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至福千年 岩波文庫
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至福千年 岩波文庫

石川淳(著者)

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至福千年 岩波文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 1983/08/01
JAN 9784003109427

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商品レビュー

3.9

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2020/02/20

幕末の江戸で世直しを目論む隠れキリシタン千年会の首魁・ 加茂内記は部下を巧みに操り、また、 自らの妖術を以て邪魔者を消す。 同じ隠れキリシタンでありながら、 内記を悪と見なして反発する富豪・松太夫と 争いを繰り広げるが……。 地上の楽園を実現するため、内記の意を受け、 更紗作り...

幕末の江戸で世直しを目論む隠れキリシタン千年会の首魁・ 加茂内記は部下を巧みに操り、また、 自らの妖術を以て邪魔者を消す。 同じ隠れキリシタンでありながら、 内記を悪と見なして反発する富豪・松太夫と 争いを繰り広げるが……。 地上の楽園を実現するため、内記の意を受け、 更紗作りに命を懸ける職人・東井源左や、 彼の弟子で、千年会のキリストとして祀り上げられ、 そのために去勢された与次郎など、 序盤は耽美・幻想的な雰囲気が強く、 エロ度が控えめな山田風太郎っぽい作品なのか(爆)と 思いながら読み進めたが、 改変歴史小説ではなく、 史実の裏にあったかもしれない暗闘というストーリーなので、 魅力的なキャラクターたちが 最終的に事実の奔流に呑み込まれてしまった印象。 もったいない気もするが、 彼らもまた幕末の混乱と喧噪に翻弄されて、 儚い夢のように消えた――といったところか。 義理人情に厚い反面、終始、 事態を醒めた目で眺め続けた俳諧師・一字庵冬峨の 行方が気になる。

Posted by ブクログ

2013/05/19

幕末×千年王国幻想という、まさに意表をつく設定の長篇伝奇小説です。 白狐の術を操る謎の老人・加茂内記が率いるは、地上楽園の建設をもくろむ秘密結社「千年会」。内記に抗するは聖母マリヤを奉ずる富者・松太夫。この二人の暗闘を軸に、賢人妖人怪人が跳梁跋扈し自らの信仰信念を実現させようと...

幕末×千年王国幻想という、まさに意表をつく設定の長篇伝奇小説です。 白狐の術を操る謎の老人・加茂内記が率いるは、地上楽園の建設をもくろむ秘密結社「千年会」。内記に抗するは聖母マリヤを奉ずる富者・松太夫。この二人の暗闘を軸に、賢人妖人怪人が跳梁跋扈し自らの信仰信念を実現させようと駆けずり回る様は強烈なエネルギーに満ちあふれています。 わけても魅力的なのが、俳諧師・冬俄。一から百までを見通す目を持ちながら、どこまでも冷めた様子で酒を喰らい世を端から眺める様は強い印象を残します。本作の狂言回し、読者作者の代理とでもいうべき役割であり、彼の傍観者としての姿を追いかけるだけでも興味の尽きない読み物となりましょう。 文章の巧みさはさすが石川淳としか言えない出来映え。ざっくらばんなようでいながら品格を失わず、それでいて流れるような文体は絶品の一言。特に終盤、江戸に千年会が集結するくだりは傑出です。 実に読み応えのある一作。なお、澁澤龍彦の解説も必読です。

Posted by ブクログ

2011/10/18

幕末の江戸。隠れキリシタンの秘密結社「千年会」が地上楽園を江戸に築くべく暗躍する。それに敵対するのもまた隠れキリシタン。歴史の表舞台に立たなかった者たちの戦いを描く伝奇小説。 小気味のいい、ちょっと古典めかした文体がテンポよく、小難しいところもなく、個性的な登場人物が躍動する。...

幕末の江戸。隠れキリシタンの秘密結社「千年会」が地上楽園を江戸に築くべく暗躍する。それに敵対するのもまた隠れキリシタン。歴史の表舞台に立たなかった者たちの戦いを描く伝奇小説。 小気味のいい、ちょっと古典めかした文体がテンポよく、小難しいところもなく、個性的な登場人物が躍動する。 特に千年会の実行隊長・盗人じゃがたら一角と、日和見主義の風流者・冬峨の二人の掛け合いがこの物語を引っ張るパワーとなっている。 隠れキリシタンという設定だが、千年会のキリスト教解釈はかなり無茶苦茶で、これでキリスト教を名乗っていいものかというシロモノ。あまりキリスト教が出てくる話という意識を持たないで、怪しげな秘密結社の暗闘を描いた本と思ったほうがいい。 話の筋は、千年会が勢力を拡大すべく、様々な手を打っていく序盤。不思議なのはそれが悉くライバルの手によって頓挫しているように見えるのに、なぜか勢力は着実に拡大する。 終盤は終盤で、登場した人物みんなが大したこともなさぬうちに霧消していく、虚無的な終わり方。 結局、彼ら下層市民がいくら策動しようとも歴史を動かすのは一握りの上層階級の人間たちで、下層市民は「ええじゃないか」という歴史の背景として姿を留めるのが精いっぱい、といったところなのか。

Posted by ブクログ

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