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「すべてを引き受ける」という思想
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 光文社 |
発売年月日 | 2012/06/20 |
JAN | 9784334976996 |
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「すべてを引き受ける」という思想
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商品レビュー
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言いたいことは分かるような、分からないような。 茂木さんのあとがきの切り取り方が心に残った。感情は個人に収まりきれない宇宙を理解するために生まれたもの、と言う茂木さんに、分からなくもないが僕はその考え方は好きではない、とはっきり伝える吉本さん。それに胸を打たれる茂木さん。 清々し...
言いたいことは分かるような、分からないような。 茂木さんのあとがきの切り取り方が心に残った。感情は個人に収まりきれない宇宙を理解するために生まれたもの、と言う茂木さんに、分からなくもないが僕はその考え方は好きではない、とはっきり伝える吉本さん。それに胸を打たれる茂木さん。 清々しいし、仰る内容にも納得しかない。うんうん。
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「それはどっちの言葉?」そう聞かれて、えっと、これは吉本さんでしょう、などと答える。誰の言葉か深く考えず内容をただ追って読み進めると、あれこれはどっちの言葉だっただろうともなる。けれど、やっぱり茂木さんの言葉は、なんとなく鋭くて攻撃的な印象を受け、吉本さんの言葉の方は、鋭いのに淡...
「それはどっちの言葉?」そう聞かれて、えっと、これは吉本さんでしょう、などと答える。誰の言葉か深く考えず内容をただ追って読み進めると、あれこれはどっちの言葉だっただろうともなる。けれど、やっぱり茂木さんの言葉は、なんとなく鋭くて攻撃的な印象を受け、吉本さんの言葉の方は、鋭いのに淡々としている。小林秀雄の言葉も、鋭いのに淡々としている。たぶん、それは、個人の恣意が極力排された真なるものが、個人の口をついて出てきているからなんだろうなと思う。吉本さんの言葉は、さらに、淡々としているのになんだか優しい。小林秀雄の言葉はひんやりしているけれど、なんか優しい。これはこうだよ、とすっぱりさっぱり決めつけてしまうのではなく、いや、もしかしてこんな余地もあるかもね、と。でも単なる中道っていうのではなく、希望的っていうのでもなく、あれこれさまざまに知っているからこそ導ける余裕のようなものを感じる。
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6年前に行われた対談。両者がともに小林秀雄賞を受賞しているということもあって、この対談が企画されたのだろうか? フーコーに関する吉本の言及を引き出しているのが、この対談の白眉だと感じられた。フーコーはマルクスを「19世紀の風景の中に埋まってしまう」と言ってのけてあっさりと相...
6年前に行われた対談。両者がともに小林秀雄賞を受賞しているということもあって、この対談が企画されたのだろうか? フーコーに関する吉本の言及を引き出しているのが、この対談の白眉だと感じられた。フーコーはマルクスを「19世紀の風景の中に埋まってしまう」と言ってのけてあっさりと相対化した上で、人間の歴史をぶっ通す(吉本の表現)ことをするために、ギリシアまで遡って考察しようとした巨大な思想家であると評している。フーコーの思想の本質を端的に指摘していて見事と言うほかない。 「自己慰安のために書いている」という言葉も印象的だ。常に思索する思想家は、次々と湧き出してくる発想を言葉を選んで表現するために、「書くこと」を選び取るしかなかったということらしい。だから、講演では訥々と語られることになるのだろう。 吉本の思想の底には親鸞と宮澤賢治の思想が流れていることもよく分かる。知を追求する「往相」に対して、非知をも包括して全体性を獲得する「還相」の重要性が語られ、矛盾を矛盾のままに「ほんとう」という言葉を重ねるしかなかった宮澤賢治が語られる。 吉本隆明の晩年の思索の到達点が率直に語られていて、貴重な対談集となっている。
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