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未完のファシズム 「持たざる国」日本の運命 新潮選書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2012/05/25 |
JAN | 9784106037054 |
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未完のファシズム
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商品レビュー
4.3
46件のお客様レビュー
明治憲法のガバナンス上の欠陥から宮沢賢治、さらには女性の月経に関する問題まで、著者の守備範囲の広さに舌を巻く。著者の記述の妥当性はわからないが、一つの説明としては面白かった。著名な「昭和16年夏の敗戦」や「失敗の本質」と並んで読まれるべき一冊だと思う。 次の一文が印象的だった。 ...
明治憲法のガバナンス上の欠陥から宮沢賢治、さらには女性の月経に関する問題まで、著者の守備範囲の広さに舌を巻く。著者の記述の妥当性はわからないが、一つの説明としては面白かった。著名な「昭和16年夏の敗戦」や「失敗の本質」と並んで読まれるべき一冊だと思う。 次の一文が印象的だった。 --- (…)ふたりとも冷静な現実主義者として次なる戦争は物量と機械と科学力だという合理的な本音を持ちながら、日本陸軍の軍人としては精神主義を建前として高唱せざるを得ず、しかし二・二六事件や日米開戦といった歴史の流れのなかで、本音は忘却され建前ばかりが暴走し始めていったのです(…)
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ゾクゾクするような論理展開。持たざる国である日本を軸に第二次世界大戦に突入し、玉砕覚悟の総力戦に至る思想に迫る。 「明るくなったろう」お札を燃やして灯りを点す。有名な教科書の挿絵、第一次世界大戦の特需に沸いた成金が出発点だ。日露戦争による巨大な外国債務により日本経済は青息吐息。...
ゾクゾクするような論理展開。持たざる国である日本を軸に第二次世界大戦に突入し、玉砕覚悟の総力戦に至る思想に迫る。 「明るくなったろう」お札を燃やして灯りを点す。有名な教科書の挿絵、第一次世界大戦の特需に沸いた成金が出発点だ。日露戦争による巨大な外国債務により日本経済は青息吐息。企業の倒産が相次いでいたところに、第一次世界大戦が長期化した事で、ヨーロッパ諸国日本から軍需品を輸入し始めた。戦争特需に加え、ヨーロッパからの輸入品が来なくなり輸入に頼っていた物資が不足。鉄、硫酸、アンモニア、化学染料、薬品、ガラスなどなど。これらが派手に値上がりしていく中、国産にすることで儲けようと言う投資が活発化。日本は局地的に参加した青島戦で、物量や兵器の近代化、血対鉄の力学を学ぶ。持たざる国を脱却しなければならぬ使命感が増す。 銀河鉄道の夜、ジョバンニの台詞を引く「ぼくたちここで天上よりもっといいとこをこさえなけぁいけないってぼくの先生が云ったよ」法華経の教え。天上彼岸に行って救われようとするキリストや親鸞とは違う、現世で立場を変えるのだ。 田中智学の造語である八紘一宇。共感したのが石原莞爾。目指すは満州。満州により、日本を持たざる国から変えようと。更に日本古代の書、開戦経。勝ち負け生き死ににこだわらずひたすら闘い続けるのみという真鋭の観念。生きて虜囚の辱めを受けず、バンザイ突撃に通ず。最高のまことは、みこと。すめらみこと。玉砕こそ持たざる国の必勝兵器。こうして、精神論を成就させ天皇の軍隊は散りゆく御霊へ。 全てが意識的に繋がるものではないが、通底する論理展開。至上命題であった持たざる国の克服が導く歴史の壮絶さ、然り。
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玉砕する軍隊こそが、「持たざる国」の必勝兵器だったのです。 世界大戦時の歴史に無知すぎるので勉強。 第二次世界大戦の日本といえば、物資がない国なのに、長期戦争する、過剰な精神論、命と補給の軽視、アジアを広範囲に侵略、戦争のゴール設定がない、ファシズムといいつつ誰が束ねていたのか...
玉砕する軍隊こそが、「持たざる国」の必勝兵器だったのです。 世界大戦時の歴史に無知すぎるので勉強。 第二次世界大戦の日本といえば、物資がない国なのに、長期戦争する、過剰な精神論、命と補給の軽視、アジアを広範囲に侵略、戦争のゴール設定がない、ファシズムといいつつ誰が束ねていたのかよく分からない…と、あとから見ると全く理論的に見えないのだが、この本によると、意外と当時の軍人は他国の戦争を視察したり、物資がないから物資「持てる」国との戦争は無理だね…等、その時その時で現実的な考察をしていたことに驚いた。そしてあまりにも「持たざる国」である点を見つめた結果、もう精神論しかないから玉砕で勝利するしかない、補給が必要なほど長期間戦争しないから大丈夫(でもゴール設定がないから長期間になって餓死)という恐ろしい方向性に次第に傾いていったと解説している。 現実を直視した結果、非現実的な精神論に至る…一見変なようにも見えるけれど、総理大臣が育休中も休みだからリスキリングできるよね?少子化対策は社会の”雰囲気”を変えることだよね、と発言する等、最近も起きてる気がするのがなお怖い。
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