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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2012/02/29 |
JAN | 9784103319818 |
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商品レビュー
3.7
157件のお客様レビュー
深夜のまったりドラマ枠でやっていそうなお仕事小説。 ひとつひとつは些細なものだが、どこか身近に感じてしまう内容で、共感性が高い。 主人公の心情表現もリアルで、かつ少しだけコミカルで、面白い。 読了後は、「で?」となるかもしれないが、共感こそが本作の魅力に思う。 タイトルでもあ...
深夜のまったりドラマ枠でやっていそうなお仕事小説。 ひとつひとつは些細なものだが、どこか身近に感じてしまう内容で、共感性が高い。 主人公の心情表現もリアルで、かつ少しだけコミカルで、面白い。 読了後は、「で?」となるかもしれないが、共感こそが本作の魅力に思う。 タイトルでもある「とにかくうちに帰ります」は、本書の後半。 大雨になるがどうしても帰りたい、というもので、それ自体で一つのエピソード。 本書の前半はそれとは関係ないこまごましたお仕事短編で、むしろそちらの方が、楽しめた。 そのため、ややタイトル負けしている印象。
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『ブラックボックス』、『ハラスメント、ネグレクト』、『ブラックホール』、『小規模なパンデミック』、『バリローチェのファン・カルロス・モリーナ』、『とにかくうちに帰ります』の6作品が収録された本作。 前半4つは10ページほどの超短編小説で、バリローチェは40ページほど。こちらの5...
『ブラックボックス』、『ハラスメント、ネグレクト』、『ブラックホール』、『小規模なパンデミック』、『バリローチェのファン・カルロス・モリーナ』、『とにかくうちに帰ります』の6作品が収録された本作。 前半4つは10ページほどの超短編小説で、バリローチェは40ページほど。こちらの5つはチェーンストーリーのようになっていて、変化する主人公の視点から、それぞれの登場人物の雰囲気が掴めるのが、読んでいて楽しい。 お気に入りは、『ブラックボックス』。 P.10 田上さんのこみいった時間管理は、自分の仕事に対するブランディングなのではないか、という話になった。社内の男連中が、田上さんの仕事を、誰にでもできる字を書くだけのもの、と侮っていることは、彼らの言葉の端々から伝わってきており、馬鹿だな、と私は思うのだけど、田上さんは、入社以来培った仕事の精度を見せびらかさず、能力によって実現できる正確さを、時間によってのものであると装うことによって、自分の仕事がある程度は困難なものであると周囲に思わせているのではないか、と。要するに、十五分でできることを一時間かかると見せかけて、これは簡単な仕事ではないんだよ、おまえたちはちゃんとありがたがれよ、と主張しているのではないか、ということだ。 田上さんの強かさ。不誠実さには適度な不誠実さで答え、誠実さに対しては全力を尽くす、一貫性。結構かっこいい。 表題作の『とにかく~』は、災害級の暴風雨により、勤務先(あるいは学習塾)のある埋立洲から歩いて帰ることを余儀なくされた会社員3人と小学生1人の会話を中心に展開される物語。 P.154 「友だちからきいたんだけど、嵐山光三郎が、エッセイの中で、台風中継はエロいって言ってたんだって」ハラは声をひそめながら話す。聞こえていようといまいともうどうだっていい。 「女子アナの透明なレインコートが、風で体に張り付く様がいいんだって。なんかそれはわかると思った」 ストーリーのなかに散りばめられる、どうでもいい会話が大好物なのでこのシーンは妙にぐっと来てしまった。 また、津村さんがフィギュア好きとウィキペディアに書いてあったけれど、『バリローチェ~』でそれが垣間見えたのが嬉しかった。 セイロンのウバとか、ペリカーノジュニアとか、ニュルンベルクのフィギュア選手とか、作者の趣味であろう二ッチな知識が作品に滲み出てくるのが、たまらない。
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職場で語られる当人同士だけが盛り上がれる会話がこぼれ落ちてきて臨場感ありありのストレスを追体験できたりで2倍疲れてしまいました。 でも無視できなくて気になって聞き耳立てたくなる誘惑には逆らえない感じです。 いますよね、心の声がダダ洩れで独り言いいながら作業してる人とか・・ 貧乏ゆ...
職場で語られる当人同士だけが盛り上がれる会話がこぼれ落ちてきて臨場感ありありのストレスを追体験できたりで2倍疲れてしまいました。 でも無視できなくて気になって聞き耳立てたくなる誘惑には逆らえない感じです。 いますよね、心の声がダダ洩れで独り言いいながら作業してる人とか・・ 貧乏ゆすりする人とか・・ ペン回したりする人とか・・ 気になりだしたら集中できなくって 主人公の鳥飼早智子も結構に変人だったりで、こだわりあったりするのですが仕事の要領は悪そうで、職場の人間観察するのがストレス解消になってるような種族で共感します。 作中出てくる万年筆のペリカーノジュニアが欲しくなってしまってAmazonチェックしたら右利き用と左利き用とかあるようでどう違うのか興味でてきちゃった。 そうゆう心に浮かぶ雑多な事ってパッときてグットきたら優先順位とか関係なく夢中になったりで、そんな挙動不審な心地よいイライラを躊躇うことなくダラダラ表現できる津村さんってやたらすごいと寒心しきりなんです。 読みやすい文章は漢字とひらがなが適度な配合で書かれたものなんですが、漢字バリバリ、カタカナ増し増し、ひらがなひかえめな、通がラーメン注文する時の呪文のような文章になると読みづらさを感じて耐えられなくなるのですが、リアルではそんな呪文で注文してる客をみたことないし都市伝説か超常現象のように感じてます。もっとも食事には静けさを求める私としては威勢いい声が轟くようなお店は怯んでしまい入れないですけどね。 アルゼンチンのフィギュア選手でファン・カルロス・モリーナとかいう人の話題が出てきた時は興味がなかったのにグイグイ惹き込まれてしまいました。城之内さんとゆう職場の先輩には決してこの人の話題は出さないようにしてるとことか。あるあるネタのように愉しめました。彼女が贔屓にしてる選手やチームは大事なところでダメになっちゃうとゆうジンクスがあるようでそこ等へんの件は面白かった。すごくニッチでどうでもいい事なんだけど暇を潰すにはかけがえのない拘りだったりでリアルすぎでした。 本のタイトルの「とにかくうちに帰ります」よりも前半の連作短編の方が面白かったです。
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