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薔薇密室 ハヤカワ文庫JA
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2012/04/07 |
JAN | 9784150310646 |
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薔薇密室
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商品レビュー
4.3
24件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
ずいぶん前に読んだものの再読。 前半部分しか憶えていなかった。 それと、「物語を必要とするのは、不幸な人間である」という、ものすごく印象に残っている言葉を知ったのは、どうやらこの本だったらしい、ということがわかった。 ミルカとユーリクは、最後に薔薇の僧院で再会するように記憶していたんだけど、ぜんぜん違った!それこそ私の脳が勝手につくった物語だ。 前半をよく憶えているのは、私の好きな「物語」だからだろう。薔薇の咲き乱れる僧院という箱庭、アンネの日記のようなミルカの生活、いい人そうなホフマンさん。 最終的に、ミルカとユーリクは「現実」へ戻っていく。 ヨリンゲルたちは僧院に残るけれども、それは「物語」ではなく、続いていく「日常」だ。 ナタニエルだけが、「物語」を追い続ける。
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視点が変わるごとに、ああ、そうなのかと。世界と世界が繋がった瞬間にああ!あなたはそうなのか、と思った。はじめのコンラートの話がありえないほどに非現実的だったのも腑に落ちました。 終わりはヨリンゲルの語りで締め括られるのだけど、敢えてミルカを止めなかったのは、どこかでその惨状を乗り越えられるだろうと思ってるのだろうか。ミルカとユーリクを再会させてあげたかったな。 そして新たな創造世界を求めて狂気の支配者は南米へ。誰かに悪夢の種を植える所業は続けられるわけだね。 身体は大人で心は子供のナタニエル、身体は子供で心は大人のユーリク。対照的な二人にそれぞれの形で愛されたミルカ。 どっぷりと皆川博子さんの世界を堪能しました!
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死の泉という作品を読んだあとに、こちらの作品にあたりました。 第二次世界大戦前後のドイツ、マッドサイエンティスト、政治や社会から隔絶された不気味な空間、登場人物たちそれぞれの運命の糸が絡み合うドラマチックな展開、などなど、死の泉と共通点がいくつもあるものの、ここでは全く異なる世界...
死の泉という作品を読んだあとに、こちらの作品にあたりました。 第二次世界大戦前後のドイツ、マッドサイエンティスト、政治や社会から隔絶された不気味な空間、登場人物たちそれぞれの運命の糸が絡み合うドラマチックな展開、などなど、死の泉と共通点がいくつもあるものの、ここでは全く異なる世界が繰り広げられ、新たな感動を得られました。こんな充実感に浸れる作品は中々出逢えません。 長年にわたりソ連やドイツはじめ周辺国に翻弄され続けているポーランドのことも詳しく知ることが出来ます。なぜドイツとポーランドを舞台にしたのかは、最後まで読めば理解できるようになっています。勘のよい方は、もしかしたら結末を予想できるやもしれません。 一番素敵なポイントは、主人公のうちの一人(この作品は見方によって主人公が変化します、そこも見所です)である、ミルカという薄幸の少女の内面描写です。 彼女の持つコンプレックス、恋への憧れ、健気さ、打算、家族への愛と本心、、様々な場面でミルカ自身が語ります。女性の方なら特に、ミルカの、ユーリクに対する自然な愛情と、一瞥しかしていない端正なヨアヒムに対する盲目的な恋慕が共存する複雑な乙女心に、グッと来るかもしれません。 大抵の人が直視したくないような自分の弱さや醜さを、よくもまぁこんな自らえぐり出してくれるな笑、とツッコミも入れたくなるのですが、これだけ描写してくれるからこそ、最初から最後まで彼女のことを自然と応援したくなり、結果どんどん皆川さんワールドにはまりこんでいくことになります。 皆川さんは、極限状態にいる人間のなかの美徳&悪徳をほんとうに違和感なく表現してくれるので、どのキャラクターも厚みがあります。なぜこのキャラクターがここでこんな行動をとるのか、ちゃんと筋が通っています。万が一わからなくても、読み進めれば必ずや理解できるよう仕掛けています。そのため、 [なんだこのキャラ、ウザいな。このキャラは嫌い] と感じることは基本的にないと思います。 読み進めるほどに、何が真実で何が夢想なのか、今どこの視点にたってる描写なのか、徐々に倒錯していく耽美な混沌に、溺れること間違いなしです。 是非手に取ってみてください。
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