悲惨すぎる家なき子の死

中原昌也【著】

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社
• 発売年月日: 2012/04/13
• JAN: 9784309021065

商品レビュー

2014/06/25

日本文学界の異端児、平成のジャパニーズ・ポップ・ボッタクリ、アヴァンギャルド界の村上春樹、中原昌也の４年ぶりの短編小説集。
いやあ、見事に騙された。これは小説じゃありません。強いて言うなら愚痴。スタイル的には『あらゆる場所に花束が』を踏襲しています。共通の世界があり、場所があり、登場人物は違えど似たような事件が起こり、無意味な殺戮が繰り返され、その合間に著者らしき人間のグチが延々と続くという特殊な作風。『あらゆる場所に』と違うのはこれは短編集であり、然るべき区切りとタイトルが付けられているくらい。
きっと読者は無意識のうちに騙されることを望んでいるんだろう。そうとしか思えない。アマゾンかどっかの本書の紹介に「全部詐欺師の小説」と書いてあったがまさしく詐欺師。この読書体験は他では得難い。だって詐欺師なんだもん、と言ってしまえばすべて説明がつく。合法的なボッタクリにあえて、わかってて引っかからせるという（たぶんこの戦法は意図的ではない。）ことをやってのけている。それは中原昌也本人の力量がなせるわざである。じゃなければなんでグチだらけの本に金を出すんだ？それは読みたいからだ。読ませるのだ。
内容に関しては言うまでもないだろう。いつもと同じ殺戮、暴力、暴言、血だらけの絨毯、鴉、公衆便所、冷えた肉まん、老人。心が寒くなるような描写が多い。これはお家芸だ。最新作『こんにちはレモンちゃん』ではより顕著になっているので、気になる方は読んでいただくとさらに中原昌也の「現在」がわかる。2000円以上するけどね・・・。

2014/04/22

久しぶりに再読したくなり、図書館で借りましたけれども、やっぱり最高ですね…！　彼の最高傑作なんじゃないでしょうか…！　ちなみにコレ以降に出版された彼の著作は個人的にイマイチでして…だから猶更、当作品が傑作の類だと思われる…！

ヽ(・ω・)/ｽﾞｺｰ

それに彼の作品はタイトルもまた秀逸ですねぇ…思わず手に取ってみたくなるタイトル…。

ヽ(・ω・)/ｽﾞｺｰ

内容の紹介なんですけれども、うーん…彼の著作は読んでいただくしかありませんね！　普通の文芸作品がお好みの方には嫌われるものかもしれませんけれども（！）、僕はこういった…斜に構えた？　感じの少し変わった作品が好きなので好みに合いましたよね…。

ヽ(・ω・)/ｽﾞｺｰ

著者の、「書くこと」への愚痴がいきなり挿入される様もなんだか笑ってしまいますけれども、彼の著作には始終こういった挿入があるのであって、それにまた彼の作品の魅力とも言えるのではないでしょうか…さようなら。

ヽ(・ω・)/ｽﾞｺｰ