現象形態であり、「必然(本質)の現象形態は、偶然である」とも語っている。すなわち、「形あるものはすべて生きており、滅びるものである」とし、残るのは機能であり、その機能が形態を決定することを強調した。  呪文が文学へと変化した例として、伊勢神宮を挙げることができる。外宮には「驚嘆と感動を禁じ得ない。想像を超えた荒々しい迫力がある」と語る。そして、「縄文的なものと弥生的なものとの葛藤」、さらには「視覚芸術が社会的イマジネーションの一助となり、知恵と伝統を伝える」とも述べている。視覚による権威付けが可能となった点も指摘されている。  外来文化の重層的な構造も観察できる。穀倉は宗教的な象徴を持ち、その造形は五穀豊穣の願いを込めている。これは神からの贈り物とされてきたのである。丹下健三の作品は、まさに天皇の象徴的な造形の最たるものである。  薬師寺東塔は、天武天皇と持統天皇の夫婦愛の結晶である。白鳳文化の中に位置づけられ、持統天皇による天武天皇への追慕の念が反映されている。天武天皇は、伊勢神宮の創建に関わったとされ、飛鳥文化の象徴ともなる。東塔の独特な裳層の構造は、非常に特徴的である(加藤周一による評価)。  柱はあくまで太く、板は厚く作られるのが古拙建築の構造的特色である。これに対し、桂の建築では細い柱と桁が構成美を生み出す。 以上のように、伝統的かつ独自の美学と構造思想が、日本建築の根底に流れている。 川添登の好奇心と問題意識は、日本の風土に育まれている。

Posted by ブクログ