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桐島、部活やめるってよ 集英社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2012/04/20 |
JAN | 9784087468175 |
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桐島、部活やめるってよ
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商品レビュー
3.5
1275件のお客様レビュー
高校生の頃、まだ本を読まず先に映画を見た記憶がある。しかし、その時意味がわからなかった。後に友達に話すと桐島は出ないと聞いて納得して終わっていた。最近昔わからなかったドラマを見ると面白いと気づき改めて読んでみたらすごく面白かった。解説でも書いてあったが、これを19歳で書いた朝井さ...
高校生の頃、まだ本を読まず先に映画を見た記憶がある。しかし、その時意味がわからなかった。後に友達に話すと桐島は出ないと聞いて納得して終わっていた。最近昔わからなかったドラマを見ると面白いと気づき改めて読んでみたらすごく面白かった。解説でも書いてあったが、これを19歳で書いた朝井さんは天才だと思った。17歳青春真っ只中の時の感情を繊細に描いていた。あの時は夢も明確ではないし、自分の学校での立ち位置ばかり気にしていた気がする。人を馬鹿にしたりすることで自分が上であることを安心していた。今思うとすごくしょうもないことだがあの狭い世界ではそれが正義だと思っていた。学生時代に読んでいたら何か変わっていたと思うような、ここまで冷静に自分を見れないとも思う。17歳を経験した人全員、誰かの話には共感でき、懐かしく思え、あの時期をまた経験してみたいなと思える作品だと感じる。
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短編小説だった。各々の高校生の繊細な感情を描いている。 僕の高校生活は部活、勉強、遊びでいっぱいいっぱいだった。そのためあまり「ヒエラルキーが上・下」だとか、「かっこいい・ダサい」とか周りの人間と比較して自分を立ち位置を分析する事はしなかった。 登場人物全体が卑屈のように感じた...
短編小説だった。各々の高校生の繊細な感情を描いている。 僕の高校生活は部活、勉強、遊びでいっぱいいっぱいだった。そのためあまり「ヒエラルキーが上・下」だとか、「かっこいい・ダサい」とか周りの人間と比較して自分を立ち位置を分析する事はしなかった。 登場人物全体が卑屈のように感じた。そんな反発を出しながらもすんなり読めてしまう。それは高校生の複雑で繊細な気持ちを上手に表現しているからだと思った。
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2009年刊行。 「小説すばる新人賞」を受賞した、朝井リョウのデビュー作。 舞台はとある田舎の高校。そこそこの進学校。 バレー部のキャプテン、桐島が部活を辞めた。 その小さな出来事が、バレー部の補欠・風助、ブラスバンド部の部長・亜矢、映画部・涼也、ソフト部・実果、野球部の幽霊部...
2009年刊行。 「小説すばる新人賞」を受賞した、朝井リョウのデビュー作。 舞台はとある田舎の高校。そこそこの進学校。 バレー部のキャプテン、桐島が部活を辞めた。 その小さな出来事が、バレー部の補欠・風助、ブラスバンド部の部長・亜矢、映画部・涼也、ソフト部・実果、野球部の幽霊部員・宏樹、バドミントン部のかすみ、彼らの日常に小さな変化を与える。 本作は、彼らそれぞれの視点から見た短篇に分かれている。大きなイベントは起きず、ごく普段の高校生活、しかし大きくざわめく彼らの内景描写を軸にストーリーが綴られる。 桐島は登場しない。 彼が本当に部活を辞めたのか、どんな性格で何を考えているのかは深掘りされない。あくまでも、「桐島が部活を辞めたかもしれない」ということがストーリーの触媒として働くだけである。 この小説で描かれるのは、高校生の格差だ。 田舎の高校、一学年の人数は300人程度、みんなおなじ十七歳。この小さなコミュニティが、彼らにとっては世界そのものだ。 しかし、その中には当然、目立つ生徒もいれば目立たない生徒もいる。 ルックスが良くて運動が得意な男子と、ルックスが良くて化粧が上手くてファッション・センスがある女子はカーストの上に立てるが、そうでない生徒はそれぞれ下のカーストでグループを作る。 この、ある種残酷ではあるが自然な序列は、当人たちも当然の寄与のものとして受け入れ、そのカーストの中でどのように波風を立てずに過ごすかに関心が向けられる。 カーストそのものへの抵抗ではない。それは誰も試みない。この序列がひっくり返ることはなく、無意味だからだ。 この描写が非常に解像度が高く、生々しい。 ゆえに読んだ人を自身の高校時代へと連れ戻す。そこで喚起される記憶がエモーショナルを誘う。 十七歳、高二。 まだまだ子どもだけど、なんとなく早く大人になるように急かされるような気がする、そんな時期。 自分の半径500Mが世界のすべてで、無敵だと思いながらも、漠然とした不安がまとわりつく、そんな時期。 作中の宏樹の台詞、「この体育館には真っ白なキャンバスがとりあえず300以上あるけど、みんなそれに何か描く気はあるのだろうか。 同じような髪型をして、全員揃って何していいかわかんないって感じだ。真っ白なキャンバスでも、真っ暗闇の中で見れば真っ黒だ。」 この台詞が、彼らの葛藤をよく表している。 私自身も、彼らと同じような歳の頃、おなじような苛立ちを持っていたことを思い出した。 この小説は、ストーリーとして大きな動きがあるわけでも、上手い伏線や仕掛けがあるわけでもない。そこに物足りなさは感じる。 ただ、主人公たちの心の中の動きを丁寧に描写することで、魅力ある作品に仕上がっている。 この表現が上手くて、当時19歳、後にヒットを連発する朝井リョウの才能の片鱗を十分に感じさせる作品である。
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