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氷山の南
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2012/03/24 |
JAN | 9784163807904 |
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氷山の南
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商品レビュー
3.9
29件のお客様レビュー
これを「中日新聞」で連載途中から読み出して、私は池澤夏樹の小説のファンになった。 今回、単行本を読んで、最初の部分がやっと読めて、ジンとジムの出会いもわかり納得。一年間続いたこれを毎日読んでいるときは、本当に毎日が楽しみだった。 さて、お話は、アイヌの血をひくジンがニュージーラ...
これを「中日新聞」で連載途中から読み出して、私は池澤夏樹の小説のファンになった。 今回、単行本を読んで、最初の部分がやっと読めて、ジンとジムの出会いもわかり納得。一年間続いたこれを毎日読んでいるときは、本当に毎日が楽しみだった。 さて、お話は、アイヌの血をひくジンがニュージーランドの高校を出て、生き方を模索する中で、「氷山アラビア協会」の「シンディバード」という南極へ出発する船に密航する。 生物学者のアイリーンに見つかってしまうが、仕事を2つ与えられ、いっしょに南極へ向かうことになる、という冒険小説。 ジンに与えられたのは、船内新聞の発行と、厨房の助手。 船には、氷山曳航計画を実行するスタッフ、船を動かすクルー、そして、研究者、という3種類の人間が乗っている。人種も年齢も性別も違う人が、長期間同じ船の中で生活するのだ。 ジンがインタビューすることで、乗っている人の紹介や、この船の目的がわかってくる。 この船は、南極の氷山を特殊な布で包んで持ってきて、それを融かして水資源として使うという計画をもっていた。 その計画を「アイシスト」が妨害してくる。「アイシスト」は、「アイシズム」を信奉する者のこと。「アイシズム」は、氷を超越的な存在として拝める考え。彼らにとっては、その氷を経済活動の対象とすることに良い思いを持っていない。 ジンは、氷山の表面近くに埋まっていた石を発見する。それは、46億年以上、宇宙を漂い、地球に落ちてきた隕石だった。彼は、それを彼のムックリと共にずっと身に着けることになる。 彼は、その石に圧倒される。「これと対抗できる自分があるか?」 ついに良い氷山がみつかり、それを包み運ぶ段階になって、ジムから「来い!」という手紙が届く。彼はいったん船から降りることになった。 オーストラリアでのジムとジンと老アボリジニー、トミー・ムンガの過ごす時間が、彼の生き方に新たな道を作り出す。それは、アボリジニーの世界観だ。そして、それは、彼の中にあるアイヌの世界観でもある。 トミー・ムンガはひたすら歩く。かれは、自分のカントリーをきちんとしたいのだ。それは、自分の部屋を綺麗にしておくというのと似ている。彼らが歩くトラックの網の目が大地全体にひろがっていて、かれらはそこの中で生きる。そして、踊る。 カスタネダの「ドン・ファン」を思い出した。南アメリカのネイティブ・アメリカンと世界を模索する白人の話だ。それは、大地を裸足で歩き続ける人間の世界観かもしれない。 そして、ジムは、絵を描く。彼はムックリを口にあてる。 そして、ジンはジムを連れて「シンディバード」に戻る。 新たな冒険が始まる。それは、また、新しい冒険だ。
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氷山や冷たい海、船の様子などがことこまかく描かれていて、行ったことがあるんじゃと思わされる。そのリアルな冷たさ、白さをずっと思い浮かべながら一気読み。 主人公の青年・ジンとその友人・ジム、ふたりの成長譚が柱なんだと思うけど、何を信じるかという宗教のことや、失われてしまった文化・生...
氷山や冷たい海、船の様子などがことこまかく描かれていて、行ったことがあるんじゃと思わされる。そのリアルな冷たさ、白さをずっと思い浮かべながら一気読み。 主人公の青年・ジンとその友人・ジム、ふたりの成長譚が柱なんだと思うけど、何を信じるかという宗教のことや、失われてしまった文化・生活スタイルを今どう捉えるかということ、などについて考えさせられる。
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灌漑対策として南極の氷一億トンを曳航しようという壮大なプロジェクト。 非常に読みごたえのある長編小説だった。 人類の生存のためにどこまで自然に手を加えていいのか? 何をやっても許されるのか? アボリジニ、またはアイシストの考え方、共感する箇所も あり興味深いものだった。 何度...
灌漑対策として南極の氷一億トンを曳航しようという壮大なプロジェクト。 非常に読みごたえのある長編小説だった。 人類の生存のためにどこまで自然に手を加えていいのか? 何をやっても許されるのか? アボリジニ、またはアイシストの考え方、共感する箇所も あり興味深いものだった。 何度も読み返してもっと深く考えを巡らせてみたい。 手元に置いておきたい一冊。
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